
英語学習順序と参考書(2025年6月更新)
これは現時点でのオススメ参考書を集めたものです。左から「発音、文法、英文解釈、単語」と並んでいます。大人の学び直しというより大学受験に寄っていますが、英検でもTOEICでも高校英語は土台として機能します。
英語学習は最初から最後までずっと音声利用と音読が必須です。この段階では発音を完璧にするのではなく、音声学習による質を損なわない程度で問題ありません。日本人のカタカナ英語からの脱却が目標。また、『単語の教科書』には約2000語の単語と句動詞が収録されていますが、この段階ではあくまで“発音練習のための単語”に過ぎないので覚える必要はありません。学習の過程で触れる英文の単語も、よく見かけるものだけでも記憶しておけたら十分です。
簡潔な解説を求めるなら肘井先生の『読解のための英文法』、深めの解釈を求めるなら竹岡先生の『英文熟考』がオススメです。前者は私立志望に、後者は国公立志望としても。注意点としては『英文熟考』に取り組む場合、事前に『基本はここだ!』に目を通しておくこと。これは『英文熟考 上』が英文解釈の初歩から始まっていないためです。なお、英検1級やTOEICを想定しても基本的にそれら2冊で十分ですが、もっと精緻に学びたいなら『英語リーディング教本』、最難関大を想定するなら『ポレポレ英文読解プロセス50』や『英文読解の透視図』『英文解釈code70』などを加えても良いと思います。※英検より大学受験の方が文構造は難しいため。
この順序で学習した人なら視覚(文字)と聴覚(音声)から得られる情報の質がかなり高くなっているため、自分の実力に合った多読多聴を行えば行うだけ英語力がぐんぐん伸びていきます。今までに勉強した単語や文法を改めて『English Grammar in Use Book with Answers』『English Phrasal Verbs in Use Intermediate Book with Answers』などを使用して英語で学び直すのもオススメです。
自分の実力に合っているかどうかの目安は英文の単語・熟語の95%以上を知っていること(できたら98%)。90%ではレベルを下げた方が無難。80%なら下げるべきです。当然わからない単語や熟語が見つかったら、その都度調べて例文にも目を通します。もし、所々ではっきりと実力不足が露見した場合は今までに使用した参考書を復習します。
発音・アクセント・リンキング
語学学習の最初の一歩は「発音」を理解すること。なぜなら、正しい発音理解が正しいリスニングに結びつき、語学学習に必須の音声利用の効果を飛躍的に向上させてくれるからです。自分で正しく発音できない音を人間は識別できず、日本人ならカタカナ英語に変換され、挙句にカタカナ英語で音声学習を繰り返したときの損失は取り返しがつかないほど大きなものにもなってしまいます。
中学レベル
大人の学び直しの場合、高校英語の範囲に中学英語が含まれているため、中学英語のみに絞る利点はほとんどありません。中学英語は高校英語の範囲を意図的に制限しているようなものなので、文法事項の説明では不十分な箇所が散見されます。よって、ここでは中学の復習を兼ねられる高校入門書を紹介しています。ただし、単語だけは中学と高校で明確に異なるため、中学生向けの単語帳で押さえておく必要があります。
とってもやさしい英文法・英文読解
英語初心者に広く支持されている英文法の入門参考書に大岩先生の『はじめからていねいに』がありますが、2014年に大きく改訂されてから今まで改訂していません。英文法の内容はそう大きく変わらないとは言え、同じ大岩先生の初心者向け書籍なら2022年出版の『とってもやさしい英文法』がオススメです。できたら『とってもやさしい英文読解』まで取り組み、基礎文法と基礎読解を押さえておけば高校英語の本格的な英文法に取り組む際のアドバンテージにもなります。
なお、この段階から高校英文法の総合英語『EVERGREEN』などを辞書代わりに併用しても構いません。最終的にはその文法書と変わらぬ知識体系を目指すため、できるだけ早い段階から目を通しておくに越したことはありません。また、中学復習を含む高校英文法入門書は他に『ゼロから英文法』もオススメ。こちらは大岩先生の講義調の懇切丁寧な解説に比べてスッキリした読み心地のため、『EVERGREEN』との併用なら特に使いやすいかもしれません。
中学英単語・熟語
中学英単語はあまり時間をかけずにさらっと覚えてしまって問題ありません。高校以降に重要単語は度々復習することになりますし、重要単語の幅広い用法も同時に学べる参考書が揃っているからです。どちらかと言えば、高校で復習しにくい熟語は取り組んでおくといいかもしれません。
とにかく手早く覚えたいなら『DUO-BASIC』、単語・熟語・長文・リスニングなど総合的に押さえたいなら『速読英単語[中学版]』がオススメです。ただし、どちらも文法知識ゼロでは真価を発揮できないため、まずは『とってもやさしい英文法』などで最低限の文法知識を備えておいてください。
高校レベル
高校からは全体的にレベルが上がるため、目的によっては過剰学習に陥りやすくなります。特に高校生向けの参考書は大学入試を想定しているものが多く、リーディングに偏っています。簡単な日常会話を目的にするだけなら、中学レベルで挙げた参考書をマスターしたあと、スピーキングとリスニングに特化する方が近道です。
高校英文法
高校英文法は実用的なレベルのほとんどを網羅しているため、より充実した四技能を求めるなら取り組みましょう。まず、従来から続くアカデミック寄りの文法書なら『EVERGREEN(旧FOREST)』が最もポピュラーな選択肢になっていますが、学校で配布されるような総合英語は似たり寄ったりなのでどれでも問題ありません。『ジーニアス総合英語』『総合英語Be』『FACTBOOK』『コーパスクラウン総合英語』などがあります。『ロイヤル英文法』も非常に有名ですが、総合英語というよりは辞書に分類しています。他方で『SKYWARD総合英語』は受験英語をあまり意識しないコンセプトの文法書なので、大学生や社会人にオススメです。
そして、アカデミック寄りの文法書とは異なるタイプの文法書もあります。まず、スピーキング向けの『1億人の英文法』です。ライティング向けに『表現のためのロイヤル英文法』、講義調で非常に読みやすい『真・英文法大全』あたりが有名どころです。さらに難易度の高い英語教員向けの『英文法詳解』や『英文法解説』も気になる方は持っておいても良いかもしれません。
総合英語は分厚いため辞書代わりに使いたい人も多いかもしれませんが、本音を言えば、中学英語の助走をせずに最初から通読してしまうのがオススメです。その後、文法問題集を一通り終えたあとにもう一度、そして最後に辞書として手元に置く。単純に読み物としてもおもしろく、英文法をたかだか700ページで網羅できると捉えたら「英語なんて簡単だ」と思えるはず。そうしたマインドの構築は意外と重要です。
文法問題集
優れた文法問題集の条件は「音声付き、ランダム出題、丁寧な解説、無駄のない問題」の4つ。現時点で最もオススメの問題集は『英文法・語法 良問500+4技能』シリーズの3冊(誤文訂正、整序英作文、空所補充)です。3冊で量は多くなってしまうものの、3つの異なる角度から文法知識を良問で点検できる利点が大きく、総合英語を通読したあとすぐに取り組めるほど丁寧な解説が長所です。
現役生なら志望校の出題傾向に合わせた1冊で十分とは思いますが、文法問題の出題は年々減っているため、文法知識の確認と定着という意味ではどこまで利用するべきかの議論があります。しかし、ここまで取り組めば文法知識に怖いものはなくなるので、現時点では本書3冊を推奨しておきます。※あえて優先順位をつけるなら「1.整序英作文 2.誤文訂正 3.空所補充」です。
高校英単語・熟語
まず、中学レベルで挙げた単語帳を完璧に仕上げたならば、高校入門レベルは飛ばしても構いません。高校入門レベルの単語帳に取り組む人とは、中学英単語の完成度が6~7割、あるいはあえて重複する部分を残して進みたい人に限られます。そして、高校入門レベルの単語帳は『ターゲット1200』や『LEAP-Basic』、『システム英単語-Basic』、『速読英単語(入門編)』の4冊が有名です。
高校入門レベルを終えたあとは『ターゲット1900』や『システム英単語』『速読英単語(必修編)』『LEAP』『DUO3.0』などに進みます。個人的なオススメは『DUO3.0』と『速読英単語』です。今となっては古い単語帳と認識される『DUO3.0』ですが、単語と熟語が1冊にまとまった使い勝手の良さは色褪せていません。その他にも高い完成度を窺い知れる工夫が施されているため、時間のない現役生には特に薦めたい単語帳です。
DUO3.0は中学英単語の中でも簡単なものや私たちが日常生活で自然と記憶に残る単語約1000語を除いた「総掲載語数8000語弱」によって実質9000語レベル(英検準1級)の網羅性を謳っています。しかも重要単語に絞った上でのそれなので、専門性の高い分野を除けば、DUO3.0一冊を完璧にするだけで語彙力は万全なものになると言っても過言ではありません。ついつい難単語の習得を優先してしまう心理もありますが、まずはDUO3.0の単語・熟語の全てを使いこなすつもりで取り組む方が長期的にはプラスだと思います。
大学生・社会人向け
日本語教材にこだわる必要はありませんが、ひとまず単語力を上げたいなら『究極の英単語シリーズ』がオススメです。プレミアムまで含めるとかなりの網羅性があります。英検を目的にするなら『単熟語EX』、上級英単語を求めるならTOEFL『上級英単語2500』、TOEICなら『金のフレーズ』が人気の選択肢です。
英語学習の効率や本格的な実用性を考えると、ほぼ間違いなくどこかで英語で英語を学ぶ方針に切り替えた方がより良いと思います。学びやすい日本語教材は英検やTOEICなど特定の試験対策に限り、基本的には英語脳に近づく環境づくりが近道になるはずです。ただ、基本的な単語と文法が本当に正しく身についていないと効果があまりないので、そこまでは日本語教材で勉強した方が良いと思います。日本語教材で勉強しても曖昧な状態になるという人は根本的な国語力や勉強の仕方の改善が課題になります。
洋画を観るとわかる通り、大学受験で覚える単語よりも日常会話では『句動詞』が頻出します。日本人にとって句動詞の感覚は掴みにくい上に覚えにくいため、イラスト付きでコアイメージを理解しやすい『ネイティブの句動詞』はオススメです。句動詞を使いこなせれば、一気にネイティブっぽい印象を抱いてもらえると思います。
『ネイティブの句動詞』よりも網羅したいなら、『DUO elements』がオススメです。このシリーズは合計2200フレーズを収録し、990の重要熟語はピクトグラムで整理されています。これだけの句動詞を押さえておけば日常会話で困ることはありません。
これはスピーキング用の単語帳です。日常会話を目的にするならオススメの一冊。スピーキングには『1億人の英文法』+『スピタン888』+『DUO-elements』の3冊を押さえたあとは、ひたすらネイティブの配信や洋画などを視聴してリスニングとスピーキングを強化します。
オススメの補助教材(アプリや動画など)
Bestflip (アプリ)
今ではアプリを使用して自分専用の単語ノートを簡単に作ることが可能です。受験生なら志望校の過去問から、専用の単語ノートを作ることで合格率も上がるでしょう。しかし、巷には類似するアプリが多く、どれを使ったら良いかわからない人も多いと思います。
個人的に調べて実際に使用した限りでは『Bestflip』が最もシンプルで使いやすかったです。無料で無駄な広告も一切なく、最低限の機能のみで事足ります。欠点は音声読み上げがない点のみ。
他にも使いこなせれば学習を大きくサポートしてくれそうなものもありましたが、この手のアプリは機能が多いことがあまりプラスに働かないと思います。Bestflipは広告の誤タップにイライラすることもなく、とにかく求める機能をシンプルに使い続けることが可能でした。音声読み上げがない点のみ残念ですが(今後に期待)、単語・熟語音声は別途単語帳で事足りるので大きな問題ではありません。
当サイトの活動について
ここ最近世の中の学習コーチング費用の高さに驚き、学習塾や予備校、社会人向けサービス全般が本当に現代に合っているのか疑問に感じています。そもそもコーチングビジネスというのは本質的に矛盾を抱えていて、根本的な指導を回避すれば延々とお金を搾取できてしまうのです。例えば、英語のリスニングなら聴き取れない仕組みを情報を持っている側(コーチ)が開示し、聴き取れるまでの最短の道筋を示すことが必須。学習効果に至ってはコーチングによるものより本人の継続によるものの方が遥かに大きいのは自明です。
文章を読めない人が文章を読んで理解することが主となる勉強に取り組むなら、文章を読めるようになるための国語力に触れなければなりません。この根本部分を蔑ろにしたら全ての勉強が焼け石に水です。でもコーチングビジネスは焼け石に水の方が儲かります。逆に高い国語力を備えていて、勉強したらすぐに伸びるような人にはコーチングの価値がほとんどありません。必要な参考書を教えて終わりです。
当サイトでは高額な教材への誘導は一切ありません。当サイトの目標として、英語なら国内にいながらにして誰もが安価に参考書とAIで習得できる方法を確立すること。やるかやらないかの次元まで一般化することです。大学受験なら偏差値60程度まで自らの手で自らを成長させ、多くの人が生涯にわたって勉強を手段にできること。優れた参考書とAIがある現代において、それらは決して無理難題ではないはずなのです。