『速読英単語』中学版[改訂版]—レベル・難易度・特徴・評判【レビュー】

タイトル速読英単語 中学版
出版社Z会
出版年・価格2020/3/12 1430円
著者風早 寛
目的・分類中学英単語・熟語
問題・ページ数
(完成日数)
424ページ
総合評価
対象・到達レベル
(偏差値目安)
中学復習
(ALL)
教科書基礎
(40~45)
教科書標準
(45~50)
入試基礎
(50~55)
入試標準
(55~65)
入試発展
(65~70)
※[入試基礎=日東駒専・共通テスト・地方国公立] [入試標準=MARCH・標準~上位国公立(地方医学部含む)] [入試発展=早慶・旧帝大・医学部・一橋・東工大(科学大)]

速読英単語とは?

 英単語帳と言えば、一語一訳のシンプルな形式が多い中、長文と一緒に単語を覚えられるというコンセプトで古くから有名な参考書です。何と言っても最大の特徴は長文の中を生きる単語に触れられること。日本語と同様に、単語が文章の中でどのように柔らかく変容して意味になるのかを実践的に理解できます。

 対象レベルは、中学入門から高校入試(偏差値65程度)まで。小学校~中学校卒業までに覚えるべき単語が網羅されているため、この一冊で(最難関を除く)高校入試は問題ないでしょう。高校偏差値65は大学偏差値で言うところの55あたりになります。

 大人の学び直しの観点から考えると、小学生向けの英単語帳は易しすぎるため、小学校で習得する英単語の復習も考慮されているこの一冊から始めて問題ありません。ただし、後述する注意点を押さえておきましょう。

単語帳というより多読参考書として

 速読英単語を十分に活用するには、掲載されている長文をゆっくりでも読める英文法と単語の知識が必要になります。単語を覚えるために単語帳があるのではないかと反論したくなりますが、速読英単語は単純な一語一訳の単語帳ではなく、長文読解を前提にする多読参考書として評価しています。長文の中の生きた単語の意味を理解し、さらに音声によるリスニング、音読による速読力強化を図れる総合的な能力向上に役立てられる単語帳です。

 そして、オススメの使い方は音声をしっかり活用すること。どうしても単語帳というと、一語一訳に焦点を当ててしまいがちですが、英文を返り読みせず、左から右に読む訓練として音読は大きな効果を発揮します。音声は無意識的な文構造の理解を促し、脳が慣れた頃には驚くほど速読できるようになります。音読の重要性を知る人は何十回、何百回と繰り返すほど音声活用は語学学習において必須です。

 本格的な長文読解手前の語数、ややゆっくりめの音声が非常に使いやすい。速読英単語を好んで使い続け、改訂版が出版されるたびにチェックしたくなるほど個人的にはオススメの単語帳です。

文法力を基準に単語→フレーズ→センテンス→長文

 単語帳を選ぶ際には自身の「文法力(解釈)」と照らし合わせるのが有効です。文法力がまだまだ低いと考えているなら『ターゲット』のような一語一訳を選び、そこそこの文法力を備えているならミニマルフレーズの『システム英単語』や例文形式の『DUO』、さらに長文読解ができるほどなら『速読英単語』といった選択がオススメとなります。※例文を含むターゲットの方がシステム英単語よりも文法力を必要とする見方もあります。

 当サイトでは英語学習の第一歩に基礎的な文法、できたら簡単な英文解釈まで行うことを推奨しています。その際に『高校とってもやさしい英文法』や『高校とってもやさしい英文読解』はオススメ。なぜかというと、文法知識が全くない状態ではアルファベットの羅列と意味を結びつけるだけの無機質な暗記に陥りやすいからです。多少なりとも文法知識があれば、単語の品詞や用法にまで気を配ることができます。これこそが単語帳を正しくフル活用できる状態と言えるでしょう。

 なお、日本語ならば環境によって自然と文法が訂正(学習)されるため、基本的に第一に取り組むべきものは語彙です。それは語彙の意義を実感できるだけの文法(構造的な理解)を無意識的に獲得しているとも言い換えられます。単語一語、二語によるコミュニケーションを目的にしているわけではないなら、おそらくどんな言語もある程度の文法力があっての単語学習です。

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