学習塾の種類と選び方—子供との相性・費用・注意点【学び情報】

どうしても学習塾のホームページでは広告宣伝の意味で偏っているため、正しい学習塾選びができるように、第三者の立場からそれぞれの特徴を比較します。また、今後はChatGPTのようなAIサービスが競合になることが予想されるため、その点も踏まえながら結論を導きたいと思います。

目次

学習塾の種類—新たな形態も登場

 学習塾は大きく分けて「4」タイプあります。集団授業型、個別指導型、映像配信型、自主学習型です。もっともこれらは完全に独立したものではなく、集団授業を混ぜる個別指導型もありますし、個別指導も行える映像配信型などもあります。

 各形態を以下にまとめました。

 管理人は地方出身ということもあり、個別指導もあるにはありましたが、塾に行く同級生の多くは大手学習塾の集団授業型でした。インターネット環境も十分と言える時代ではなかったことから、映像配信型はDVD、あるいは都市部に限った形態だったように思います。自主学習型は聞いたこともありませんでした。

最近のトレンドは自主学習型—子供の主体性に焦点を当てる

 学校教育に対する批判もあり、時代も追い風となってか、最近のトレンドは自主学習型です。今は優れた参考書も数多く出版され、さらにWebサイトやyoutubeで情報を簡単に収集できる時代ですから、子供の主体性を第一に、勉強法の指導に焦点を当てるようになりました。これは確かに理にかなった方針です。

 自主学習型とは、塾から提示された市販の参考書をもとに子供自身が学習を進めていく形態です。塾は勉強法や参考書の使い方、志望大学に向けた対策といった自主学習全体をサポートします。生徒ごとに進捗管理が行われ、必要に応じて進捗テストを課して参考書のレベルを上げていくなどの判断が為されます。ほとんど授業を行わないところもあれば、個別に補習授業を行うところもあります。

 勉強アプリやAIの登場もあり、自主学習型は今後も新しい形を遂げそうですが、果たして一人で十分な学習を行えるのか?という疑問がすぐさま浮かぶところに子供の難しさがありますね。

どの塾を選ぼうとも、人間的な成長を重視したい

 どうしても親子の目線から語ってしまうと、中高生時代には受験というものが大きな存在として映ります。確かに目標として非常にわかりやすい。中学高校大学と10年間の環境を決めるわけですから、軽視できないことは事実です。

 しかし、大学受験後にはすぐさまゲームチェンジが起こり、偏差値の高い大学に行っている事実(学歴)よりも、本人の思考力やコミュニケーション力、問題解決力、発想力といった実社会で役に立つかどうかが測られるようになります

総務省「平成29年通信利用動向調査」(2018)

 ゆえにそもそもの目的として、偏差値の高い大学に進学することではなく、人間的な成長を伴った結果、偏差値の高い大学に進学できたという流れが理想です。常に焦点を当てるべきは大学合格より、社会的な能力の成長。そのために受験なり、学習塾なり、勉強を活用しているという点を履き違えてはいけないと思います。

 ここを履き違えてしまうと、偏差値という尺度に囚われた痛い大人になってしまいます。もし、大学受験以外にそれらの能力を育めるものがあるなら別に無理して受験する必要はありません。学びとは何か。勉強とは何だったのか。大人の学び直しをコンセプトにする当サイトを利用する方なら、それらの答えから学習塾の存在意義も自ずと見えているはずです。

それぞれの特徴を比較—主体的な学びに近づくことを第一に

 管理人は中学時代に集団授業型の塾に通っていましたが、どうにも合わなくて塾嫌いになり、高校は塾に行かず、大学受験は独学で乗り切りました。集団授業型のピリピリした雰囲気と独特の熱量が苦手で、かと言って他に選択肢もなく、市販の参考書をレベル別に買い集めて勉強していました。今であれば、自主学習型に興味を持ったかもしれません。

各形態の特徴を比較—総合型も増えているため、参考程度に

 先に述べたように塾の形態には幅があるため、塾全体を評価する場合には各形態の特徴を組み合わせてください。各要素の説明については以下の通りです。

料金

現役高校生向けの料金は学年や受講科目数によって異なり、おおよそ1科目につき年間20万円前後です。ただし、目的やオプションによって変動します。下記の例は1科目あたりの料金をやや強引に算出したもの。

映像配信型は、1科目=12万円

集団授業型は、1科目=15万円

自主学習型は、1科目=25万円

個別指導型は、1科目=35万円

※集団授業型でも映像配信サポートなどが含まれている場合は1科目につき20万円程度になっています。中学生向けの料金は上記の料金より30%~40%オフくらいです。

個別サポート

個別にどれだけの融通が利くかどうかを評価しています。例えば、進捗の遅い生徒に合わせて授業対応できるなら評価は高くなります。自主学習型は個別指導寄りの受験コンサルのような立ち位置なので、純粋に授業対応のサポートは評価していません。集団授業型は規模が小さくなれば、先生の裁量で個別サポートを行っていたりするとは思いますが、基本的に学校の先生に近いため、抱える生徒の数からしても手が回らないんですよね。

競争相手

環境の特性から競争意識や仲間意識が高まるかどうかで評価しています。集団授業型の場合、同じ地域の同級生も参加することが多いため、競争相手を認識するには最適な環境です。また、疑似的な進学校として、大学進学という価値観を当たり前のものにする効果も大きいでしょう。

授業の均質化

授業の質が安定しているかどうかを評価しています。授業が不安定=質が低いわけではなく、システム上、ムラがあるということ。映像配信型は評判のいい先生の授業を誰でも受講できる特性から高く評価しました。自主学習型を「△」にした理由は、参考書をベースにした学習を展開しているためです。

学習指導

学習指導は勉強法や進路に向けた戦略的な相談ができるかどうかで評価しています。自主学習型は受験コンサルティング要素を持っているため、高く評価しています。映像配信型は学習計画サポートが含まれているため、「〇」にしました。個別指導型を「△」にした理由は、担当の先生に相談できなくはないからです。

相性

塾の形態や方針による相性もありますが、管理人の経験上、先生との相性が何より大きいと感じています。子供は真摯に向き合ってくれない先生を見極めてしまうんですよね。また、子供自身による塾の評価は必ずしも塾そのものや成績向上に対してではなく、単純に友達と一緒だから、先生が優しいからという理由になってしまうことも少なくないでしょう。

 それにしても学習塾がこんなにも高いとは…。少子化の影響もあり、子供に注がれるお金は以前より増えているのでしょう。教育ビジネスの市場規模は想像以上に大きいものでした。

自主学習型が広まりつつある背景—受験に対する意識の変化

 自主学習型なるものが登場した背景には「塾以外の時間が大切」という共通認識が広まったためと思われます。もともと進学塾は入塾前にテストを行い、勉強に真面目な優等生のみをターゲットにしていたところがありました。今で言うところの「鉄録会」のような塾が少なくなかったわけです。

 そのため、塾以外の時間をわざわざ指導せずとも、全員が当たり前のように予習復習を行い、着実に成長して希望大学に合格する流れがあったのだろうと思います。子供は多いが、大学に進学する子は少ない時代。大学受験に特別な意識を持ちやすく、明確な目的意識にまで繋がっていました。今は大学進学率50%超える時代ですから、わざわざ大学進学する理由が見出されにくいのです。

 それに少子化の影響と塾業界の競争激化によって、子供を選んでいられなくなったと推測します。子供を選んでいられなくなった結果、予習復習を前提にするのではなく、予習復習という自主学習の時間をコンサルティングしていくことに価値を見出したわけです。この方針は合理的で、結局は自分で勉強して理解する習慣がなければ成績は上がりませんからね。

 この意味で言うと、自主学習型以外の形態は勉強に真面目な子供向けと言えるかもしれません。

 個別指導型は手取り足取り教えてもらえますが、あくまで勉強を教わることに焦点が当てられています。集団授業型は競争環境が性に合っている子供向け。映像配信型は勉強の仕方を理解しているマイペースな子供向け。とは言え、時代に合わせた要素を取り入れつつあるのが学習塾であり、コンサルティング需要があるなら言わずもがな、AIの導入も当然想定されます。

AIを活用する時代に学習塾は意味があるのか

 勉強の成績を伸ばすためには、何も学習塾しか選択肢がないわけではありません。今や便利なアプリもAIも参考書もありますから、自宅にいながら優れた指導を受けることが可能です。これを言い始めると、学習塾以前に学校に行く意味も問われている時代と言えますが、この点についてはまた別の機会にしましょう。

 結論から言えば、学習塾を利用する価値はあると思います。ただし、以下に述べる具体的な利点を考慮した上で、子供との相性や成績向上、延いては人間的な成長という結果が伴わないようなら学習塾以外の選択を考えるべきかもしれません。単純な受験勉強はAIや参考書だけでも十分な時代です。

学習塾は子供の環境的な利点になり得る

 小学生の頃から勉強が好きで、学校のテストも全国模試も難なく好成績を収め続ける子は少数派です。きっと多くの子供が勉強に対する義務感と戦いながら通学しています。そうした子供に勉強や受験の意義を説いてもなかなか受け入れてもらえないでしょう。

 そこで考えられる手段として、環境を与えること。子供は環境の変化に敏感ですから、言葉で説明されても理解できなかった勉強の意義も、集められた子供たちが真面目に机に向かっている雰囲気から無意識に感じ取る可能性は十分にあります。ただし、良い方に転ぶか、悪い方に転ぶか、最悪塾嫌いから勉強嫌いになってしまう可能性も否定できません。

 大人になってからも、人間は環境によってつくられることをよく実感しますよね。劣悪な環境では自己防衛意識が高まり、安心して仕事もできず、勉強もできず、成長する機会を逃してばかりになります。勉強の意義から理解の仕方、自主学習の習慣まで確立したら、そのときはもう学習塾も必要なくなるかもしれません。

最難関入試の情報戦は依然として塾や予備校が有利か

 大学受験で言えば、東大・京大・医学部のような最難関入試を受験する場合、依然として塾や予備校の価値は残っていく可能性はあると考えます。

1.市販の参考書だけでは問題の対策が困難になりやすい

 市販の参考書でも最難関入試向けのものはありますが、受験生ひとりで過去問から正しい戦略を立て、必要な参考書を手に取る情報戦に近い部分から、その内容を理解して十分な演習量を継続できるかというとなかなか難しい場合が多いのではと思います。

2.数多くの生徒を合格させてきた講師の経験値は無視できない

 自分が取り組んでいることに確証が持てないと不安になりますから、実際に最難関入試を突破して多くの生徒を指導してきた講師には一定の安心感があります。『傾向と対策』の情報戦においては確実に利点があると言えるでしょう。ただし、予備校の実績は体験入学しただけなのに合格実績として取り上げる場合もあるため、本当にその予備校に通ったおかげで合格できたかどうかは慎重に考えるべきです「高い学費なりの効果があるのだろう」ということはあまり考えない方が良いと思います。

3.周囲のレベルを体感できる

 全統模試で好成績を残しても、東大オープン模試などの最難関大学向けでは成績を残せないことがよくあります。受験生ひとりでは成績に対する客観的な分析が乏しくなり、周囲のレベルも体感できずにいると現実的な目標を設定できない可能性があります。

 反対に、最難関大学を志望しないようなら塾や予備校の存在意義は大きくありません。勉強の取り組み方も使用する参考書も、無料で提供されている有益な情報を頼れば事足ります。ただ、少なくとも軌道に乗るまでは客観的な指導があった方がより良いのは間違いありません。

AI時代だからこそ、人間との触れ合いは貴重な体験になっていく

 勉強ができるできないにかかわらず、子供とは別の視座から語られる生きた人間の話は貴重です。例えば、難関大学に合格した思考法や勉強に取り組む姿勢、精神論なんていうコラムのような話も一生の財産になります。勉強嫌いな子供に、同じように勉強嫌いだった先生が面倒を見るという関係性には代えがたい価値があります。

 これらは単なる情報としてではなく、目の前で実体験を伴った人間の表情や声、身振り手振りを総合的に感じ取れることが重要です。人間が人間によって心動かされる体験は将来の重要な分岐点になり得ます。おもしろい、温かいという前向きな気持ちを追い求める姿勢を備えれば、社会にとってもより良い感情をもたらす大人になれるはずです。

 優れた大人、先生ほど本質を意識しますから、そういう大人と触れ合う時間が長いほど子供には好影響を与えます。論理的な思考や高度な言語的コミュニケーションも、それらを備える大人との無意識的な触れ合いによって薫陶を受けていくのです。おそらく「勉強を教えられる・教わる」という価値はAIによって低下しますが、人間との触れ合いを通じて無意識的に学ぶものの価値はむしろ向上していきます。

 人間の単純な計算能力が電卓で代替されたように、AI時代に求められる能力はまだまだ未知数ながらも、人間の本質的な能力は変わらず求められていくものと思います。本質的な能力とは、思考力、行動力、発想力といった問題解決のプロセスで発揮されるものです

 その獲得や成長のために、学習塾という選択は現状において否定しきれない。まだ肯定する余地の残っている環境と結論づけておきます。

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