タイトル | DUO 3.0 | |||||||||||
出版社 | アイシーピー | |||||||||||
出版年・価格 | 2000/3/15 1320円 | |||||||||||
著者 | 鈴木 陽一 | |||||||||||
目的・分類 | 大学入試用単語帳 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | 432ページ 例文数560 総掲載語数7866語 | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象・到達レベル
・中学英単語から高校入門単語までを終えた人(対象偏差値55~、到達偏差値65、英検準1級)
・文法を一通り押さえた人、例文形式で覚えたい人
・大人の学び直しにはDUOを推します(対象:英語中級者向け、英検3級以上)
※本書の総掲載語数7866語は重要単語を基準にしているため、実際に英検準1級以上の語彙問題のようなマニアックな単語を覚えるのにはそこまで向いていません。それでも2級までなら万全。準1級以上の語彙対策は単熟語EXシリーズを推奨します。
本書は高校入門~基礎単語はあまり含まれておらず、有名どころの単語帳で言うとターゲット1900やシステム英単語、速読英単語(必修編)、竹岡先生のLEAPと同程度の単語・熟語レベルになっています。大学入試特化型の単語帳ではありませんが、英検・TOEIC・TOEFLと幅広く通用する重要単語を集めているため、大人の学び直しには最適の一冊かもしれません。
本書の構成
・見出し英文560、見出し語(単語1572語)+(熟語997語)=2569語、派生語・関連語(単語1515語)+(熟語699語)=2214語、同意語・反意語(単語1938語)+(熟語1145語)=3083語、総掲載語7866語
・560の自然な英文で見出し語2569語を網羅、英文音声は60分で1周
本書は一語一訳一例文のターゲットとは異なり、一つの例文に複数の単語と熟語が詰め込まれています。おそらくこの形式の単語帳で最も有名なのが本書です。2000年に出版されてから多くの支持を集めていましたが、改訂されることもなかったためか、現代の事情を考慮する大学受験用の単語帳が人気を集めてしまっています。
加えて、掲載単語のレベルも高校基礎単語があまり取り扱われておらず、例文形式の暗記は文法知識あってこそ真価を発揮することを考えると、帯に短し襷に長しの印象を与えてしまっているのかもしれません。日東駒専には過剰、中堅私大にもやや過剰、MARCHあたりにはちょうど良く、早慶には少し足りない。本書の前後に接続する単語帳もベストなものが少なく、強いて挙げるなら本書の後には『速読英単語[上級編]』がオススメです。
システム英単語[中学版]からの接続
先に述べたようにDUOの使いにくさの一つに前後の接続が難しい点が挙げられます。例えば、ターゲットなら中学版から1200、1400、1900とレベル別に分かれており、一語一訳一例文の形式もずっと変わりません。一方、本書のような例文に単語・熟語を詰め込んだ形式、かつ音声付きはかなり少なく、シリーズ化されているわけでもないために独立した一冊として使う他ないのです。しかも本書のレベルは最初の一冊としては使いづらい。
そこで本書の前に接続できる理想的な単語帳は何か?と探し求めた結果、システム英単語[中学版]が理想的な接続になり得ることがわかりました。システム英単語はミニマルフレーズが有名ですが、中学版だけは本書と全く同じ形式です。システム英単語[中学版]は偏差値65の難関高校にも通用するほどの網羅性を有しているため、本書に取り組む前のレベルとしてはちょうど良いものになっています。たった2冊で中学~早慶準備レベルまでの単語・熟語を網羅できる利点は計り知れません。なお、難単語の多い早慶ではなく、東大なら本書だけでも十分です。重要単語中心の本書は国公立入試との相性が良い。
オススメの使い方
本書の最大の利点は単語と熟語を一度に覚えられること。それを最大限に引き出すためにも、560の例文を1週間で1周(1日80例文=約400語)してしまうのがオススメです。一般的に単語を覚える場合、1日に100語でも相当頑張っている方ですが、DUOの例文形式なら400語に目を通しても80例文(音声復習も10分弱)で済みます。
見出し語2600語を1週間で網羅できるのは驚異的です。音声と併用しながら進めると時間がかかってしまうなら、とにかく最初に例文に目を通してしまいましょう。例文に慣れた頃に音声利用しても遅くありません。ただし、音声CDは別売りとなっている点は注意が必要です。※DUOは中古ならCDも安く手に入ります
文法・語法の知識があるとなお良し
本書の例文は短いものの、文法語法の知識がなければ真価は発揮できません。省略や倒置、分詞構文などが当然のように含まれているため、なぜそのような和訳になるのかを理解できないと消化不良になってしまうと思います。例文の単語・熟語を拾うだけの読み方では単純暗記と変わりません。
例文による暗記では、英文の構造的な理解から各単語・熟語の役割を明確に意識する必要があります。もっとも長文を流暢に読めるほどではなく、中学英文法をしっかりと終えているなら問題ありません。ちなみに本書の前に利用できるシステム英単語(中学版)では中1~中3、高校入試、高校基礎と掲載例文のレベルも段階別に配慮されています。
熟語を覚えるなら本書が理想か
昔から支持されていた熟語帳は『速読英熟語』、次いで『英熟語ターゲット1000』あたりだったと思います。現在は掲載語数に秀でる『システム英熟語』やレベル区分から使いやすい『キクジュク』と優れた熟語帳は増えつつあります。しかし、2024年に出版された『速読英熟語』は充実した内容ではあるものの、書き下ろしの文章の評価は分かれました。文章を通じて熟語を覚えるだけではなく、文章そのものの質が高くなければ効率が良いものとは言えません。
従来から続く単純暗記型の熟語帳であれば、網羅性が高い『システム英熟語』や『キクジュク』、『英熟語ターゲット1000』が無難な選択肢になりますが、熟語は単語の暗記とは勝手が違い、できるだけ文章の中で覚えた方がより良いと考えています。そこで文の質の高さを確保しつつ、熟語を覚えられる形式として本書が筆頭候補に挙げられます。
早慶の一部の学部を除くと、おおよそ大学受験では1000語の熟語が目安ですから、本書の収録語数からして問題はなく、さらに自然な英文を心掛けた560の例文による暗記は熟語を覚えるにも適していると思われます。音声CDによる高速周回も可能、派生語・関連語などの補足情報も充実し、例文を覚えた際には英作文にも活きるでしょう。意外と非の打ちどころのない高い完成度を誇る内容になっています。