- 80の重要項目で進捗度がわかりやすい
- 音読練習もできるCD付
- チェックテストで知識の確認もできる
中学英文法に取り組む子供から大人まで
速読英単語でお馴染みのZ会による中学英文法の参考書です。英文法は中学校の学習指導要領の都合上、どうしても広く浅くならざるを得ないため、いきなり高校英文法から始めても問題なかったります。むしろ高校英文法から始めないと痒いところに手が届かないとまで言えるかもしれません。
しかし、高校英文法書で有名な「Forest(現Evergreen)」などは詳細な解説が心強い一方で、人によっては心理的な負担が大きいという欠点があります。それゆえに辞書的な使い方か、学習に不慣れな人はまず中学英文法を押さえて高校英文法に接続する方がより良いと思われます。
本書は全274頁+章末のチェックテストの合計約300頁にオールカラー(確認問題のみ白黒)、80の重要項目ごとに英文法を深く理解できる一歩踏み込んだ解説が為されています。例えば、前置詞「at、on、in」の解説では、それぞれの中心イメージがわかるように図が用いられており、さらに疑問を抱きやすい箇所は(発展的な内容として)質問コーナーが設けられています。
ページレイアウトは『くもんの中学英文法(スーパーステップ)』旧版に似ています。ページ上部に例文が掲載され、下部が解説です。くもんの中学英文法は解説でも複数の例文が用いられていますが、本書は日本語による解説が多く、高校英文法書に近い印象を抱きます。
では、どちらを選ぶべきか。くもんの中学英文法は最新版がオールカラーなので、豊富な例文か、日本語による解説をどう評価するかによって分かれるかと思います。どちらを選んでも失敗はありません。英文法は理解が大切なので、個人的には日本語解説の多い本書が好みです。なお、後発にあたる本書は旧版であっても新学習指導要領の「仮定法」が含まれているため、旧版同士を比べるなら本書がオススメです。もっとも高校英文法まで学習するならあまり変わりませんが。
使い方は?注意点は?
本書を使用する前提として、解説の文章を理解するための用語はしっかり押さえておきましょう。特に品詞(形容詞、副詞など)は最初から最後まで頻繁に用いられます。形容詞って何だっけ?とならぬように理解しておく必要があります。
それを踏まえて、英文法の定着は問題集によって成されると考えているため、問題集の解説を円滑に理解できるまで本書を読み込むのがいちばんと思います。問題集の解説で理解できないなら、本書の該当箇所に戻ること。逆に言うと、丁寧な解説の問題集を用いるなら、何度か通読するだけでも十分。英文法を意識しながら音声CDを繰り返し聴くのもオススメです。
すでに知っている文章を何度も繰り返して意味があるのか?というと、英文法の問題意図の把握と同様に、例文に込められた文法知識を意識することに意味があります。文章と意味がわかっているのは当たり前のことなのです。要求された知識を正しく引き出せるようにする訓練になります。
また、英文法は講義を受ける(他人から説明される)利点がかなり大きいと思われます。今ならyoutubeや学習アプリでわかりやすく解説されていますから、文法書に目を通したあとに聴き込むのもオススメです。学習に不慣れな人の場合、テキストのみでは理解できているようで理解できていない可能性があります。
それと英文法の学習そのものをどのように感じるかは自覚しておいてください。というのも、自分に合った学習を模索するために必要な感覚だからです。おそらく他言語のルールを座学する英文法が性に合っている人も少なくないと思います。言語学への興味が高い人なら、読み物として純粋におもしろいと感じるはず。
英語学習の軸をどこに置くか。確かに英文法は杓子定規で実践的ではないかもしれませんが、英文法の学習がおもしろいと感じるならとことん英文法の知識を蓄えるのも手です。
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