タイトル | 真・解法への道[第2版] | |||||||||||
出版社 | 東京出版 | |||||||||||
出版年・価格 | 2024/8/26 2640円 | |||||||||||
著者 | 箕輪 浩嗣 | |||||||||||
目的・分類 | 難関大志望のための難問対策 | |||||||||||
問題・ページ数 | 608ページ | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル | 日常学習 | 教科書基礎 | 教科書標準 | 入試基礎 | 入試標準 | 入試発展 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
対象・到達
【対象】
・難関大志望、かつ入試標準レベルを終えた人
・文系なら旧帝大以上、理系なら準難関国公立(神戸、横国、筑波)以上
・数学が得意というほどではない難関大志望
※準難関国公立までは標準レベルの典型問題が多いため、本書より優先したい参考書があります
【到達】
・難問対策に必要な視点と考え方が身につく
・典型的な難問を押さえられる
本書は入試標準レベルを超える難問対策の参考書になります。入試標準レベルまでは『青チャート』や『新数学スタンダード演習』などで網羅的に典型問題を押さえることが可能ですが、それを超えるレベルになると大きな壁があり、よほど数学的センスに恵まれている人でない限りは太刀打ちできないのです。しかも入試標準の典型問題までを網羅する方針を立てる一般的な受験生の場合、どうしても予備校や学習塾の指導にアドバンテージがあり、参考書による独学が難しい領域でもあります。
本書はそうした難問について類書に見られないほど懇切丁寧に解説し、難問の中でも典型的、かつ応用できる問題と価値ある考え方を提示してくれています。数学を解法暗記で乗り切ろうとする受験生を、難問に向き合えるように引き上げてくれるのが本書です。なお、大人の学び直しにも向いています。入試標準レベルまでをしっかり終えたあと受験数学の難問に関心を抱いたのなら、本書の講義調はわかりやすく頭に入ると思います。
独学の強い味方
もともと数学は独学しにくい科目でしたが、近年はyoutubeなどで無料の講義動画が流通し、数学が苦手な人にも取り組みやすい『入門問題精講』などの参考書も増えてきました。一昔前に比べたら優れた選択肢が当たり前のようにあります。しかし、難問に関しては依然として数が少なく、あっても数学が得意な人でないとなかなか実力に寄与しないものが多い印象です。
また、基本的に数学の難問対策というのはコスパが悪く、受験戦略としては入試標準レベルまでを完璧にした方がより良い事情もあります。はっきりと難問完答によって合否を分ける大学・学部は指で数えられる程度しかありませんからね。ただ、合否を分けるほどではないにしても、入試標準レベルを超える問題が出題される大学(旧帝大や早慶、理科大)の場合、全く難問対策せずに受験するリスクは無視できません。
そこで本書です。本書は一通りのテーマを押さえている上に、難問の中でも重要な考え方を得られる良問に焦点を当てているため、本書一冊を終えられたらひとまず十分と言えます。標準+αにちょうど良い量です。過去問に入る前に本書に取り組んでおけば、難問を正しく力に変えられるでしょう。
反論を覚悟して言いますが、私は、このような同値性が明らかな問題では、十分性の確認をするべきではないと考えています。同値性を把握していないことを自ら告白するようなものだからです。受験生から「いつ十分性の確認をすべきなのかが分からない」という質問を受けることがあります。これはその受験生の理解が足りないのではありません。「不必要な十分性の確認」をした大人の解答が世間にあふれているせいです。厄介なことに、それは検定教科書の中にも存在します。最も典型的なものが――
真解法への道 数学IAIIBC(ベクトル) P50より引用
このような解説は実際に似た悩みを抱える受験生に刺さると思います。英語で言うと、思考プロセスを学べる解釈系の参考書。難問を目の前に一から思考を展開・解説してくれるので、入試標準レベルにある一般的な受験生を発展レベルまで引き上げてくれるというのはそういうことです。こうした解説がどうにも肌に合わない場合を除き、現状の難問対策の“はじめ”として採用する参考書の筆頭は本書です。
