タイトル | 必携英単語LEAP BASIC | |||||||||||
出版社 | 数研出版 | |||||||||||
出版年・価格 | 2020/11 | |||||||||||
著者 | 竹岡 広信 | |||||||||||
目的・分類 | 高校入門英単語 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | 424ページ | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象・到達レベル
・高校入門~入試基礎(偏差値55、共通テスト、日東駒専・地方国公立まで)
単語レベルはターゲット1200と同等ですが、単語の選定がやや特殊です。ターゲットは膨大な大学入試英語から抽出されたものであるのに対し、本書はCEFRに基づく実践を意識した単語になっています。Basicの高校基礎単語レベルなら大きな違いは見受けられませんが、次のレベルでは明らかに違います。※CEFR(セファール)とは、外国語の習熟度や運用能力を測る国際的な指標のこと。
大学入試のみを意識するならターゲットに分がありそうですが、英検利用などを意識すると本書の方が効果的に働く場合があります。なぜなら、CEFRに基づく実践的な単語が並び、用法・文法事項の解説は圧倒的に本書の方が充実しているからです。大学受験に絞った英語、勉強に不慣れな人にはターゲットがオススメ。
高校入門レベルを対象にした高性能な単語帳
英単語と言えば、ターゲットやシステム英単語、速読英単語が有名なため、わざわざ他の参考書を選ぶ人は少ないかもしれません。他の参考書を選んだところで結局はそれら3つの参考書よりも劣っていたり、同じ程度なら皆も使っているものを選びたくなる心理もあるでしょう。しかし、このLEAPは後発の利を活かし、それら3つの良いところだけを集め、さらに文法や語源、四技能にまで踏み込んだ高性能な単語帳に仕上がっています。
グルーピングによって覚えやすい上に似た単語のニュアンスの違いを解説していたり、文法事項、システム英単語を彷彿とさせるフレーズ、話す書くの発信語彙、読む聞くの受信語彙、前置詞のイメージ図、語源、発音と会話に役立つ知識など価値ある情報満載です。これだけの情報を掲載しながら、レイアウトが見やすく、ひとつひとつの単語を機械的に覚えさせない工夫が散りばめられています。
参考書一つで人生が変わるなんて大袈裟なことを言いたくありませんが、そう言いたくなるほど非常によく考えられた参考書です。2020年発売の本書はまだ認知度も高くないと思いますが、今後はターゲット、システム英単語、速読英単語、LEAP、もしかしたらLEAPが頭一つ抜け出すかもしれません(音声が使いやすくなれば)。
情報量の多さを扱いきれるか
中学英単語・熟語の復習に400語を割いていますから、高校一年生の最初の一冊に適していると言えるでしょう。単語の構成はターゲット1200に近く、比較対象となるシステム英単語Basicや速読英単語入門は中学復習に意識的に割く語数が少なくなっています。
注意点として、情報量の多さを活かしきれるのかということ。大人の学び直しなら有無を言わさずに推薦できますが、試験目的に勉強する子供にとっては余計な情報と認識されてもおかしくありません。この単語帳は実用的な英語力を養成する方針に舵が切られた現代向きではあるものの、そのための価値ある情報として認識されるまでにはしばらく時間がかかりそうです。
なお、著者の竹岡広信先生はドラゴンイングリッシュや東大の英語(難関校過去問シリーズ)、基礎英作文問題精構なども出版されています。人によっては著者との相性が学習効率に影響します。興味があったら他の参考書も調べてみてください。
主要単語帳との比較
『ターゲット』—シンプルな単語帳ですが、例文を英作文トレーニングとして利用したら想像以上に高性能な単語帳に化けます。英語初心者でも取り組みやすい単純暗記型。
『システム英単語』—ミニマルフレーズで単語をパーツとして覚えられるのが最大の特徴。この認識は英作文やスピーキングにおいて利点となるでしょう。
『LEAP』—簡易文法書+単語帳。情報量多め。発信語彙(W&S)と受信語彙(R&L)に分けられているため、単語知識の発展的な利用を意識しやすいつくりです。
『速読英単語』—多読参考書+単語帳。情報量多め。単語の推測法。文法と解釈を終えたあとなら、長文・リスニング対策も兼ねられる最高の単語帳になります。
どれも甲乙つけがたい優れた単語帳です。英語の本質的な力を意識するなら『LEAP』ですが、別にそれは単語帳に求めなくても良いという人もいるでしょう。単語はサクッと終わらせたいなら『ターゲット』の単純暗記はシンプルイズベストです。
個人的には『速読英単語』が好みです。速読英単語は長文・リスニング対策としても使いやすく、何度も周回したときに身につく力が群を抜いている気がします。ただ、それは長文・リスニング重視の大学受験だからであって、本格的な英会話を意識すると『システム英単語』の方がより良いという結論に変わるかもしれません。やはりどれも甲乙つけがたい優れた単語帳です。