タイトル | 速読英単語[入門編][必修編][上級編] | |||||||||||
出版社 | Z会 | |||||||||||
出版年・価格 | 入門編[2021/3]必修編[2022/3]上級編[2023/3] 1430~1650円 | |||||||||||
著者 | 風早 寛 | |||||||||||
目的・分類 | 高校入門~難関大までの単語帳 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | [入門編]504ページ・約1400語 [必修編]544ページ・約1900語(派生語込み3100語) [上級編]452ページ・約1200語 | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象・到達レベル
[入門編]偏差値45~55 難関高校・共通テスト・日東駒専・地方国公立下位まで
[必修編]偏差値55~65 MARCH・東大レベルまで
[上級編]偏差値65~70 早慶レベルまで
基本的には必修編まで取り組めば十分です。特に国公立は私立最難関に比べて英文の単語レベルはそこまで高くありません。東大であっても必修編で事足ります。下手に上級単語に手を出すと、木を見て森を見ず、他科目とのバランスや得点の優先順位が崩れる恐れがあります。
上級編の単語推測法は一読の価値ありですが、上級レベルは志望校の過去問から単語ノートを作成するか、抽出した単語の傾向に合わせたテーマ別単語帳(リンガメタリカなど)を使用する方が効率は良いでしょう。もちろん、志望校がまだ決まっていなかったり、余裕のある時期だったりすれば上級編も有効です。
本書の構成・単語数
[入門編]504ページ・約1400語
[必修編]544ページ・約1900語(派生語込み3100語)
[上級編]452ページ・約1200語
1日あたりの単語数は特に決めない方がオススメです。気持ちとしては1日50語などとキリよく終わりたいところですが、その時々の体調や集中力、時間、単語も異なる中では語数よりは時間、時間よりは中身というのが個人的な考えになります。中途半端に終わる方がむしろ意識の引っ掛かりを残している気がします。
そして、必修編の派生語までしっかり覚えたあとに、上級編を取り入れるかどうかの判断をします。難しい単語を知っていると安心するかもしれませんが、それよりは知っていて当然の単語を知らなかったときのリスクの方が受験では大きいと理解してください。
英文法をしっかり押さえたあとなら最高の単語帳
当サイトでは、速読英単語は多読参考書に位置づけており、英文法がしっかり身についていない状態では本書の良さを引き出せないと考えています。単純暗記型のターゲットやシステム英単語、LEAPの方が単語帳としては扱いやすい。
英語学習の順序には様々な意見があるかと思いますが、個人的には英文法を最初にしっかり押さえる方針を有力としています。英文法を押さえておけば、単語の品詞や用法、前置詞との組み合わせまで気を配って覚えられるようになります。単語から覚えてしまうと二度手間なのです。また、大学受験ではリーディングとリスニングが重視されるため、何度も繰り返し使う単語帳なら速読英単語が最も有効に働きます。
ただ、ライティングやスピーキングを重視するなら、システム英単語のフレーズ暗記が力を発揮します。会話を目的にする大人の学び直しなら、システム英単語が最もオススメかもしれません。有名な単語帳はどれも似たり寄ったりではなく、意外としっかり差別化されているので自分に合う一冊を見つけましょう。
単語帳の勘違いと単語帳不要論
勉強に慣れていない人は単語帳の単語を全て覚えたら、長文読解できると思い込んでいる節があります。しかし、単語帳というのは、長文読解で使用する可能性の高い単語(一語一訳)を独自の方法で抽出してまとめたものに過ぎません。長文読解前に最低限押さえておきたい単語(一語一訳)を覚えただけなのです。
試験の難易度によっては単語を覚えただけでもそれなりに読み進められる場合もありますが、基本的にわからない単語は何かしら出てくるものであり、長文読解の演習ではわからなかった単語をその都度単語ノートにまとめるなりして覚える作業が必須です。あるいは単語帳を2冊、3冊と取り組んでより多くの単語を網羅することになります。この『+α』の部分を軽視してしまう人が少なくない印象です。
他方で、単語帳を使わないという人もいます。この原理は文法問題集や長文で出てきた単語をその都度覚えるだけで、大学受験なら大学受験レベルの単語を自然と網羅できるためです。英語の問題に取り組む=大量の単語に触れている状況をしっかり活用していますし、さらに『読み解くために必要』というアウトプットに由来する意識も記憶の定着に大きく貢献するでしょう。単純暗記より、実践暗記。
その意味では、単語帳はそういう作業を面倒だと感じる人にとって適していると言えます。どちらが効率的かと問われると、何とも言えません。課題の整理や頻出データの活用では単語帳が有利ですが、言語学習は常にアウトプットを想定した方がより良いという意見もよくわかります。今は文法問題集も音声付きが当たり前になっていますし、人によっては単語帳不要論が成績を伸ばす秘策になるかもしれません。