『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』—中学英語・レベル・難易度・使い方【レビュー】

どんどん話すための瞬間英作文トレーニング
総合評価
( 2.5 )
メリット
  • 中学英語から会話を意識できる
  • 簡単な英作文を瞬間的に発想する訓練
デメリット
  • 会話表現は扱われていない
  • 日本語的な発想の英文が多いかも

対象・到達レベル

・中学英文法と単語・熟語を一通り終えた人

・高校入試基礎レベルの英作文が身につく

 本書はスピーキング目的というより、中学レベルの英作文フレーズ集として捉えるべき参考書です。今では出版年も古くなり、本書よりも優れた参考書は数多くあります。

単語の暗記と同様に、瞬間的にフレーズが出てくる大切さ

 本書は2006年出版当時から注目を集めたもので、Amazonでの評価数は2000件近くもあります。当時、管理人も評判を聞きつけて手に取った本書でしたが、三日坊主に終わってしまいました。

 なぜ、本書がそれほど注目を集めたのか。おそらく誰にでもわかる簡単な内容であったこと、さらに日本人の苦手な英作文とスピーキングに焦点を当てたことの二つの理由が考えられます。

 今でこそ実用的な英語力が意識されていますが、当時は英作文も一部の難関国公立での出題に留まり、スピーキングに関しては全くと言っていいほど触れられていませんでした。英文法偏重の時代ですから、東大生ですら本書で取り上げているような簡単な英作文が咄嗟に出てこない、あるいは出てきても小難しい表現しかできなかったわけです。

 本書は中学英語レベルの簡単な英作文を各項目別、全体で1600文にまとめています。数としてはかなり多いのですが、初歩的な英作文ばかりなので負担は大きくありません。中学英文法の復習や英作文の参考書としてもちょうど良く、学年別にまとめられている点も高評価です。

 したがって、対象レベルは「中学英文法を一通り終えた人向け」とします。中学英語だけで英会話をしようと思ったら、本書は必携の一冊になるかもしれません。ただし、欠点を挙げるとすれば、あくまで英作文寄りなので独特の会話表現は取り上げられていないことです。例えば、「あなたに賛成です」は「I agree with you.」と記されることはあっても、「You are on.」のような会話で用いられる独特の表現は本書にありません。

 そのため、よくある英会話フレーズ集ではなく、タイトルにある通り、英会話に繋げるための英作文回路を構築するに留められています。言い換えると、中学英語の単純さなら「英作文=スピーキング」と言っても過言ではないということかもしれません。

最も意識しにくいスピーキングにどう対処するか

 スピーキングは「発声・アクセント」と「英作文(会話表現)」の二つの能力に分けられるかと思います。どちらも実際に英語を話す環境にいなければ、間違いを指摘されることもなくて難しい印象です。

 しかし、現代は便利な世の中ですから、英語でコミュニケーションする環境をつくること自体はそれほど難しくありません。例えば、FPSやMMOなど海外プレイヤーと交流できるゲームをプレイしたり、他にもチャットアプリで海外の人間と知り合ったり、英語でコミュニケーションする状況はすぐにでもつくれます。特に今の子供たちは、親の知らぬ間にそうした環境に果敢に飛び込んでいるものです。

 そして、目的意識が芽生えれば、自然と英語学習の効率は上昇するでしょう。中学英語だけでも日常会話ができるという言説が真実味を帯びてくると、よりいっそう学習に力が入るはずです。

 ということは、「発声とアクセント」の問題の方が大きいのかもしれませんね。受験英語ではアクセントの問題がなくなったため、以前よりも軽視されやすい状況です。さらに普段から単語を覚えるにしても、音よりもアルファベットの並びで覚えてしまう人は多いのではと思います。本格的にリスニングに取り組むようになると、音の重要性に気づきますが、それでも聴き分けることと発声することは違います。

 この点においては、以前に紹介した「英語耳」がオススメです。発音記号と発声方法の知識があれば、英語ネイティブから指摘される環境に置かれても、きっと問題なく対応できます。

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