Z会数学基礎問題集 数学 チェック&リピート―レベル・難易度・特徴・評判【レビュー】

タイトルZ会数学基礎問題集 数学 チェック&リピート [IA] [IIB] [IIIC]
出版社Z会
出版年・価格2022/3/1(IA)1210円 2023/5/10(IIB)1430円 2024/5/10(IIIC)1650円
著者亀田 隆、高村 正樹
目的・分類網羅系問題集
問題・ページ数
(完成日数)
352ページ(IA)、456ページ(IIB+ベクトル)、328ページ(IIIC)
総合評価
対象・到達レベル
(偏差値目安)
日常学習
(ALL)
教科書基礎
(40~45)
教科書標準
(45~50)
入試基礎
(50~55)
入試標準
(55~65)
入試発展
(65~70)
※[入試基礎=日東駒専・共通テスト・地方国公立] [入試標準=MARCH・標準~上位国公立(地方医学部含む)] [入試発展=早慶・旧帝大・医学部・一橋・東工大(科学大)]

対象・到達レベル

・中学3年生の先取り、高校1年生から使用可能な大学入試基礎レベルの網羅系問題集

・対象は地方国公立(共通テスト対策込み)、中堅私立志望の受験生

・到達レベルは偏差値60まで(チャート式の黄と同程度の難易度)

 本書はZ会から出版された網羅系問題集です。数学の網羅系問題集と言えば「チャート式」が有名ですが、本書はチャート式よりもページ数が少ないながらも精選された問題によって効率良く重要事項を確認することができます。

 チャート式で言うところの「黄」に近い内容となっていますが、教科書と入試標準レベルの取り扱いは少なく、主に偏差値50~60の入試基礎レベルを中心に網羅しています。また、本書はチャート式よりもアウトプット寄りの問題集なので、解法暗記を目的に使用するのはあまりオススメできません

チャート式との比較

・本書の方がページ数が少ないため、周回しやすい。黄チャートは約500~600ページ>本書は約350~450ページ

・解説はチャート式の方が丁寧。解法暗記を目的にするなら、解説の充実度とレイアウトからしてチャート式を推奨します。本書は最も淡白な解説の赤チャートと同じ必要最低限。

・網羅系問題集としての性質を有するためにチャート式と比較されやすくなっていますが、個人的には『入試の核心』や『厳選大学入試数学問題集』などのアウトプットを軸に重要事項の要点整理が付属している問題集という認識です

・本書は授業の補助教材か、地方国公立や中堅私立志望者のアウトプット型問題集が良い位置付けかもしれません。特に文系数学で成成明学・MARCH(数学が易しい学部)を攻略するときには最適な問題集になり得ます。

 総評すると、解法暗記を目的にするなら「チャート式」に軍配が上がります。将来的な辞書利用を視野に入れると、よりいっそうチャート式の方が使いやすく見えます。本書で解法暗記を行おうとすると、公式を丸暗記するに近い不安が大きい。入試基礎レベルの問題集としてなら高く評価できますが、わざわざ本書を使わなくてはならない場面があるのかというと微妙なところです。

入試の核心、厳選大学入試数学問題集、マセマ元気が出る問題集との比較

 それぞれのレベルで言うと、『入試の核心=入試標準』、『厳選大学入試数学問題集=入試標準寄り』、『マセマ元気に伸びる問題集=入試基礎』となっています。問題数は『入試の核心=150題』、『厳選大学入試数学問題集=272題(理系)、160題(文系)』、『マセマ元気に伸びる問題集=120+120+142=382題』、『本書=約1000題』です。ちなみにインプット型の基礎問題精講は約750題、チャート式は約2200題。

 こう並べてみると、アウトプット型問題集としたら本書の問題数は群を抜いています。偏差値60までの入試典型問題を網羅するなら利用価値があるのも間違いないでしょう。そして、先に述べた懸念点を解消するなら、意外と問題精構シリーズとの併用が効果的かもしれません。入門・基礎問題精講は解説がチャート式以上に充実しているため、本書の不足した解説を補完できる期待が持てます。あるいはやはり学校や学習塾の授業で十分な解説に触れている人が確認目的で取り組むか。この場合ならチャート式の解説より、本書の要点を的確に押さえる解説が合っています。

 いずれにしても、要点整理の利点が悪しき解法暗記に繋がりかねない点を理解しておけば、本書の用途は見出せると思います。確かに問題のレベルとしては最初の一冊でも差し支えないけれど、本書だけで入試基礎を終えるにはリスクがあるということです。補助教材という位置づけがちょうど良い。

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