『例文で覚える中学英単語・熟語1800』―レベル・難易度・特徴・評判【レビュー】

例文で覚える中学英単語・熟語1800
総合評価
( 3 )

対象・到達レベル

・英語初心者、中高生向き

・偏差値55~60までの中堅私立・公立高校レベル

 中学英語の基礎単語から載っているため、英語の学習を一から始める人でも使える単語帳になっています。ただ、難関高校入試レベルの単語は扱っていないため、到達レベルとしては地元の公立・私立高校までとしました。

全体的に基本単語が並ぶ初心者向け単語帳

 最大の特徴は単語+例文ではなく、例文の中に覚えるべき単語と熟語が網羅されている点です。今ではDUOやシステム英単語(中学版)でも同様の形式が用いられていますが、出版された2008年当時は中学生向け単語帳の中でも新規性があったのだろうと思います。ちなみにシステム英単語(中学版)は2014年出版です。

 中学英文法の基礎レベルの例文から始まっているため、英文法の学習と並行して取り組みやすい点は評価できます。英単語で有名なターゲットやシステム英単語、速読英単語と比べると、全体的に少し易しめの単語です。したがって、対象レベルは地方公立高校向け(偏差値55まで)。英語の学習指導要領の大きな改訂前になる2008年に出版された影響もあるかもしれません。

 大人の学び直しの場合、とにかく英語が苦手だった人にオススメできる参考書です。ページあたりの情報量が少ないのも初心者向けの理由。とは言え、例文を読める文法知識があった方が学習効率は上がるため、まずはZ会中学英文法Fineなどで一通りの学習を終えてからか、並行しながら取り組みたいところです。

 もし、中学生向け英単語参考書を一冊に絞るなら、ターゲットやシステム英単語、速読英単語をオススメします。ターゲット中学版は周辺情報が充実しているため、単語の意味と用法をしっかり押さえておきたい初心者には特にオススメかもしれません。

 基本的に大人の学び直しの場合、参考書は通常二冊、心配なら三冊、一冊は注意が必要というのが個人的な見解ですが、高校入門レベルの単語帳では中学校の復習を挟む場合が多いため、中学生向け単語帳に限っては一冊で問題ないと考えています。

使い方・注意点

 まず、付属のCDがいまひとつ使いにくく、英語音声のまま、例文を通しで読んでくれません。途中で日本語音声による訳が入ったあとに英語音声が再開する仕様です。これは英語初心者である中学生に配慮した結果なのかもしれませんが、人によってはイライラする原因にもなると思います。評価を「3.5」にした最大の理由です。

 次に、単語の周辺情報が少ないという注意点があります。重要単語は復習として何度も登場し、単語によっては形容詞や副詞、過去形、過去分詞形などの情報も載っていますが、全体的に最低限の情報(一語一訳)のみです。情報が少ないと丸暗記に近くなってしまうため、本書はウォーミングアップ目的に取り組むのがちょうど良いかもしれません。

 そもそも単語帳は一冊で十分なのか。大学受験ではターゲット1900やシステム英単語、速読英単語(必修)の中から一冊というのがよく語られますが、基本的に単語学習はわからない単語と出会うたびに補完していくという前提がなければ一冊で十分なんて言えないと思っています。長文は1900語の中から選ばれて構成されているわけではありませんからね。一説によれば、大学入試問題の単語の種類は2~3万語と言われ、全てを網羅するために単語帳に取り組んでいないことは明白です。

 つまり、単語帳とは知っておかなければ話にならないという最低限の単語力を備えるために用いるものあるいは知らない単語に出会ったときに推測するきっかけになるものであって、その意味においてなら一冊で十分と言えるかもしれません。単語帳を必死に覚えたから長文読解ができるではなく、スタート地点に立ったに過ぎず、単語学習は永遠に続いていくのです。

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