タイトル | 早わかり一問一答 地学基礎 | |||||||||||
出版社 | KADOKAWA | |||||||||||
出版年 | 2022/4/8 | |||||||||||
著者 | 蜷川 雅晴 | |||||||||||
目的 | 地学の知識確認 | |||||||||||
分量 | 144ページ | |||||||||||
評価 | ||||||||||||
レベル | 日常学習 | 教科書基礎 | 教科書標準 | 入試基礎 | 入試標準 | 入試発展 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
対象・到達
【対象】
・定期テストから共通テストまでの知識対策
・地学基礎を共通テストで選択している人
・手早く知識確認したい人
【到達】
・共通テスト9割以上に必要な知識まで網羅できる
本書は2022年度からの新課程に対応した「地学基礎」一問一答の参考書です。一問一答は歴史科目なら山川出版社や東進ブックス(ナガセ)が有名ですが、理科科目では本書(KADOKAWA)か、東進ブックス(ナガセ)が有名どころになります。本書と東進ブックスの最大の違いは網羅度。シンプルさを求めるなら本書、網羅度の高さなら東進ブックスの『地学基礎[完全版]』です。
では、どちらを選べば良いのか?と言うと、本書がオススメ。というのも、まず東進ブックスは新課程対応版がまだ出版されておらず、また基本的に「地学」という科目は国公立文系志望が共通テストで選択する「地学基礎」が主流で、その問題傾向からしても細かな知識は不要だからです。国公立二次や私立一般でも選択できない大学が圧倒的に多く、高校の授業でもほとんど取り扱われていません。歴史科目とは異なり、理科科目の一問一答の使い方は限定的。そんな理科科目の中でとりわけ暗記に寄っている「地学基礎」だからこそ本書には価値があるわけです。
本書の構成と利点
左ページに「問題」、右ページに「解答・解説」 全62テーマ
A~Cの難易度表記
A:すべての学習者にとって必須の内容。教科書の太字、定期テストに出題されるレベル
B:共通テスト受験者には必須の内容。共通テスト8割以上。入試基礎~標準レベル
C:共通テスト9割以上、および難関の国公立大・私立大受験者が到達しておくべきレベル
第1章 地球の構造
第2章 地球の活動
第3章 大気と海洋
第4章 宇宙と太陽系の誕生
第5章 地球の歴史
第6章 自然災害と地球環境
※大人の学び直しならAだけでも、一般常識的に語られる用語を一通り押さえることができます。
以前に取り上げた『日本史一問一答【基本版】』のように右ページの解説が一問一答の知識を理解に近づけてくれます。全体的に特筆すべき一問一答というわけではないのですが、シンプル、かつページ数を抑えた本書は、限定的に用いられる理科科目の一問一答としては優秀です。理科科目の一問一答は「生物(基礎含む)」と「地学基礎」のように共通テストであっても用語知識が得点に影響を与えやすい場合と、無機化学のように暗記をはっきりと要求される分野で有効に働きます。※物理で一問一答はほとんど用いられません。
なぜ、理科科目の一問一答が限定的かというと、理科科目の受験勉強では一問一答の要素を含む「教科書の傍用問題集(セミナー〇〇、エクセル〇〇など)」が非常に優秀なためです。もちろん、これは受験勉強の方針によって異なりますが、理科科目の一問一答に求める要素は回転率、すなわちシンプルな形式で用語確認が手早くできれば良いのです。本書の「早わかりシリーズ」はまさにそうした需要とマッチしています。一問一答は変に凝らなくて良い。
アウトプット→インプットからの一問一答
本書の難易度Aであれば、特に何も考えずに取り組んでも良いのですが、B以降の暗記は必ず共通テストの過去問から“用語をインプットする必要性”を見出して取り組んでほしいと思います。「一問一答に取り組む理由は何ですか?」の問いにしっかりと答えられるように。遅かれ早かれ取り組むものなら順序は関係ない、ということは絶対にありません。受験勉強は順序が大切です。順序一つで人間の意識や思考は変わります。
特に共通テストは用語暗記の必要性が下がっています。共通テストの肌感覚としては細かな用語を覚えるよりも、用語を理解していたら得点できる場面が増えている印象です。先に述べたように、その意味でも地学基礎の一問一答は本書がより良く映ります。「答え→問題」もできるようになれば、問題文の意図を読み取ることも容易になり、確実に得点できる場面は増えます。細かな用語を含むと、それをするにも尻込みしやすく、頑張っても過剰になりかねません。
また、もし現役生で学校の授業に地学がない場合、地学の文脈に触れる機会を意識して増やした方が良いでしょう。文脈からは言葉同士が響き合っている様子を無意識に感じられるので、一つの言葉がどのような意味を持ち、何を指し示しているのか。その存在感やイメージも含めて理解が進みます。平たく言うと、地学らしい文章、言い回しに慣れるほど頭の中にスッと入ってくるようになります。そのため、独学する場合には教科書を取り寄せた上で、今ならyoutubeなどで地学の授業に触れてみるのがオススメです。これは大人の学び直しでも同じ。教科書は啓林館の「地学・地学基礎」がオススメです。
