『小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる』—レベル・難易度・特徴・評判【レビュー】

小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる
総合評価
( 4.5 )
メリット
  • 解説が丁寧でわかりやすい
  • ページあたりの情報量がちょうど良い
  • 大人の学び直しに適した小学生向け参考書

大人の学び直しとして、国語と算数に取り組む方は多いかもしれません。なぜなら、小学生向けの内容は実生活に大きな影響を及ぼす読み書き計算だからです。易しい内容だからと言ってどんな参考書でも大丈夫ではなく、易しい内容だからこそ教え方の丁寧な参考書を推奨します。

教えられるほどよくわかるシリーズ

 この本の著者は別の出版社から「小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる」が刊行されているため、どちらが良いのかと悩むかもしれません。内容を確認した限りでは、教えられるほどよくわかるシリーズは「教えるための理解」に焦点が当てられていて、しっかりわかるシリーズは「解くための理解」に焦点が当てられている印象でした。

「教えられるほどよくわかる」では、小学生の何気ない疑問を想定して内容が記されているため、例題らしい例題もほとんどなく、最後まで「どうして、そうなるのか?」を解説する形式になっています。その分、非常に丁寧な解説のため、算数の問題集に取り組む前に、算数を復習しながら理解を深めたい人にオススメできる一冊です。この解説から子供への接し方のヒントまで得られるでしょう。

 しかし、算数が大の苦手で分数や小数の計算も怪しいという子供と大人は「しっかりわかる」をオススメします。「しっかりわかる」は例題から解き方のコツを教えているため、しっかりわかる問題集と併用することで算数を解く苦手意識はなくなるかと思います。対象レベルは算数の簡単な総復習を目的にする大人(親)向けです。入試対策ではありません。

算数を一から理解し直すなら

 算数の問題を解くのは簡単でも、どうしてそうなっているのか?の理解は乏しくなりがちです。そのため、子供に算数を教えようと思っても「そうなるからそうなるとしか言えない」と機械的に教えるしかなくなり、すでに小学生の段階からセンスによって片づけてしまいたくなります。ここが算数の難しいところ。※実際にそのような説明しかできない場合も少なくありませんが…。

 しかし、算数とは何か?といった素朴な疑問の答えを、何となくでもイメージしながら取り組める差は大きいと管理人は思います。中学校、高校とレベルが上がるにつれて、微分積分やベクトル、三角関数といった抽象的な概念に対しても自分の中である程度納得して「こういうもの」と認識できる人は苦手意識も芽生えにくいはずです。

 その点で、この参考書は用語の理解にも焦点を当てています。算数で用いられる言葉の背景を知り、学問の本質に近づけるような配慮が為されています。実際に問題は解けても、用語の理解が曖昧では絶対に後悔します。数学は積み重ねの学問という現実がもうここから始まっているのです。小学生にとって少し難しい話でも、そこは大人の学び直しの優位な点。大人ならしっかり理解できる内容になっています。

 ただ、算数は計算速度の向上も目的の一つと考えると、この参考書では物足りないのも事実です。やはり苦手な人ほど、簡単な計算問題を大量に解いて身につける過程が必要な気がします。計算問題を解くだけでは懸念点も浮かびそうですが、解く過程で身につく思考力や数字への慣れは否定できないとも思います。

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