高校生向け文系数学参考書一覧—MARCH・成成明学向け【参考書ルート】

できる限り参考書・問題集を少なくしてコスパ良くMARCH・成成明学の文系学部に数学利用で合格するための参考書ルートになります。おそらく受験戦略の中でも最もコスパの良い戦略です。注意点は『取り組む問題数が少なくなる=安定はしない』という点だけ押さえておいてください。

完成日数目安(半年~1年)

 この方法は普段からそこまで勉強に取り組んでいない人を想定しています。もし、勉強の取り組み方が間違っていた場合、数学は全く伸びないため、勉強の取り組み方だけは慎重に確認してから取り組んでください。正しい勉強方法を確立し、理解する大切さに気付くだけでも1、2ヵ月程度かかるかもしれません。

 全体的な傾向として、歴史科目しか選択できなくてもおかしくない学部(文学部や社会学部など)にもかかわらず、数学選択できる場合には穴場になっている可能性が高いと考えられます。

 ただ、この戦略は高校数学の基礎である中学数学が疎かな状態では歴史科目以上に時間がかかります。数学の自己評価を正しく行えていない場合、恐ろしく時間を無駄にする点だけ注意です。

4つのルートから選択

 使用参考書は「マセマ出版シリーズ」「入門・基礎問題精講」「チャート式」「重要事項完全習得編」です。以下の4つのルートからご自身に合ったものをお選びください。

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【マセマ出版ルート】

この受験戦略はさすがに最初から数学が苦手では向かないため、講義解説で有名なマセマ出版ルートは文系的な文章理解を重視する人向けです。

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初めから始める(偏差値40~)+初めから解ける問題集(偏差値40~50)

この段階はあくまで基礎の基礎を確認する目的で用いるものです。本当の意味でここから始めなければならない場合、そもそも数学選択の戦略が合っていない可能性があります。

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元気が出る(偏差値45~)+元気に伸びる問題集(偏差値45~55)

この受験戦略のメインターゲットはここです。元気に伸びる問題集まで終えれば、入試基礎レベルは完了します。日東駒専合格、成成明学・MARCHの数学が易しい学部ならこれだけでも合格点が見込めます。

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それぞれしっかり復習して、過去問演習前の下地は完成

マセマ出版ルートは一貫しているために問題の過不足がなく、講義との相性が良ければ効率良く進められる利点があります。欠点は最新の入試傾向を本当に反映しているのかどうかです。昔から入試基礎~標準レベルの問題は問われるところが似ているため、改訂もあってないようなものなのかもしれませんが、英語で言うと『英文標準問題精構』のような90年代からある参考書を使うに似た不安があります。

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(白)チャート式ルート

チャート式は使い方が簡単とは言えず、挫折する人も多いものですが、白チャートならその弊害はあまりありません。また、チャート式は過去問演習の際に辞書利用しやすい利点もあります。

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チャート式の使い方
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それぞれしっかり復習して、過去問演習前の下地は完成

チャート式の意外な利点としては、しっかり新課程に対応しているところです。数学に関しては新課程で大きくは変わりませんが、いくら優れた参考書であっても10年以上前のものを使用できるかと言うと難しい気持ちもなくはありませんから。

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【基礎問題精講ルート】

基礎事項を「問題精講+重要事項(例題)」で網羅し、入試基礎~標準を合格!数学で補完するルートです。このルートはマセマの講義調に合わなかった人やチャート式の問題数に挫折しそうな人が対象です。欠点は上記2つと比べて一貫性が乏しいため、問題の過不足が発生しやすいことです。

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入門・基礎問題精講(インプットと基礎理解)

入門・基礎問題精講で基礎固めです。定期テストでコンスタントに満点近く獲っていた人は入門問題精講を省略して、基礎問題精講から入り、解法のインプットに努めてください。

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それぞれしっかり復習して、過去問演習前の下地は完成

このルートの特徴は『重要事項』の例題によるインプットだけではなく、演習問題によるアウトプット(過去問)に早々に取り組める点にあります。分量だけで言えば、最も少ないルートです。その分、安定度は下がりますが、もともと数学の受験戦略は試行回数に頼っているところがあるため、一発逆転を狙うならオススメのルートではあります。

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【(黄)チャート式ルート】

このルートが最もシンプルでわかりやすいけれど、チャート式の労力は歴史科目と同等という考えもあります。注意点としては、黄チャートは主に教科書標準~入試標準あたりを網羅しているため、教科書基礎から固められないこと。さらに問題数が多いため、数学がある程度は得意な人でなければ使いこなせないこと。発展例題を超える問題はレベルとしてやや過剰ということ。

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それぞれしっかり復習して、過去問演習前の下地は完成

このルートは教科書基礎を押さえるために入門問題精講を加えても良いかもしれませんが、できることなら学校の授業と定期テストだけで教科書基礎レベルは完璧に固めておく方が良いと思います。本当にゼロから黄チャートを使うのはオススメしません。

そして、黄チャートをしっかり使いこなしたのであれば、その網羅性から過去問の問題はほとんど全てパターン化されていると思います。この場合であれば、特に過去問から新しい知識を吸収するのではなく、黄チャートを辞書利用して往復するだけでも十分です。

青チャートについて

 MARCH・成成明学の文系数学は入試基礎レベルが中心(+αで標準)なので、入試基礎~発展レベルまでを幅広く網羅する青チャートは過剰です。青チャートは完璧にできれば早慶・東大レベルであっても、一部の難問を除き、合格点を見込めるだけのレベルに達します。ただ、これは教科書~入試基礎レベルまでを完璧にできた上で、さらに青チャートを完璧にした場合であり、最初から大は小を兼ねるような考えで青チャートに手を出してもMARCH・成成明学を正しく網羅できません。

安定合格を目指すなら「マセマ合格!数学」を加える

 上記ルートの過去問演習前に『マセマ合格!数学』を加えることで入試基礎~標準問題(偏差値55~60)の解法を増やすことができます。数学IAとIIBで240題の量は取り組むにしてもちょうど良いと思います。

 注意点としては『マセマ合格!数学』には『合格!数学実力UP!問題集』が別にあるのですが、こちらは早慶・旧帝大志望を対象にする入試標準レベル(偏差値60~65)までを網羅しているものなので成成明学・MARCHには過剰です。

個人的なオススメルート

『基礎問題精構』→『過去問』 (演習不足なら厳選大学入試問題集を加えます)

 個人的にオススメしたいルートは『基礎問題精講』でインプットした後、『過去問』でアウトプットすることです。わからない問題があったら基礎問題精講に戻って理解を深めます。本記事の趣旨としても、成成明学・MARCH向け文系数学の攻略はこのくらい簡潔で分量が少ないものであるべきと思います。

 ただし、基礎問題精講はチャート式より網羅性が低い分、難関大への対応は難しくなります。MARCHを限界とした土台。おおよそ成成明学にはコスパが良いという認識です。個人的には、チャート式を推したい気持ちもあります。

 チャート式は完璧に仕上げたあとの辞書利用、過去問演習の取り組み方で大きく伸びます。将来性の高い土台になるわけです。「白チャートでも東大に行ける」という言説をたまに見かけるのも、数学という科目は発展問題が基礎事項(公式・定理・解法)の集合体であり、基礎事項を本当に完璧に理解しているのであれば解けるからです。解法暗記による網羅ではなく、数学的な発想を正しく駆使できるのであれば白チャートでも十分ということ。実際にはそれができないか、できても再現性が低くなるために(より難しいレベル帯を含む)解法暗記という方針が選択されているのが受験数学です。

志望校・併願校の過去問と参考書の往復

 過去問演習とは、基礎固めに使用したインプット型参考書の解法暗記の弊害を打ち消す目的で行います。インプット型参考書はインプットが目的であり、問題の意図を正確に読み取るところは省いているために点数に直結するようで直結していない問題点があります。

 つまり、このプロセスが上手く機能しないと点数に繋がりません。必ず過去問演習の際は参考書との往復を心掛け、わからなかった問題を過去問の解答だけで済ませるのではなく、使用した参考書のページに戻って理解を深めてください。加えて、本番のイメージと共に冷静に頭の中を整理し、緊張感と共に取り組んでください。

 このとき、解答を見ても全く理解できないものもあると思います。しっかりと基礎固めを終えて適正レベルにある問題なら、それがどういう種類のものか、どういうアプローチに気づかなければならなかったのかがわかるはずですが、それすらも全く思い浮かばない問題は適正レベルを超えている証拠です(あるいは網羅できていない基礎~標準)。

 この場合、数が少ないなら落としても仕方のない問題として処理して構いません。基本的に『マセマ合格!数学』まで取り組めば、そうした問題はほとんどないはずです。『合格!数学』を省いてしまった人は最低限該当箇所のみは確認しましょう。

過去問の問題数を確保できないときは?

 十分な問題数を確保しようと思うと、どれだけの過去問が必要になるのかという話になります。有力な方針だったとしても、過去問一冊の値段は安くなく、複数冊、しかも数年前の過去問まで入手することは現実的ではないかもしれません。その場合、厳選!大学入試数学問題集 文系160を推奨します。この問題集はアウトプット型で大学の過去問ベースに入試基礎~標準の問題が160題にまとめられています。

数学の不安定さと戦略

 特定の大学に絶対合格したいという人には、数学を推奨しにくいのも事実です。文系数学による受験戦略は数学の不安定さを逆手にとり、平均点以上を偶然にでも獲得できる試行回数に頼った部分があります。歴史科目は100回受けてもせいぜい65~75点に収束しますが、数学は40点もあれば100点もある科目イメージです。

 加えて、MARCHまでなら入試基礎~標準の問題が素直に出題されますから、不安定な数学でも安定させることが比較的可能であり、さらにこのレベル帯で本当に数学が得意な受験生は一部に留まるため、出し抜ける可能性が高まるのです。悪くとも成成明学あたりの合格水準には達するだろうという読み。

 なお、地方国公立の場合、問題のレベルは近くとも、共通テストと科目数の関係から文系数学の利点はあまり発揮できません。MARCH・成成明学ならスタート時の学力をそれほど問わずに1年+αあれば仕上げられる自信がありますが、地方国公立はそれまでの積み重ね、共通テストの科目数からして勉強に不慣れな生徒では瓦解してしまう可能性がかなり高いです。よく比べられるその2つですが、国公立の方が合格難易度は高いと個人的には思います。私立は早慶含めても(文系なら)一発逆転が狙いやすい。

重要事項完全習得編も候補に挙げていましたが、網羅性に優れる基礎問題精講、あるいは白チャートで十分だろうと判断して省きました。ただ、重要事項完全習得編は基礎問題精講よりもさらに精選し、かつ理解を促す解説に定評があるため、成成明学に絞るなら推奨できるかもしれません。文系数学の重要事項をはじめに押さえること自体は有用なので、最初に重要事項完全習得編に取り組み、その後、白チャートなどの網羅系参考書に移行するのもオススメです。

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