テーマ別英単語 ACADEMIC[初級/中級/上級]

タイトルテーマ別英単語 ACADEMIC
出版社Z会
出版年・価格2010/1/16 1980円
著者中澤 幸夫
目的・分類多読参考書+英単語
問題・ページ数296~328ページ
総合評価
対象・到達レベル日常学習教科書基礎教科書標準入試基礎入試標準入試発展
※全統模試目安 [教科書基礎=40~45][教科書標準=45~50][入試基礎=50~55][入試標準=55~65][入試発展=65~70]
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部

対象・到達レベル

【対象】
・入試発展までの単語帳を終えた人の学部別対策(偏差値60以上)
・科学や経済、医学、心理、社会など幅広い教養と英単語を学べる
・英検準1級以上の対策

【到達】
[初級]MARCH、関関同立、準難関国公立
[中級]早慶、東大
[上級]大学生、大学院生、社会人

 本書は大学生や社会人向けの『速読英単語』と言ったらわかりやすいと思います。アカデミックなテーマゆえの専門用語が多く、大学入試では注釈が入るでしょうから受験勉強では特別必要ありません。用いるとしても、入試標準レベルの単語帳『ターゲット1900』や『システム英単語』、さらに入試発展『速読英単語[上級編]』まで終えてからです。初級ならMARCH以上から、中級は人文・社会科学と自然科学に分かれるので東大や早慶の学部別対策として機能すると思います。その場合、英単語に付随する背景知識の補完として役立てるのがオススメです。キーワードから内容を推測できるようになるのが目標。

 他方で「英検対策」として考えると、こうしたアカデミックなテーマを並べた速読英単語形式は少ないため、多読参考書の一冊として有用です。特に英検1級。出版年が2010年と古くなっていますが、収録されている英文の内容は古典的に語り継がれているものも多いので気にする必要はそこまでありません。※医学のテーマだけ注意

 音声CDも付属し、背景知識の解説が充実しているため、教養という意味では速読英単語以上に使いやすい単語帳です。なお、本書よりも新しく現代版リンダメタリカと評される『ERA 大学入試頻出の最新トピックで覚える英単語』が受験対策としてはオススメです。

英語学習の最後は多読多聴の繰り返し

 大学受験の英語では、多読多聴(音読も)の価値があまり語られていないように感じます。私たちが単熟語の暗記や文法、英文解釈に取り組むのは全て効果的な多読多聴を行うためです。多読多聴は今いるレベル帯の足固め。早慶なら早慶の英文を正しく読めるレベルに上がったら、早慶レベルの英文を試験本番までに1つでも多く読み込むのです。

確かに本書をはじめ、『リンダメタリカ』や『ERA 大学入試頻出の最新トピックで覚える英単語』など分野別対策として便利なものはありますが、それらは音声が付属していたり、背景知識を補完できたりする部分に価値があるだけで量に関しては圧倒的に足りません。

 では、何を読めば良いのか。どこから英文を得れば良いのか。これはひとまず大学(志望校)の過去問、〇〇大の英語シリーズはオススメです。大学入試という枠組みで捉えたら、同じレベル帯にある大学の過去問ならどれも参考になります。「大学入試の英文らしいなぁ」と思えるようになるまで読みまくる。英文の評価を適切に行えない懸念はあるものの、生成AIで無限に生成してもらうことも可能。英文の音声読み上げは特にAIに頼りたい。※英文生成のプロンプトには「CEFR」などの海外で活用されている指標を組み込むと難易度の調整に便利です。

 しかし、効果的な多読多聴にはいくつか条件があります。

1.英文の単熟語を95%は網羅できていること(単語力)
理想は98%以上。90%では厳しく、80%は明確に英文のレベルを下げるべきです。
2.文構造を正しく捉えられること(解釈力)
これは全文和訳してみて、解答解説を参照するとわかります。
3.正しい和訳を確認できること(解答解説の質)
その英文からなぜそうした和訳になるのかがきちんと把握できる必要があります。

 加えて、良質な英文が望ましい。良質な英文とは、論理構造が明瞭であること。英文解釈で学んだ文構造を持つこと。文脈から単語の記憶定着が促されるもの。全体的に汎用性の高い文を採用していること。要するに繰り返し読むに値するものです。読むことで力になる英文。

 もちろん、実際にそうした英文を狙い撃ちできるわけではなく、多読多聴は質より量です。一応、注目度の高い大学、例えば東大の英文は良質とよく語られています。国公立は全体的に癖がありません。そうした大学の過去問は中古で安く手に入りますから、大学受験でも大人の学び直しでも手元に置いて損はありません。また、英検の英文は良質と非常に高く評価する人がいる一方で、TOEICやTOEFLの方が圧倒的に良いという人もいます。

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