- 英作文も駆使して覚えられる
- ディクテーションもできる
対象・到達レベル
・中学英文法を復習したい人
・英作文を意識して文法学習したい人
対象は、現役の中学一年生~中学復習を目的とする高校一年生。中学英文法の大部分を覚えている、あるいは覚えていく状態なら一段階易しく感じるはずですから、基本事項の確認やリスニング対策としてオススメです。本書はCD音声をきちんと活用してこその問題集だと思います。
音声学習と英作文に重きを置いた文法問題集
元灘高校教諭であるキムタツ先生(現在は作家)の著書になります。受験参考書は予備校の先生だけでなく、有名私立高校の先生が出版することもよくあります。各学校にいる名物先生が受験業界で有名になっていると言ったらわかりやすいでしょうか。キムタツ先生のブログは受験期に何度か読んだこともありました。
さて、本書は英文法問題集には珍しく、音声学習と英作文に重きを置いています。かねてより英文法の理解と実践には選択式の問題よりも、英作文の方が効果的なのではと感じていた人にとって本書はかなり魅力的に映ると思います。ディクテーションまでできるので、英文法問題集ながらリスニング対策までできる優れものです。収録されている問題は英作文(部分英作文含む)の他、整序問題、動詞の変形、選択問題などがあります。
しかし、ドリル形式だけあって解説は簡素というか、解答だけしかないものもあります。一応、STEP順に取り組んでいけば解けるようになっているものの、STEP1の解説は要点がまとめられているのみです。そのため、本書は英文法の学習を一通り終えて、さらに本書よりも解説の充実した問題集に取り組んだあとか、英文法の学習と並行しながら取り組むのが良さそうです。本書のイメージは、授業終わりのドリル。
大人の学び直しなら、本書より高校入試の英作文や総合問題集の方がオススメかもしれません。高校入試スーパーゼミ英作文や実力判定テスト10(英語偏差値60)、あるいは英検のライティング対策など。ただし、英作文は高校生向けから充実するため、中学復習では単語、熟語、英文法の三つを押さえておくだけでも十分と考えます。
音声学習の重要性に気づきにくい子供時代
キムタツ先生の著書は、昔から音声学習に力を入れている印象でした(音声付が少なかった時代)。本書でもCD音声の使い方が冒頭で力強く説明されています。問題を解くだけで終わっては意味がない。音声学習を取り入れることでリスニングはもちろん、他の技能にも自然と活用されることを実感しているのだろうと思います。
学校の授業では音声学習が広く行われていると思いますが、経験上、なかなか子供には響いていなかったことを思い出しました。ネイティブのように発音することが恥ずかしく、音読を求められても恥ずかしさを隠すようにカタカナ英語で読んでいませんでしたか。音読は非常に効果的であると熱弁されても、なかなか気づけなかったのです。
現在はリスニングの比重も大きくなり、以前よりもリスニング対策に時間が注がれることを考えると、音声学習なしで語れない時代かもしれません。
それにしても、音声学習とは不思議なものです。無意識的な学習と言いますか、なぜそうなるのかわからないけれど、効果をしっかり実感します。まさに習うより慣れろ。きっと記憶法の類もまだまだ改善の余地があるように、人間の性質や機能を深く理解したらもっと簡単に英語を身につけることができるのだろうと思います。
その意味で言うと、アウトプットの重要性に気づいた大人は子供時代よりも学習効率は上がっているはずです。子供時代のようなインプット偏重では忘れていくばかりですが、アウトプット=実用を意識せざるを得ない大人こそ、実は学習の旬なのではないかと感じています。