入門英文法問題精講[4訂版]―レベル・難易度・特徴【レビュー】

タイトル入門英文法問題精講[4訂版]
出版社旺文社
出版年2019/7/18
著者小崎 充
目的高校英文法基礎問題集
分量224ページ
評価
レベル日常学習教科書基礎教科書標準入試基礎入試標準入試発展
※全統模試目安 [教科書基礎=40~45][教科書標準=45~50][入試基礎=50~55][入試標準=55~65][入試発展=65~70]
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部

対象・到達

【対象】
・学生時代に英語が得意だった大人の学び直し
・高校偏差値65以上、難関大志望
・すでに英文法を一通り押さえている人

【到達】
・高校英文法の基礎~標準まで身につけられる
・全統模試偏差値60以上

 本書は旺文社から出版されている「問題精講」シリーズの『入門英文法問題精講』になります。同じ旺文社から出版されている竹岡先生の英文解釈『入門英文問題精講』は知名度が高いのですが、英文法はあまり知られていないかもしれません。レイアウトは古くからある文法問題集と似ています。左に空所補充問題、右にその解説。本書は基礎・標準・発展と段階別に分かれており、基礎問題では空所補充、標準は空所補充と整序英作文、発展は英訳和訳問題が扱われています。

 肝心の評価ですが、はっきり言って解説は丁寧と言えず、発展問題の英訳和訳問題は本書を入門と信じた読者を裏切る難易度です。昔からある簡素な解説と問題数だけやたら多い文法問題集に似た部分があります。例えば、最近改訂されているものであっても『NextStage 4e』や『Vintage 4e』『英文法ファイナル問題集 標準編』『大学入試英語頻出問題総演習』『全解説 頻出英文法・語法問題 1000』などは網羅性は高いものの、解説を読んで理解を深めることはなかなかできません。まだ知識が曖昧で問題集を通じて文法事項を定着・理解したいと思っている人には別の参考書を推奨します。曖昧な知識のまま、簡素な解説に慣れてしまうと丸暗記の弊害が生じるからです。

 ただし、すでに『EVERGREEN』をはじめとした文法書、および学校の授業と定期テストで英文法の概観を押さえている人にとっては確認問題として使い勝手は悪くないものになっています。別冊の精講編に文法事項が整理されているのも便利です。特に本書は歯応えのある英訳和訳問題が収録されていることもあり、すでにある程度高いレベルにある人にとってはちょうど良い負荷と言えるでしょう。なお、本書の次にある『基礎英文法問題精講』は独立した一冊になっており、シリーズとして続けて使用するのは推奨しません。

文法問題集に求めるもの

 文法問題集は解説が充実しているものの方が少なく、当サイトで取り上げている竹岡先生の『竹岡の英文法・語法ULTIMATE究極の600題』や河合出版の『文法語法良問500』シリーズは珍しい部類です。個人的な考えとしては、文法問題集の解説は充実しているに越したことはありません。『文法語法良問500』は薄い問題冊子とは別に厚い解説書があり、これは本当に稀少で全ての英語学習者にオススメしたいほどです。

 現代受験英語は直接的な文法問題が減ったにもかかわらず、依然として市販されている文法問題集の多くは簡素な解説と空所補充問題で構成されています。以前まではマニアックな文法問題が出題されることもあったので「文法問題=暗記」と言っても差し支えないものでしたが、今の文法問題集の位置づけは問題を解きながら文法(+語法)理解を深めることにあると思います

 別の言い方をすると、文法書のみで理解する方針は穴があるかどうかのチェックができず、簡素な解説ではチェックも十分に機能しないでしょう。現在はよりいっそう実用英語に舵が切られ、文法問題だけを解けることにほとんど価値がなくなりました。そうした観点から文法問題集を考え直すと、まず空所補充形式が良いとは言えず、整序英作文や誤文訂正、あるいは新しい形式の問題集が理想的な位置づけになります。

新しい形式の問題集という意味では『英語リーディング教本』だったり、そこで取り上げられている東大の過去問(語を削除する問題)がオススメです。語を削除する問題は文法知識の甘さを簡単に追い詰めてくれます。

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