タイトル | 6年分を総復習!小学生の算数 おさらい計算ドリル | |||||||||||
出版社 | メイツ出版 | |||||||||||
出版年 | 2018/8/15 | |||||||||||
著者 | メイツ出版 | |||||||||||
目的 | 小学算数 | |||||||||||
分量 | 128ページ | |||||||||||
評価 | ||||||||||||
レベル | 小学復習 | 教科書基礎 | 教科書標準 | 入試基礎 | 入試標準 | 入試発展 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
対象・到達
【対象】
・小学算数の主に計算の復習をしたい人、学び直したい大人
・中学数学に備えて子供に小学算数の復習をさせたい親
【到達】
・小学算数で取り組む計算を一通り身につけることができる
本書は以前に紹介した『6年分を総復習 小学生の漢字1026字 読み取り書き取りドリル』と同じ出版社から出版されている小学算数の問題集(ドリル)です。小学1年生から6年生までに習う算数の基本的な計算を網羅しているので、現役小中学生の復習にはもちろん、学び直しを考える大人にもオススメの一冊になります。何よりシンプルな計算ドリルになっているため、中学・高校と比較すると簡単な小学算数の復習にはうってつけです。
では、小学課程の復習はどこまでするべきか。これは必要最小限という意味では「小学漢字と算数」だけで問題ないと思います。漢字は書き取りと読み取り。算数は本書にある基本計算のみ。現役の中学生なら国語の読解問題にも取り組みたいところですが、大人であればよほど苦手だった人を除いて必要ないでしょう。小学6年間分の密度は大人からしたら1ヵ月程度に凝縮できるはずです。
ただし、小学漢字と算数は文字通り完璧にしなければなりません。本書には問題のグループごとに「〇〇点以上で合格」と記載されていますが、単なるケアレスミスならまだしも、理解不足、あるいは定着していないことが原因で間違っているなら何度も繰り返し解いて100点にする必要があります。理解の甘さを徹底的に追い詰めないと、中学以降の学び直しで足を引っ張ることになるからです。
本書の利点と欠点
本書は基本計算ドリルですが、四則演算だけではなく、文章題や単位、割合に関する基礎知識も含まれています(例:1m=〇cm=△mmなど)。本書一冊終えれば、中学数学への接続に問題は生じません。これは本書だけというわけではありませんが、シンプルな構成の中に解き終わった時間を書き込む欄があるのも利点です。小学算数は理解というより“計算力”というフィジカルを鍛える意味合いが強いため、子供ならゲーム感覚で取り組むきっかけになりますし、大人なら自身の衰えと直接的に向き合う機会にもなります。
一方、欠点としてはドリルなので当然ですが、解説がほとんどありません。問題の答えを掲載しているだけで、なぜその答えになるのか途中式すらない。なので、一から小学算数を学び直す人には向いていません。もし、一から学び直したいなら『小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる本』がオススメです。小学算数は理解というより計算力と述べましたが、数学のセンスは概念の理解をどこまで正しく行えるかに集約されるところがあるため、小学算数の中でも躓きやすい「割合や比」などには解説付きで触れた方がより良いのは間違いありません。ただ、抽象的な概念の理解というのは小中学生には、もしかしたら大人であっても言語的な説明を尽くして伝わるか難しく、ひとまず計算力を伸ばして中学数学以降に後回しせざるを得ない場合もあります。この意味では算数・数学という科目はほとんどの人にとって復習ありきかもしれません。
余談ですが、数学は先に進んでから理解が深まることも少なくない科目です。当たり前ですが、私たちは情報を同時に得ることはできず、必ず順序に従います。数学は単元ごとの関連性が高いものもあるため、よくわからなかった単元もあとから関連性の高い単元に触れて理解が深まることもありますし、全く関連のない単元であっても、新しい物の見方(メタ的な視点)を獲得したら不思議と理解できることもあります。小学生のときには考えられなかったことを高校生になったら考えられるように、思考力がぐっと伸びるタイミングで一気に視界が開けることがあるのです。だからと言っておざなりな理解を推奨しませんが、その場で完璧に理解することが建設的とは限らないと覚えておいてほしいと思います。
学び直しは高校課程で本格化させる
当サイトの方針は第一に高校課程までを身につけること。中学課程までの義務教育は当然大切ですが、義務教育から実社会で語られる種々の話題にはまだまだ距離があり、高校課程までを理解してこそと考えています(できたら大学2年生まで)。高校課程まで理解できれば、実社会で語られる多くの話題についていけるようになり、日常的に触れる情報の質も向上し、適宜知識を広げれば思考力も自動的に伸びていきます。しかも高校課程までは体系化する手間を大きく省けます。教科書や資料集が非常に優秀だからです。逆に情報が素通りしたり、誤った理解に繋がったりするうちは思考力が伸びず、老化に抗うことも難しくなるでしょう。学び直しは脳に負荷をかけてこそです。
そして、高校課程までを身につけるにあたり、小学・中学課程は必要最小限に抑えます。これは単純に高校課程が上位互換と言えるからです。例えば、中学理科では「物理・化学・生物・地学」の基礎を3年間で習いますが、高校理科では中学理科の内容を基礎として含み、選択科目になってボリュームが数倍になります。広く一般常識的に語られる内容だけなら中学理科でも十分ですが、より高度で専門的な内容を理解するきっかけとなる知識が高校理科には詰まっています。※高校理科は基礎科目が登場して以降、学び直ししやすくなりました。
過去に大学受験を頑張ったという大人も、選択しなかった科目があるでしょう。大学受験に振り切ると選択した科目に全力が正しいですが、世の中に明るくなるという意味では幅広い教養に価値を感じると思います。そんな幅広い教養を得るためにも、小学課程の漢字と計算は必須です。本書で小学算数を復習すれば、安心して中学数学に進めます。