| タイトル | 関正生のThe Essentials 語法 必修英文100 | |||||||||||
| 出版社 | 旺文社 | |||||||||||
| 出版年 | 2025/3/26 | |||||||||||
| 著者 | 関 正生、桑原 雅弘 | |||||||||||
| 目的 | 高校英語の語法 | |||||||||||
| 対象 | 現役生から大人まで | |||||||||||
| 分量 | 232ページ | |||||||||||
| 評価 | ||||||||||||
| AI | 例文を生成して様々な文脈に触れる | |||||||||||
| レベル | 日常学習 | 教科書基礎 | 教科書標準 | 入試基礎 | 入試標準 | 入試発展 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
加筆修正の履歴
※本記事は公開以降、内容に変更はありません。
長文・リスニング・英作文に必要な語法を整理する
本書は2025年に出版された関先生による「The essentials」シリーズの語法版です。このシリーズは以前に英語長文に関する2冊を取り上げましたが、つい最近になって「語法」と「英文法」も気になって購入してみました。英語長文の2冊は広義のディスコースマーカーから長文の型、論理構造を素早く掴むもので率直に斬新な参考書でした。英語の難化から時間制限が厳しくなっていく中で、必須の一冊になっていくだろうと考えていますが、全体的に情報量が多いため、無印版ですらMARCHや関関同立、準難関国公立以上を志望しないなら推奨しにくい事情もありました。
そこで本書です。もともと語法と英文法は、英語長文と無関係な100テーマに整理しただけの参考書と思っていたのですが、本書の謳い文句にある通り、実際は本書もまた英語長文のための語法であることがわかりました。英語長文やリスニングで頻出し、かつそれらを攻略するために必要な知識が加わった語法集です。なので、英語長文の2冊よりも現実的に有益な難易度になっており、特に中堅私大や地方国公立志望にとって優れた選択肢になっていると思います。大学偏差値60未満でも語数の増加傾向はありますが、英語長文版にある知識を以て構造を見抜いたり、設問の論点を素早く把握する必要まではありません。言い換えれば、一般的な長文問題集の演習と多読多聴で事足りる。ゆえに単純な語数増加による速読力の強化を目的にする場合、本書の“長文から整理する語法”の知識はちょうど良く刺さるはずです。
また、これは大人の学び直しも含み、それまでに蓄積した無数の語法知識を改めて整理する目的としても有用です。大多数の大人にとっての英語は、英検2級までの知識をいかにブラッシュアップするか。そのブラッシュアップのための参考書というのが意外と少なく、この意味でも本書は良い選択肢になっていると思います。いわゆるフレーズ集のような決まりきった表現を覚えるのではなく、それよりも遥かに汎用性の高い知識になります。後述しますが、基本的に人間は文章予測を行いながら理解します。その予測精度を上げるというアプローチが本書の稀少性として語れるポイントにもなっています。さらに言うと、果たして分厚い文法書や語法問題集は必要なのか。という問いに対して、本書だけで十分と言える可能性もあるのではと期待する一冊です。
本書の構成と解説の一例
一見すると重要事項に絞る方針は楽に感じますが、少ない知識を総動員して攻略する応用力が試されます。数学で言うなら、チャート式のような網羅性重視は大変に映るものの、問題を解くこと自体に頭は使わなくなります。重要事項に絞ると、それだけ未知の問題と出くわす確率が上がりますから、いわゆる地頭、受験勉強の慣れ、サポートの差が顕著に現れてしまう点は注意が必要です。もっとも中堅私大・地方国公立志望の現役生は何より重要事項を完璧に身につける方針が合っていると思います。難問は出題されないため、その試される応用力もたかが知れているからです。
| 内容・構成 | CHAPTER 1 「型」で押さえる語法1 tell型 (1) tell tell型の基本形 tell型 (2) remind remindの3つの語法 tell型 (3) convince・persuade 難関大学で狙われるtell型動詞 tell型 (4) warn・notify 最新の長文で出てくるtell型動詞 ……etc |
| CHAPTER 2 「型」で押さえる語法2 rob型 (1) rob rob型の基本形とstealの語法 rob型 (2) deprive・cure・clear rob型の頻出動詞 rob型 (3) relieve・rid 熟語になっているrob型の動詞 provide型 (1) provide・supply provide型の基本形 ……etc | |
| CHAPTER 3 「型」で押さえる語法3 persuade型 (1) persuade persuade型の基本形 persuade型 (2) talk persuade型 (3) trick・bully・scareなど prevent型 (1) prevent prevent型の基本形 ……etc | |
| CHAPTER 4 「型」で押さえる語法4 suggest型 (1) suggest・order suggest型の基本形 suggest型 (2) suggest・propose・urgeなど suggest型の背景 suggest型 (3) suggest・demand・insist・recommend suggest型の応用パターン suggest型 (4) suggestion・proposal・recommendationなど suggest型の発展パターン ……etc | |
| CHAPTER 5 自動詞・他動詞に関する語法 自動詞と他動詞 (1) enjoyなど 自動詞・他動詞の即断判別法 自動詞と他動詞 (2) grow 自動詞・他動詞の大前提 自動詞と他動詞 (3) run・stand・water 意外な他動詞 自動詞と他動詞 (4) walkなど 自動詞⇔他動詞の意味変換 ……etc | |
| CHAPTER 6 文型に関する語法 be 動詞型 (1) be・appear・feelなど be動詞型の基本形 be 動詞型(2) remain・fall・turnなど 「変化・継続」系の動詞 SVOOの語法 (1) give・do・handなど give型の動詞 SVOOの語法 (2) buy・get・cookなど buy型の動詞 ……etc | |
| CHAPTER 7 「識別」が大事な語法1 「言う」の識別 (1) tell① 「言う」の識別 (2) tell② 「言う」の識別 (3) say① 「言う」の識別 (4) say② ……etc | |
| CHAPTER 8 「識別」が大事な語法2 「似合う」の識別 suit・match・go with など 後ろの形(人 or 物)で区別する 「許す」の識別 (1) allow・permit・admit 「許可する」を表す動詞 「許す」の識別 (2) forgive・excuse・pardon 「勘弁する」を表す動詞 「願う」の識別 (1) want・hope・wish 「願う」系統の全体像 ……etc | |
| CHAPTER 9 その他の重要語法 agree の語法 (1) agree with ~ vs. agree to ~ ① agree with ~ の特徴 agree の語法 (2) agree with ~ vs. agree to ~ ② agree to ~ の特徴 mean の語法 (1) mean ① 「意味する」を表すときの様々な語法 mean の語法 (2) mean ② 「意図する」を表すときの様々な語法 ……etc | |
| その他 | 無料音声ダウンロード付き(100例文) |
本書は使い方が少し難しい。情報量も多いため、ただ眺めているだけでは定着しません。本書では英文和訳と音読による定着が説明されていますが、本当にそれで定着するのか不安はあります。となると、結局は『文法語法良問500』のような問題集形式がより良いのではという結論に近づいてしまうのも事実です。勉強に不慣れな人ほど目が滑ってしまうと思います。なので、理想は分厚い文法書と問題集を土台に、本書で長文・リスニング・英作文の切り口から整理し直すということになってしまうかもしれません。冊数は増やしたくないのですが。
英文の構造を正確に理解できる
「動詞がとる型」がわかれば, 英文の構造を理解しやすくなります。たとえば tell型 (⇒英文01・03)でconvince をマスターすれば, convince 人 of ~ , convince 人 that ~ , convince 人 to ~ の形を予想できるようになります。この予想がないと, 人の部分が長くなったとき, その後に出てくる of・that・toがどんな働きをするのかわからなくなってしまうのです。
関正生のThe Essentials 語法 必修英文100 P8より引用
この引用は本書の価値を端的に表しています。長文でもリスニングでも情報が流れていく際には、第一に主語の把握から始まり、動詞で文構造の型が決まりますよね。主語が人なのか、無生物なのか、代名詞(旧情報)なのかといった情報が確定した瞬間から文の予測が始まり、動詞を捉えた瞬間に「主語と動詞の関係」や「動詞によって考えられる文型」からさらなる具体的な予測=文意の60%くらいは把握できます。否定語による論理の反転などがあるとまた変わります。
言い換えれば、ある動詞が登場した瞬間に、頭の中に「型」を想定できているか。想定するための訓練を本書では積めます。そもそも語法を押さえるときにはそこまで考えておくべきという指摘もあるのですが、一般的な文法語法問題集の解説ではそういったことを想定しているものはほとんどなかったと思います。もっと言うと、単語も全て特定の場面とニュアンスできちんと使い分けられていますから、一語一訳を覚えるだけでは特にリスニングでの予測の精度が低いままになりかねません。そういった意味では『DUO elements』で前置詞と副詞のコアイメージを理解したり、『1億人の英文法』で英米的な発想に触れたりする重要性もわかります。
もちろん、リスニング学習の中ではそうした考え方を学べることもありますし、教わらずとも繰り返し似たような英文を聴いているうちにメタ化、動詞を捉えた瞬間に「この動詞ならきっとこういうことを言いたいのだろう」と思考が最適化します。それほどの量に取り組んでいるなら本書は特別必要なものではありませんが、語法の知識を長文・リスニング・英作文に上手に活用できていない場合には、本書でそれらを切り口に語法を捉え直す必要があります。実践的な知識にまではなっていないということ。例えば、リスニングは一語ずつ聴き分ける行為ではなく、予測ありきです。人によって極めて弱音で発音されてしまう単語なんて聴き取ることは至難。誤解を恐れずに言えば、それは聴き取らなくても良い。実質的にそれがなくとも意思の疎通ができる程度に外堀が埋まっているからです。そして、それは長文でも英作文でも理屈は同じ。なので、全てを聴き取らないと文意を理解できないと思い込んでいる人は、主語や動詞といった情報の取り扱いにまだまだ伸びしろがある証拠なのです。



