タイトル | くもんの中学英文法(スーパーステップ) | |||||||||||
出版社 | くもん出版 | |||||||||||
出版年 | 2021/2/8 1430円 | |||||||||||
目的 | 中学英文法 | |||||||||||
対象 | 現役中学生から大人の学び直しまで | |||||||||||
分量 | 240ページ | |||||||||||
評価 | ||||||||||||
AI | 疑問点を徹底的に追い詰める | |||||||||||
レベル | 中学復習 | 教科書基礎 | 教科書標準 | 入試基礎 | 入試標準 | 入試発展 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
日常会話を目的にするなら中学英文法
本書は2021年にくもん出版から出版された中学英文法の参考書です。比較的有名な参考書で、youtubeには解説動画も投稿されていました。全体的な印象はオーソドックス。高校英文法で言うところの『EVERGREEN』に近い。中学英文法が整理され、音声利用も可能です。解説が杓子定規ではあるので、現役中学生よりも大人の学び直し向きと考えます。
しかし、大人の学び直しにおける「中学英文法」の位置づけは少し特殊です。基本的には「高校英文法」に最初から取り組んでしまって問題ありません。現役中学生であっても、最初から高校英文法と考えているくらいです。数学のように積み重ねが前提となる科目なら別ですが、中学英文法というのは高校英文法を狭く簡単にしただけに過ぎません(単語と熟語は別)。文法は理解が大切ですから、詳細な解説が付随する高校英文法を土俵にした方がより良いのです。その中で易しい高校入門英文法が大人の学び直しには最適解と言えるでしょう。
ただ、日常会話を目的にするなら中学英文法の時間効率にわずかながら優位性があります。段階的な学習としても、中学英文法を導入として用いるのは悪くありません。それにいわゆる文法過多の学習が高校英文法の取り組み次第では生じるため、中学英文法に割り切って完璧にするのも手です。そのための参考書として本書の分量は適切と言えるでしょう。
AIで疑問点を徹底的に追い詰める
本書は中学生向けの参考書なので、解説はできるだけ必要最小限を意識して書かれてあります。一部の優秀な子を除き、小中学生にはテキストの理解に壁があるからです。その点で講義調の参考書はわかりやすいように感じますが、高校生以降ならまだしも、小中学生は授業まで振り切った方がより良いと思っています。本当は授業よりもテキストの方が情報密度が高く、かつ自分のペースで理解を進められるので使いこなせるなら使いこなしたいところです。小中学生で参考書を使いこなせる子は例外なく優秀でしょう。
そして、英文法は何より理解が大切なので、今はAIによって余すことなく疑問点を解決するのがオススメです。細かいところでも気になったところは質問して納得できる回答を引き出します。以前までは先生にわからないところを質問するにしても無限に対話できるなんてことは当然なく、自分自身の疑問点をわかりやすく伝えられないと意図した答えが返ってきませんでした。意図から外れた回答であっても、なんとなくわかった気分に無理やり収めていた人もいるでしょう。それがAIによって解決されました。
しかし、これも高校生以降ならまだしも、現役小中学生がAIに頼り切る方針はまだ慎重になった方が良いとは思います。AIによる学習はあくまで自分自身を成長させるサポートに過ぎず、勉強をサボるためではないからです。自分で考えることを全て放棄してはならず、考えるべきところは考えなければなりません。思考力の成長には自ら考えることが不可欠ですが、考えることそのものは負荷であることに変わりないため、逃げたくなる気持ちが生じやすいのです。そこをグッと我慢して、自分自身の成長のためのサポートに繋げられるかどうかが大きな分岐点になっています。
本書から選ぶ文法問題集
本書を理解できたあとには文法問題集で知識のチェックを行いましょう。その際にオススメの文法問題集は同じシリーズの『中学英文法問題集』、あるいは『英文法レベル別問題集(1)超基礎編』です。高校英文法から取り組んでも問題ない中で、あえて本書を選ぶ人は英語が苦手か、現役中学生である可能性が高いと思われます。本来、文法問題集はランダム出題の方が理解と定着には有利なのですが、文法の単元別(ブロック)に並べられた問題集には一定の優位性があります。
単元別の問題集は答えの推測が容易です。英語が苦手な人にとっては問題の意図を把握して答えることが明確な方が勉強しやすいと思います。すなわち確認問題集としてなら選ぶ価値があります。その確認問題集の中でも『英文法レベル別問題集(1)超基礎編』はシンプルで使いやすい。逆に最初からランダム出題を選んでしまうと、まだ不安定な文法知識に拍車をかけてしまうかもしれません。ランダム出題は問題の意図から考えるので、文法知識をある程度身につけている人の実戦問題に近い位置づけです。個人的には最初からランダム出題でも問題ないとは思っています。
また、文法問題集を解く際、必ず一問ずつ答えの根拠を説明することが重要です。なんとなく解いて終わりにしない。理想を言えば、常に他人に教えることを想定した方が知識の定着と理解は捗ります。しかし、まだ語彙力をはじめとしたコミュニケーション能力が未熟なうちはその想定が重い負荷となってしまうため、少なくとも自分自身が納得できるだけの説明に留めて構いません。推奨する問題集には中学英文法の論点が一通り揃っているため、一問ずつ明確な根拠を持って答えられるようになったら中学英文法は完了したと言えるでしょう。