タイトル | 金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本 歴史総合 原始・古代史 中世・近世史 近現代史 | |||||||||||
出版社 | ナガセ | |||||||||||
出版年・価格 | 2024/10/26~ | |||||||||||
著者 | 金谷 俊一郎 | |||||||||||
目的・分類 | 高校日本史の補助教材 | |||||||||||
問題・ページ数 | 240ページ~352ページ | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル | 日常学習 | 教科書基礎 | 教科書標準 | 入試基礎 | 入試標準 | 入試発展 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
対象・到達
【対象】
・高校日本史を学ぶ人
・教科書の補助教材が欲しい人
・歴史の流れとなぜを理解したい人
【到達】
・教科書で扱われている歴史の流れと因果関係の理解を深められる
本書はテレビにも出演されていて有名な金谷俊一郎先生の参考書です。東進ブックスの「はじめからていねいに」シリーズに分類される“教科書レベル”を補完するためのもの。教科書よりも柔らかい文章と図解によって、現役生には非常にオススメの一冊となっています。大人も読みやすい。
歴史科目は教科書の有用性が頻繁に語られる通り、時代の流れと要点が簡潔に整理された教科書は有用です。しかし、近年は特に現代史の情報量も増えてきており、あの一冊に原始から現代までの膨大な情報量をまとめる都合上、どうしても簡潔すぎて理解を伴わないことがあります。そこで本書です。講義音声ダウンロード可能ということで、一冊の参考書としては高い有用性を誇っています。
日本史探究授業の実況中継との比較
まず、実況中継シリーズは早慶合格レベルまでの細かな知識を収録しているのに対して、本書は共通テストまでが現実的と言えます。本書のコンセプトは単純暗記になりがちな歴史科目に「時代の流れと因果関係」を意識させ、膨大な暗記の負担を軽減することにあります。そのため、教科書の補助教材、受験勉強の導入という位置づけがちょうど良く、万人受けしやすいものになっています。実況中継シリーズは偏差値60以上の大学を志望して日本史を得点源にしたい人に推奨します。
余談ですが、講義系参考書と言えば、歴史科目。さらにその中でも実況中継シリーズが最も有名だったと思います。現役時代は“大は小を兼ねる”と思って細かな知識を含む難関大向けの参考書に手を伸ばしたこともありましたが、勉強には段階があり、必ず身の丈に合ったものを選ばないといけないことを学びました。
段階を無視すると、特に歴史科目は暗記すべき事柄の優先順位を見失い、すぐさま丸暗記に陥ります。時間を浪費するだけ浪費して、得られたものは小難しい漢字を見慣れたくらいです。そうならないように、勉強に不慣れな人ほど必要最小限を意識して一歩ずつ得点を重ねるようにしましょう。
共通テストはこれだけ!日本史との比較
金谷先生の参考書には他に『共通テストはこれだけ!日本史』もあります。こちらは共通テスト対策に特化しており、完璧にできたら9割以上は狙えると言われています。本書のシリーズ4冊に比べて2冊なので、本書のあとに取り組むのも悪い選択ではないと思います。
個人的に冊数がどんどん増えていく方針は好みではありませんが、本書はあくまで教科書の補助教材ですから何度も読み返さなければならないわけではないので心配は小さいでしょう。歴史科目の参考書から得るべきものは知識の整理の仕方です。後述するように、膨大な知識を覚えなければならない工夫を参考書から吸収してほしいと思います。
丸暗記したくない暗記が高得点の秘訣
歴史科目は知っているかどうかの知識問題が多いために「暗記科目」とよく語られます。数学のように努力だけではどうにもならないと感じることが少なく、得点も安定しやすい特徴があります。人によっては救いの科目です。しかし、本書の冒頭にも書かれてある通り、本当に暗記だけで高得点を目指すのは現実的ではありません。いや、現実に暗記はするのですが、丸暗記ではない暗記こそが大切ということです。
歴史科目からの学びには、歴史的な事実や時代の流れといった知識だけではなく、膨大な知識を暗記しなければならないための思考的な工夫があります。大人のように記憶力が衰え始めると理解によって補完しようとするために“知識のアレンジ”を無意識的に学びますが、子供の場合は無理やりにでも丸暗記するという人が少なくありません。
いかに丸暗記しないような有機的な知識を構築できるか。知識を覚えるではなく、知識を整理しながら覚えるという一段階上の知識管理まで意識できると一気に負担が軽くなります。覚えられないから覚えられるようにすること。難関大に合格するような受験生は“元から記憶力が良い”という観点もありますが、実は人並みの記憶力でありながらも“工夫して人並み以上の知識を覚えられた”という観点も有力です。ある意味、サボりたいから頑張るに近い志向性。手を抜く工夫が結果的に記憶の定着率を上げているのです。