ランク順中学英単語2000―後発の利を活かしたハイスタンダードな単語帳

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タイトルランク順中学英単語2000
出版社Gakken
出版年2023/9/19 935円
著者Gakken
目的中学英単語
ページ数432ページ
評価
レベル中学復習教科書基礎教科書標準入試基礎入試標準入試発展
※全統模試目安 [教科書基礎=40~45][教科書標準=45~50][入試基礎=50~55][入試標準=55~65][入試発展=65~70]
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部

後発の利を活かした単語帳

 本書は2023年にGakkenから出版された中学生向けの単語帳です。ランク順(出題頻度)に分けられた収録単語2000語は難関校を想定できるほどの量になっています。ターゲットやシステム英単語といった有名な単語帳よりも後発の利を活かした本書は全体的にとても綺麗にまとまっています。『中学版ターゲット1800』は2019年に出版してから改訂がないため、そこは有名な単語帳だからと言ってターゲットを選ばずに本書がオススメです。

 また、収録単語2000語は高校入門レベルも含まれているため、本書を完璧に終えられたら難関高校入試に対応できるだけではなく、実質的に高校の先取りも行えます。別の言い方をすると、収録単語2000語は平均的な高校生には重く、しっかりと単語帳に取り組むだけの入試を想定する偏差値60前後なら収録単語は1600語くらいでも十分です。この場合、以前に当サイトで紹介した『320例文で効率よく覚える中学英単語・熟語2000』が非常にオススメになっています(同じGakken)。こちらの単語帳は熟語400語も含まれているので一冊で済みますし、完璧に仕上げたら偏差値65までの高校入試に対応できるだけの単語力が身につきます。※DUO3.0と同じ例文形式での暗記なので高速暗記も可能です。

 本書は決して悪くない単語帳なのですが、どうしてもターゲットやシステム英単語のような競合する単語帳を皆が使う中で、わざわざ本書を選ぶほどの差別化は正直図られていません。しかも同じGakkenから出版されているその単語帳のバランスが良いため、よりいっそう本書は選ばれないのではないかと思います。そもそも中学英単語は基礎的な単語で20年以上前からほとんど変わっていません。しかも中学生向けの単語帳は易しさ第一で挑戦的な試みもあまり為されないのです。簡単に言うと、どれも似たり寄ったりになりやすい。その点で言うと『DUO-BASIC』は実用英語を意識しながら高速暗記できる単語帳になっているため、使いこなせるなら頭一つ抜けてオススメです。

難関高校志望や中高一貫校の生徒を除き、多くの中学生はとにかく単語の一語一訳を覚えることが英語学習のメインになっています。そのため『DUO-BASIC』のような情報量の多い単語帳は大人からすると魅力的でも、現役生にはその良さがなかなか伝わらないかもしれません。そういった点を加味して総合的に判断すると、『320例文で効率よく覚える中学英単語熟語』と『システム英単語[中学版]』が何だかんだ使いやすい単語帳になっています。

現役生にも大人にも思い切って推奨したい単語帳

 大人の学び直しの場合、英語学習は英会話がメインになると思います。TOEIC受験もありますが、根本的な動機は英会話でしょう。現役生の場合、どうしても目先の定期テストや入試での得点を意識せざるを得ないかもしれませんが、将来的なことを考えると英語学習はやはり英会話が本懐になってくると思います。

 しかし、本書にしても先に紹介した単語帳にしても、基本的に入試用の単語帳で英会話に役に立つ情報はほとんどと言っていいほど含まれていません。もちろん、基本単語を覚えておくことが直接的に英会話に役に立つという見方もできますが、それにしても効率が良いとは言えません。そこで『1億人の英文法』で有名な大西先生らによる『普通の英単語』を推奨したいのです。『普通の英単語』を一言で言うと、英会話に必要な知識を含む単語帳です。単語レベルは中学~高校入門まで(英検3級~準2級)。

『普通の英単語』はコアイメージに関する解説が多いため、一語一訳に囚われやすい現役生、および大人の学び直しでは高い効果を発揮します。本来言葉の意味というのは一語一訳のような凝り固まったものではなく、さらに言うと日本語と英語では性質が違うために安易に訳を与えられないことがあるものです。

 その意味が役に立たないとは言いませんが、多くの英語学習者が本質的な言葉の習得から離れてしまっています。これを改善するには、コアイメージを意識する必要があります。コアイメージとは、言葉の核。意味的な言葉に置き換えられない概念的なものとして捉えていくことです。例えば「have」は基本動詞として「~を持つ」という習い方をしますが、それを「自分の領域内に所有する」というコアイメージを認識しておくと「have a party」「have a meeting」「have a breakfast」「have my hair cut」などがすんなり頭に入るでしょう。

 これは英会話だけでなく、日本の英語の試験=リーディングにおいても力を発揮します。あらゆる単語のコアイメージを捉えておくと、さっと読んで理解できるようになります。これは詰めの甘い読み方ではなく、日本語と同様に文章が伝えようとする意図を素早く察知できることです。逆に一語一訳に囚われているうちは読むのが遅い上に、和訳もひどくなってしまいます。中学英単語は英会話における最重要単語です。その最重要単語のコアイメージを早くに習得できる『普通の英単語』が2025年現在非常に優秀な単語帳になっています。なお中学英熟語なら『DUO elements』がオススメです。

試験で頻出する単語を中心に押さえているわけではないため、直接的な試験対策としてはベストではないのも事実です。しかしながら、この点については不安に感じるほどではありません。なぜなら中学英単語はどの単語帳も収録単語にあまり差がないからです。

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