タイトル | 東工大英単 科学・技術例文集 | |||||||||||
出版社 | 研究社 | |||||||||||
出版年・価格 | 2021/7/26 2530円 | |||||||||||
著者 | 東京工業大学 | |||||||||||
目的・分類 | 理工系英単語 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | 290ページ | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象・到達レベル
・理工系の英単語を押さえておきたい人
・理工系大学生に必要な英単語を知りたい人
本書は、東京工業大学(現:科学大)から2011年に出版されていた東工大英単の新装版です。本書のコンセプトは理工系学部生・研究者・技術者向けの英単語・用例集となっていますが、見出し語253と手軽、かつ例文が充実しているため、理工系学部を志望する受験生にも使いやすくなっています。
本書の構成
・アルファベットごとに重要語を見出しで253語掲載
・見出し語[訳語・語義・語源]、基本例文[日常的に使われる表現]、関連語、科学・技術例文が1ページにまとめられています
本書は見出し語こそ253語と多くなく、大学受験用単語帳に掲載されているものがほとんどなのですが、関連語と例文が充実している点が最大の特徴となっています。特に科学・技術例文は科学・技術系の論文に頻出する表現がまとめられている上、無料音声で基本例文と科学・技術例文の読み上げにも対応し、受験対策としても十分に使用できるものになっています。本書は「研究者・技術者待望の英単語・用例集」との宣伝文句もありますが、むしろレベルとしては理工系学部生・理工系志望の高校生にちょうど良いものと思います。
完全理系専用英語長文スペクトルやキクタンサイエンスとの比較
本書の最大の特徴を豊富な例文とすれば、それらの参考書と比べても唯一無二の価値があります。『英語長文スペクトル』は『ACADEMIC自然科学(中級、上級)』に近く、理系頻出のテーマを長文形式でまとめたものになっています。キクタンサイエンスは従来型の単語帳で、大学院生まで使える英単語が一語一訳一例文の形式で分野ごとにまとめられています。
今は全学部共通型の入試が増え、かつての学部ごとの試験は減りつつありますが、依然として難関大では学部ごとの試験とテーマが主流であり、早くから専門分野に触れさせようとする意図を感じさせるものになっています。現代文や英語長文の頻出テーマを押さえておくことで有利に進められる点に異論はないでしょう。特に理系はその傾向が強い。しかし、テーマ別の対策は意外と立てづらく、どうしても全体の需要としては小さいために参考書も充実していません。その点は志望校の過去問が一番の対策であると言われたらその通りなのですが、大学入試で課す能力とは大学入学後に必要とされる能力であり、それは本書のコンセプトにも合致し、かつ気軽に音声復習できる豊富な例文は評価できると思います。
別の言い方をすると、「予備校が推進する受験英語力」と「大学が求める英語力」には時として乖離があり、大学としては将来を見据えた本質的な能力を測りたいわけです。東大英語対策として『東大英語リーディング 多元化する世界を英語で読む』が意外と効果を発揮するように、東工大が出版する英単語帳なら、仮に大学入試で使わなかったとしても理工系なら手元に置いておけるくらい有用と思います。