タイトル | 中学 国語力を高める語彙1560 | |||||||||||
出版社 | 増進堂・受験研究社 | |||||||||||
出版年・価格 | 2016/12/6 1100円 | |||||||||||
著者 | 受験研究社 | |||||||||||
目的・分類 | 語彙力強化 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | 287ページ | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象・到達レベル
・中学生~大人まで全ての人にオススメ、大学受験まで幅広く活用できます。
・難関高校入試の国語にも対応できる語彙力が備わります。
日本人にとって日本語はあらゆる物事の中心と言っても過言ではなく、豊富な語彙力を備えていれば、それだけ情報の質は高まり、勉強や仕事でも高い成果を挙げることができます。言葉の力は思考力そのものなのです。
自由自在シリーズのコンパクトな参考書
中学生向け参考書において、網羅性を重視する総合的研究と双璧を成す自由自在シリーズから出版されています。中学生向け語彙力の参考書はおおよそ1000~1700語を収録したものが目立つ中、コンパクトサイズの参考書で入試頻出の1560語も収録されていることから網羅性は十分でしょう。内容を確認した限り、大人向けと言われても違和感がありません。実際、大学受験向けの現代文用語集と比べても遜色ない印象です。
したがって、到達レベルは難関高校入試にも対応できる語彙力を備えられるとします。本書の内容を完璧に理解する中学生がいるなら、勉強が得意になるのは間違いないと言いたくなるレベルです。
大人が本書に取り組む価値があるのかというと、普段から様々な分野の文章に触れる習慣があるなら特別必要なものではないとは思います。知らない言葉への感度が高い人も。基本的に会話や文章から吸収した方が良いのは間違いないので、本書は特に語彙力不足を自覚している人にオススメできる参考書です。
レイアウトとしては、ページ上部から「言葉、意味、関連、用例」と並べられていて全体的に見やすいと思います。良くも悪くも簡素な解説と例文が掲載されたコンパクトサイズの参考書です。ただし、全体の約10%の漢字にルビが振られていません。例えば、「明星(みょうじょう)」の読み方は複数ちらついてもおかしくなく、仮にも中学生向けであるなら、もっと言えば語彙力の不足から取り組む参考書であるなら、全ての漢字にルビを振っても良かったのではないかと思います。
なお、語彙力は漢字の書き取りと違うのかというと、語彙力は文章で用いられる語句(表現)の数々を学びます。文章では漢字も用いられますから部分的に重複していると言えますが、文章の読解に役立つのは語彙力の方になります。例えば、他山の石や日の目を見る、色眼鏡で見るなどは漢字の書き取りで学べない表現です。
語彙力は積み重ね
英単語ターゲットのようにシンプルな形式は使い方に困ることもないでしょう。しかし、本書だけで語彙力の学習が完了するわけではなく、文章に触れてこそという点は念頭に置いた方が良いかと思います。本書の例文は充実しているとは言えず、あくまで本格的な文章に取り組む前の下準備です。
また、普段から語彙力の不足に悩む大人が本書を何周か繰り返して覚えたとしても、話す書くというアウトプットにすぐさま反映されるわけではない点も注意です。シンプルな形式は(応用の利かない)丸暗記の弊害を常に抱えています。この点は英語のスピーキングと同様に、意識してアウトプットしなければ実感できないと考える方が自然です。
そのため、本書は語彙力を強化するというより、言葉の感度を高める意識改革を主とするものと捉えています。言葉の感度は理解の深さに繋がります。理解の深さに繋がると、自身で話し書く際に必然性ある言葉を、備わった語彙力から無意識に引き出せるようになるはずです。言い換えれば、語彙力は普段からの積み重ねを否定できないということ。
もちろん、覚えて損はありません。管理人は本書ではないものの、一時期、自身の語彙力を強化する日課に取り組んでいた成果が数か月から数年経って感じられました。もっと積極的に現代文の問題を解くなりしていたら、早くに実感できていた可能性もあります。
ちなみに大学受験向け現代文用語集も、本書に代わるものとして採用できます。ただ、現代文用語集は語彙力の強化より、頻出のテーマと用語を掘り下げることに比重が置かれているため、網羅性を考えると本書が適切と思います。解説が豊富で特定用語の理解を促しやすいのは現代文用語集です。