| タイトル | 関正生のThe Essentials英語長文 必修英文100 | |||||||||||
| 出版社 | 旺文社 | |||||||||||
| 出版年 | 2023/7/19 | |||||||||||
| 著者 | 関 正生、桑原 雅弘 | |||||||||||
| 目的 | 英語長文対策 | |||||||||||
| 対象 | 現役生から大人の学び直しまで | |||||||||||
| 分量 | 232ページ | |||||||||||
| 評価 | ||||||||||||
| AI | テーマに基づく表現の例文を生成 | |||||||||||
| レベル | 日常学習 | 教科書基礎 | 教科書標準 | 入試基礎 | 入試標準 | 入試発展 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
加筆修正の履歴
2025/10/31 誤字を修正しました。
読解速度を上げる長文対策必携の一冊
本書は以前に紹介した『関正生のThe Essentials英語長文 必修英文100 最難関大』の無印版です。本来なら本書から紹介すべきでしたが、最難関版が英検準1級以上やTOEFLなど大人の学び直しに活用できる点に魅了されて順番が前後してしまいました。本書の方が最難関版よりも現実的な易しさになっているため、長文対策には必携の一冊として推奨しやすい仕様になっています。本当に必携の一冊なのかというと、個人的には使用した方が良いと思います。難化が予想される入試英語の語数の多い長文を攻略するにあたり、長文のパターン化の速度を上げる本書の価値は目立った類書がないだけに非常に大きいからです。
また、誰もが英文解釈に取り組みますが、例えば「It is ~ that…」の強調構文を単なる英文の意味として理解できるだけでは足りず、長文の論理展開に必要な表現として覚えた方が建設的でしょう。英文解釈では強調構文の用途について軽く触れられていますが、本書のように長文を想定して解説された方が得るものが間違いなく多いと思います。さらに長文読解の段階をなんとなく読んで解いて終わりにしない効果も無視できません。下手にテクニックに走って本書の表現を探すだけの読解になったら本末転倒ですが、発音のリズムのように長文を読む際に力を入れるところ、注目するところに自然と意識が向けられたら素晴らしい成長です。
ただ、準難関国公立、MARCH・関関同立以上の難関大を想定すると、本書『無印版』は一通りやっておくべきと素直に言えますが、それ未満の場合は優先順位を少し考えた方が良いかもしれません。最難関版ほどではないにしても、例文以外にも覚えたい表現の数々に気圧される心配もあります。加えて、単純に英文解釈を一冊増やすような方針なので、そもそも英文解釈の量に追われていたら本書に取り組む余裕がありません。英文解釈との優先順位で言うと「英文解釈[必修]>本書『無印版』>英文解釈[難関大]>>>『最難関版』」となります。『最難関版』は大人の学び直しにはオススメですが、現役生で取り組む人は数学の難問対策と同様にかなり少ないかもしれません。
本書の構成と解説の一例
本書には使用開始時期や使い方も書かれているため、その点で混乱することはありません。前述した通り、最難関大まで幅広く対応している都合上、懸念点は志望校によって優先順位の問題が生じることです。難しく考えずに100例文だけ取り組むでも問題ありませんが、実感の湧かないインプットは頭が働かずにすぐに忘れてしまうので「長文演習→本書」を繰り返しながら100例文を押さえていく方が良いかもしれません。この点は英文解釈と異なり、本書は必ず長文を想定しながら勉強することが大切です。
| 内容・構成 | CHAPTER 1「一般論と主張」の対比構造 消えるbutを見抜く「not A. B」 過去を表す意外な単語「traditional」 比較級を使った否定表現「Nothing could be further from the truth.」 …など |
| CHAPTER 2 重要情報・具体例・反復表現 強調構文の頻出形「It is not only A that ~, but B」 疑問詞の強調構文「疑問視 is it that …?」 aboutを使った頻出表現「S is all about A/ what S is all about」 …など | |
| CHAPTER 3「文型・倒置」の実践的活用 do を使った表現 (give型) do more harm than good 副詞が割り込むパターン「Only when ~ VS」 前置詞句のパターン「Under no circumstances VS」 …など | |
| CHAPTER 4 因果表現・イコール表現・その他の重要構文 因果表現の分詞構文「SV, resulting in…」 イコール関係を見抜く「S refer to O」 形式動詞「have developed a liking for ~」 …など | |
| CHAPTER 5 さまざまな長文での重要表現 研究結果を示す「研究 demonstrate ~」 影響を示す「effect of A on B」 例外を暗示する「unless otherwise noted」 …など | |
| その他 | 例文音声付属、1テーマ1ページ、CHAPTERの最後に実際に出題された入試問題あり |
本書を長文読解のテクニック集のように捉える人もいるかもしれませんが、実際には関先生らが大学入試の英文を数え切れないほど読み込んできた結果を一冊の参考書にまとめているという見方が正確です。集大成のようなもの。表現を学ぶだけでなく、表現を通じて英語長文の在り方まで理解できる点が本当に秀逸です。
maintain は「維持する」という訳が有名ですが, 今回の英文では不自然です。そこで“SV that ~”の形に注目すれば「思う, 言う」と予測できます。
関正生のThe Essentials英語長文 必修英文100 P110より引用
例えば、上記の引用は「maintain」に「~を主張する」という意味があることを知らなくとも、「SV that ~」の構造から「思う、言う」系統の意味であると予測できると解説されています。これは単語そのものの意味だけではなく、対義語や類義語も一緒に押さえることで正しい意味を別の角度から推測できるようなものです。長文の中で「SV that ~」を見かけたら反射的に「~と思う」と解釈できるわけですからそれはもう読解速度は上がりますよね。和訳問題で正確な和訳が必要になるときだけ足を止めて考えれば良いわけです。本書の宣伝文句「長文はお約束の英文でできている」は確かにその通りで、長文の表現と構造がパターン化されたら単語と熟語をひたすら覚えていくのみです。




