共通テスト 数学I・A 集中講義 改訂版—短期攻略 共通テスト数学IAとの比較あり

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タイトル共通テスト 数学I・A 集中講義 改訂版
出版社旺文社
出版年2024/4/25
著者松野 陽一郎
目的共通テスト対策
対象受験生
分量248ページ
評価
AI解説の理解が足りない部分をサポート
レベル日常学習教科書基礎教科書標準入試基礎入試標準入試発展
※全統模試目安 [教科書基礎=40~45][教科書標準=45~50][入試基礎=50~55][入試標準=55~65][入試発展=65~70]
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
加筆修正の履歴

※本記事は公開以降、内容に変更はありません。

本質的な理解を促す共通テスト対策

 本書は2024年に改訂された松野先生による共通テスト対策の参考書です。松野先生と言えば『総合的研究 公式で深める数学I・A』や『総合的研究 記述式答案の書き方』を出版しており、本質的な理解を促す解説に定評があります。なぜ、本書を取り上げたのかと言うと、個人的に松野先生の解説が好みだったというのはさておき、共通テスト対策として今後のスタンダードになっていく可能性があったからです。センター試験はほぼ一本道の処理速度勝負だったのに対して、共通テストは出題者の意図を読み取るところから解答を定義する力までも要求されるようになりました。率直に「これさえやっておけば」と言えなくなったのです。

 そこで参考書選びの問題が浮上します。共通テストで出題される各単元の基本を押さえながら、いかに共通テストが要求する思考力・判断力を間接的にでも養成できるか。と言っても、難しい話ではなく、文章を読んで少しでも深い思考に結びつけること。その点で本書、松野先生の解説は他の共通テスト対策の参考書に比べて優位性があります。解説が深く、テキストメインで読まないといけないところが良い。ただ、本書では教科書と一緒に学習することが推奨されていますが、大部分の受験生には『入門問題精講』などで基本を理解したあとに共通テスト対策として改めて思考を整理するのに向いています。※教科書はいつでも確認できるようにすること。

この本は, 受験生の皆さんが「教科書に載っている基礎的なこと」を効率よくもれなく習得し, さらにその使い方・組み合わせ方に習熟して, そして共通テストで思うような成果を挙げることに, きっと役に立つはずです. 教科書とこの本でしっかり勉強した人は, 共通テストの難易度が変わろうが傾向が変わろうがまったく関係なく, 試験場で最大のパフォーマンスを発揮して, 自分の手で自分の未来を切り開くことができるはずです.
共通テスト 数学I・A 集中講義 改訂版 P2より引用

 各単元の基本についての解説は『入門問題精講』と重複する部分もありますが、地方国公立志望には「同じ単元の解説だけど、言い回しが少し違う」という経験を少しでも積んでほしいと思います。何事もそうですが、背伸びして取り組む事柄を一直線で理解できる、しようと思ってはいけません。新しい言葉の概念形成において複数の文脈に触れた方が良いのと同じです。一直線で理解できる時とは、それまでの知識から構造的に捉えられる時のみかもしれません。勉強しても成績が伸びない人は石橋を叩くように理解を進め、考える習慣を構築することから始めても良いと思っています。

以前から共通テストとセンター試験は別物と語られていましたが、2026年の数学IAによってよりいっそう印象づけられた形です。あの形式と時間制限で求めることに疑問がないわけではありませんが、パターン的に処理する方針からの脱却意図には一定の理解を示せます。

本書の構成と解説の一例

 まず、本書の「CHAPTER 0」にて共通テスト数学の総論と単元ごとの考え方がまとめられています。個人的に思う松野先生の参考書の真骨頂がここです。それまでに学校の授業や『入門問題精講』で身につけた知識を、共通テスト、延いては二次試験に合わせていく第一歩として適切な内容になっています。

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構成・内容CHAPTER 0 ―共通テスト数学IAの対策
CHAPTER 1 ―数と式
CHAPTER 2 ―2次関数
CHAPTER 3 ―図形と計量
CHAPTER 4 ―データの分析
CHAPTER 5 ―場合の数と確率
CHAPTER 6 ―図形の性質
参考―整数の性質
チャレンジテスト―大学入学共通テスト実戦演習
問題数(EXERCISE)合計178題

対策としては, 日頃から「答えだけ合えばよい」ではなく発想や考え方を一つ一つ丁寧に確認すること, 問題が解けてもほかの解法も探求すること, 一つの考え方を知ったときにそれを自分なりに応用してみること, などが有効だが, いずれにせよ速成できることではない. 意識して学習を進めることが大切だ.
共通テスト 数学I・A 集中講義 改訂版 P7より引用

 これは共通テスト対策の総論からの引用です。共通テストでは数学でも読解力が必須との認識が広まっていますが、それも一朝一夕で身につくものではないと述べています。そう、共通テストはセンター試験と違って普段からの意識づけが点数を左右するため、表面的な解き方を学ぶだけでは太刀打ちできなくなってしまうのです。いわゆる地頭が左右する努力が報われない試験とも言われることがあり、だからこそ本書のような解説で思考を深く導くことが大切なのではないかと結論づけています。本質を語る参考書ほど難しい印象を覚えますが、その点こそAIによる読解サポートと対話を習慣化すれば、共通テストで必要となる思考力程度なら問題なくなると見込んでいます。

直角三角形では, 直角ではない1つの角の大きさを決めると, 3辺の長さの比が定まる. これをその角の三角比という――のがもともとの三角比の定義であったが, 図形の計量に便利なように, 数学Iではこれより拡張された定義を学ぶ. 三角比の定義と, それをどうやって図形の計量に役立てるか, 基本中の基本として正確に理解しよう.
共通テスト 数学I・A 集中講義 改訂版 P54 三角比の定義 GUIDANCEより引用

 本書は「集中講義」と冠していますが、実際は講義ばかりでもなく、ページ数も多くありません。アウトプット用の問題も少なすぎず、多すぎずでちょうど良いと思います。一冊でインプット→アウトプットが完結しているのも良い。178題の論点を整理しながら解けるようになれば、地方国公立志望には十分な結果がついてくるでしょう。なお、地方国公立志望は共通テスト対策をしながら基礎固めする方針です。今のところ『入門問題精講』と本書で入試基礎までとしています。

中堅私大志望は本書の代わりに『文系の数学 重要事項完全習得編』に取り組みます。文系なら特に解法暗記の方針で『基礎問題精講』もありです。が、薄い参考書を一冊しっかりと終わらせる経験を優先する場合には理解も深まる『文系の数学』がより良いと考えています。ただし、アウトプットの量は増やします。

短期攻略 共通テスト数学IAとの比較

 共通テスト対策の参考書は数多くありますが、その中で『短期攻略 共通テスト数学IA 基礎編』との比較です。

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集中講義短期攻略(基礎編)
テーマ数45+8=5369(STAGE 1+STAGE 2)
問題数178題+チャレンジテスト220題+実戦演習問題
解説講義調で充実しているが、一から理解できるほどではない。共通テストの重要事項をまとめた構成なので、すでに教科書レベルは理解しておく必要がある。解法暗記的で解説は少ないが、教科書レベルから始まっている。基礎編であっても演習の色が濃い。
その他1冊完結型で演習量を増やすなら別の問題集を追加する必要あり実戦編(2冊目)も含めるとかなりの演習量を積める

 勉強が苦手な人ほど数多くの文章に触れてほしいところがあります。中堅私大・地方国公立を志望する層は数学なら解法暗記的に取り組むだけでも十分と言われてしまいそうですが、国公立の記述対策をはじめ、基礎的な理解が充実している方が解法暗記するにしても定着率は高くなるでしょう。それに参考書からの理解は常に読解によって成されますから、本質的な思考力の養成を考えると「暗記」は最後の手段にしたいのです。別の言い方をすれば、最初から解法暗記に取り組んでも結果を残せない程度に丸暗記に陥る懸念があるということ。

集中講義シリーズは他の科目も気になっています。インプット×アウトプットの一冊完結型が非常に使いやすい。ちなみに当サイトでは教科書の代替としても機能する『入門問題精講』から始めていますが、国公立志望がゼロから共通テストを通じて基礎固めするなら『大学入学共通テスト 数学I・Aの点数が面白いほどとれる本』を有力視しています。ただ、『入門問題精講』の土台としての性能は高いため、国公立志望がさらなる時間削減を目指すならという条件付きですが。

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