2025年度版 英検準1級 過去6回全問題集―過去問が最強の対策

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タイトル2025年度版 英検準1級 過去6回全問題集
出版社旺文社
出版年2025/2/28
著者旺文社
目的英検過去問
対象全ての英検受験者
分量196ページ
評価
AI同じレベルの文章や問題を生成、要約のポイントを理解する
レベル日常学習英検3級英検準2級英検2級英検準1級英検1級
※全統模試目安 [教科書基礎=40~45][教科書標準=45~50][入試基礎=50~55][入試標準=55~65][入試発展=65~70]
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部

英検の過去問は旺文社と教学社

 本書は旺文社から出版されている英検の過去問集です。英検の過去問は教学社から『英検準1級過去問集』も出版されています。こちらは本書(6回分)に比べて9回分と多く、受験英語でお馴染みの英検マイスターとも言える竹岡先生の解説が付くため、受験生には人気が高くなっています。

 また、今まで英検1級の過去問は旺文社のみが出版していましたが、2025年度から教学社も加わりました(英検1級過去問集)。英検は2024年度から要約問題が追加され、要約問題対策の唯一と言っても良い参考書である竹岡先生の『英検合格のための要約問題』もあって教学社版が支持される流れも生まれるかもしれません。解説に関してはどちらもわかりやすい。竹岡先生の解説に馴染みがある人は教学社版がオススメ。旺文社はレイアウトが見やすく、6回分の手軽さが取り回しやすさに繋がっています。どちらも好みで選んで問題ありません。

 そして、大学入試では私立大学を中心に英検利用がかなり広まってきていることもあり、英検人気はかつてないほどに高まっています。昔から上智大学では各種英語検定試験の結果を英語の得点に加算する方針がありますし、英検準1級に合格していたらMARCHなら英語の試験が実質満点扱いになる学部があったりと英検は完全に受験戦略に組み込まれるまでになっています。誤解を恐れずに言えば、英検準1級に合格できたらMARCH以上への合格は固いと誰もが思うでしょう。

言語学習には数学のような思考力が要求されませんから、早いうちからやればやるだけ伸びる可能性があります。ただし、受験戦略として英検準1級を目指す場合、高校2年生までに取得できるなら良いとしても、高校2年生夏以降にほとんど一から対策する場合には入試対策に振り切る方が良いと思います。

効率良く合格したいなら過去問は必須

 これは教学社の過去問集の中で竹岡先生も語っていることですが、英検は過去問のアドバンテージが非常に大きな試験です。にもかかわらず、本書のような過去問集を一冊買って、なんとなく対策して終わりという人が多いかもしれません。大学入試においてもそうですが、過去問の正しい使い方を知らない人は多い印象です。

 英検は要約問題が追加されたとは言え、過去問を何度も繰り返し解くことによって身につく問題を解くコツや語彙、リサイクル問題(過去問と同じ問題)への対応など蓄積される知識はとんでもなく大きな利点です。本番の試験で何が出るのかが事前にわかると言うのは大袈裟ですが、それに近い感覚を得られるので、特に合格の難しい英検準1級以上では過去問次第であっさり突破できる可能性があります。逆に英検2級までは過去問が必須とは言えず、あるに越したことはないものの、市販の参考書を中心にしたオーソドックスな攻略でも十分に合格可能です。

前述した通り英検利用の大学入試が増えている中で、一次試験免除もある英検は一発勝負の入試問題よりも対策しやすいと言えます。入試問題は複雑な構造を持つ英文が出題され、高い思考力を要求するために壁を感じやすい試験ですが、英検の難易度の源は語彙、語彙力さえあれば突破できると言っても過言ではない試験になっています。リーディング特化の入試、広く浅い四技能の英検。英検は入試よりも努力が報われやすい試験と思います。

 事実、英検の過去問は準1級から明らかに市場価値が上がっています。特に英検1級の過去問は軒並みプレミアム価格です。英検の受検費用は1回につき約1万円ですから、何度も受ける可能性があるなら過去問を入手して合格率を上げたい気持ちもわかります。大学入試の費用まで考慮するとなおのこと。ただ、要約問題の追加からわかる通り、英検も対策がパターン化されて本質的な英語力を問えなくなってきていることがわかっています。したがって、過去問があれば誰でもと言えるほど単純ではありませんが、英検の本質は簡単に変わらないため、難易度を支える語彙や構造などは今でも過去問対策が活きます。

もし、大人の学び直しで英検を受検されるなら2級までがオススメ。あらゆる分野の土台として2級は有用です。大学入試の英検利用を考えるなら準1級まで。1級は趣味に近い。海外大学への留学ならTOEFLやIELTS、大学院ならSATやACT、GREが優先されます。

過去問の使い方

 まず、過去問は問題形式の変更があったとしてもあればあるだけ価値があります。とは言え、あまりに古いものだとさすがにというところもあるので、2000年以降の20年分(60回分)あれば十分と思います。60回分を何度も解けば以下の利点は身体に刻み込まれます。

POINT
問題形式に慣れる

これは説明不要ですね。問題の種類から難易度、時間制限の感覚などを養うには過去問にしかありません。この利点は主に直近の過去問にあります。頭の中で試験開始から終わりまでを戦略的にイメージすることで本番で100%の力を発揮できるようになります。

POINT
英検で必要な知識を得る

英検は英語力で解くのではなく、英検力で解きます。これはTOEICでも顕著ですね。英検の準1級の語彙は約7500~9000語に設定されていますが、これは大学入試とも異なる「公益財団法人 日本英語検定協会」が定めた語彙です。英検2級まではオーソドックスな攻略でも可能と述べたのは、2級までの語彙は分野を問わず高校・大学入試との重複も多いからです。ですが、準1級以上の単語は日常的な使用頻度が低く、何を目的にどの分野から選ぶのかによって大きく変わります。これを網羅するには過去問を分析した市販の参考書『単熟語EX準1級』でも悪くはないのですが、それに加えて過去問に取り組みながら知らない単語・熟語を押さえていく方針が英検力も伸びるので効率が良いと考えます。

POINT
答えの勘所を知る

英検力が極まると、例えば大問1の語彙問題にしても英検準1級らしい選択肢に気づけるようになります。英検準1級にしては難しすぎる、簡単すぎるがわかるだけで選択肢を絞れます。長文の頻出テーマとそれに応じた語彙、論理展開が身体に刻み込まれていれば、いくつかの英文を拾い上げるだけで大意を理解できるでしょう。英検準1級は英検2級よりは難しく、英検1級よりは簡単にしなければなりません。その範囲に調整する作問意図が存在します。そうした英検らしさを感覚的に掴めるまで過去問に取り組むのが有力です。

 センター試験では問題を読まずに解いたとしても平均点は獲れるなんて話があったりなかったりしましたが、それはさすがに言い過ぎとしても問題を作成する側の思考、すなわちメタ的な攻略が成功しやすい試験なのは間違いありません。TOEICも対策すればするほどスコアが伸びるため、ネイティブや英語上級者からするとスコアはあまり当てにならないなんて意見も出てきます。英検準1級ならまだ手に入りやすいので、集められるだけ集めてしまうのがオススメです。

語数が無制限になる英検1級では特に過去問による網羅が優先されるでしょう。市販の参考書の英検1級っぽい単語に取り組むよりも、現実に出題された語彙だけを勉強した方が効率が良いのは明らかです。しかし、1級の過去問は入手困難なので、英検の単語対策アプリに頼るのも手です。これは実際に試験で出題された単語のみをまとめているものがあります。

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