タイトル | 単熟語EX2級・準1級・1級 第2版 | |||||||||||
出版社 | ジャパンタイムズ出版 | |||||||||||
出版年・価格 | 2023/3/30 約2000円 | |||||||||||
著者 | ジャパンタイムズ出版 英語出版編集部 | |||||||||||
目的・分類 | 英検単語対策 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | 2級(336ページ)、準1級(384ページ)、1級(464ページ) | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象・到達レベル
・網羅性の高い英検対策用の単語帳
・一語一訳一例文のターゲット同じ形式
・全統模試偏差値60までは2級、60以上は準1級が取り組む目安
本書は英検対策用の単語帳の中でも随一の網羅性を有しています。かつて英検用の単語帳と言えば『パス単』と呼ばれる単語帳が人気でしたが、最新版(第5版)で収録単語の易化が進んでしまったために本書に注目が集まったという背景があります。特に1級は要求語数が無制限になるため、少しでも多くの単語に触れられる本書1級の掲載語数は魅力的です。ちなみに英検2級までなら大学受験用のターゲット1900やシステム英単語などを押さえておけば対応できます。
英検対策は過去問から。過去問のみで済むならそれが一番です。詳しくは『英検準1級過去問』に綴っています。
本書の構成
2級(見出し語2020語、総収録語数約3400)、準1級(見出し語2412語、約3900語強)、1級(見出し語2946語、約5300語)
[Part1]単語 [Part2]熟語 [Part3]テクニカルターム
※2級のみ会話表現が取り上げられ、PART4構成になっています(約60表現)。
※基本音声が「日英」、準1級と1級は英語のみの音声もあり
※準1級と1級には誤植があります。(2024/06現在)新品では訂正済みですが、中古購入の際は注意してください。
英検2級までなら必ずしも本書に取り組まなくても良いと述べましたが、英検の合格率を少しでも高めたいなら本書に取り組む方がより良いのは間違いありません。受験英語はアカデミックなテーマを中心に、学部特有の単語や複雑な構造、パラグラフごとの論理展開から英文を読み解く必要があります。一方、英検はアカデミックを含む幅広いテーマが採用され、文構造自体は比較的単純なものが多いという特徴があります。英検の長文は読みやすい。
言い換えれば、英検の難易度の中心は語彙です。特に英検準1級以上は大学入試でも早慶の一部の学部でしか出題されないような難単語が大問1の語彙問題で出題されたり、長文に紛れ込んでいたりします。大人の受験者数が多いTOEICと比較すると、よりいっそう英検の難しさが広いテーマに基づく語彙であることがわかると思います。TOEICはビジネス英語に特化した試験のため、頻出単語の網羅はそこまで大変ではありません。
その他英検1級対策にオススメの単語帳
究極の英単語Vol.4、究極の英単語プレミアム、キクタン1級、TOEFL上級英単語2500
大問1対策に特化した単語帳
英検用の単語帳は他にも数多くありますが、単語の選定基準が英検全体を通じた頻出単語である場合が多く、本書のような大問1に特化した単語帳はほとんどありません。最新版の『パス単』が評価を落とした原因も選定基準の変更があったためです。
その点で本書は大問1が収録単語の選定基準になっているため、正しい英検対策ができる単語帳となっており、冒頭からマニアックな単語が登場します。大学受験用の単語帳では英検〇級まで対応と謳われることもありますが、準1級以上は当てになりません。2級までならまだしも、準1級以上になると本当に英検でしか見かけないような単語が増えます。また、本書と同じシリーズに『出る順で最短合格!語彙問題完全制覇』という大問1と同じ問題形式のまま単語を覚えられるものもあります。単語帳より問題形式を好む人にオススメです。
なお、英検対策として英検向けの参考書に取り組むというのは至極当然のように感じますが、第一に過去問を重視した方が良い点にも触れておきます。極端な話、過去問を解き続けていると、単語の意味がわからずとも正答を導ける状態になります。どんな試験にも必ず癖があると言ってもいい。英検の大問1に限っては本書のような単語帳に一定の優位性はあるものの、まずは集められるだけ過去問を集めた方が合格率は上がります。癖を把握できるまで過去に遡り、解いたものもしばらくしてから何度も解き直す方が合格の近道です。だから英検の過去問は合格率の低い準1級以上になると入手困難になるのです。
音声の有用性
本書の準1級以上では英語のみの音声も無料でダウンロードできるようになります。実は英語のみの音声が付属する単語帳は数が少なく、多くの音声に日本語が含まれています。この辺は好みのように感じますが、英語を英語のまま理解する訓練に日本語音声は必要ありません。一つの記憶法としては否定しない。
なぜかというと、音と意味の結びつきの確認の邪魔になってしまうからです。単語帳の音声利用には2つの要点があります。一つは「単語の発音」を聴くこと。単語の正しい音がわからないと、自分で正しい音を発声できません。
そして、もう一つは「音声と意味」を結ぶこと。単語を覚えるとは、アルファベットの視覚情報と意味を結ぶだけではなく、同時に聴覚情報(音)と意味の結びつきにも気を配る必要があります。単語の音を聴き、瞬時に概念的な意味を捉えられるようになること。その確認に日本語音声は不要なのです。この確認と訓練を怠ると、リスニングにおいては音を聴き取れても意味の理解に時間がかかりすぎてしまいます。理解できる音(単語)に気づいた途端に、英文は読み終わっていたという経験がある人は少なくないはずです。
逆に言うと、英語のみの音声は「理解の速度を測る指標」として機能します。ネイティブのナチュラルスピードは速い上にリンキングによって全ての単語が一つになっているかのような音の変化が生じるために難しいのですが、単語のみなら訓練を積みやすいと思います。なお、単語の音と意味の結びつきが強化されたあとは「フレーズ→センテンス」と認識を拡張していく方針が有力です。
英語のみの音声が付属する単語帳
・ターゲット(最新版)1200・1400・1900―単語のレベルから単熟語EX準1級の前に使用するのにちょうど良い
・究極の英単語(改訂版)―改訂版は無料音声ダウンロード付き。音声ファイルは見出し語(WL)と例文(PS)が分けて保存されている。