タイトル | 英作文のトレーニング | |||||||||||
出版社 | Z会 | |||||||||||
出版年・価格 | 2017/3/13 1100円~ | |||||||||||
著者 | (はじめる編)渡辺 寿郎、(必修・実戦編)Z会編集部、(自由英作文)成田あゆみ | |||||||||||
目的・分類 | 大学入試向け英作文対策 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | 250ページ前後 | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象・到達レベル
・大学受験は最難関大まで、英検(ライティング)、大人の学び直しにも対応
・英作文の基本的な考え方や英語的発想を学びたい人
・大学院生向け英語論文には対応していない
英作文の基本である「和文和訳」から学べます。和文和訳とは、日本語と英語の言語特性が離れているために、一度原文を英訳しやすい和訳に変換することです。
本書の構成
【はじめる編(P258)】
[講義編]和文和訳、文法的に書く、発想を変える、簡単に書く、95%訳出する
[文法確認編]時制をマスターしよう、主語と動詞の一致に気をつけよう、可算・不可算と冠詞を連動させよう、5文型を征服しよう、助動詞を活用しよう、受動態を使う時、準動詞は圧縮した文、仮定法は空想ムード、代名詞は小粒でも光る、比較は面白いよ、前置詞は名詞とタッグ、関係詞は使う、接続詞で節を作る、強調・否定・無生物主語を書く
[重要表現編]特によく出る表現、特に区別が必要な表現、特に誤りやすい表現
【必修編(P230)】※無料音声ダウンロード+例文集
[第1章]主語をどうするか [第2章]どの文型を使うか [第3章]単数か、複数か、冠詞はどうするか [第4章]どういう動詞を使うか [第5章]時制をどう処理するか [第6章]修飾表現についての注意 [第7章]準動詞を使いこなす [第8章]関係詞の正しい使い方 [第9章]仮定法か事実の描写か [第10章]受動態か能動態か [第11章]否定表現を使いこなす [第12章]比較・比例の表し方 [第13章]文の組み立て方
【実戦編(P255)】+例文集
[標準編]例題1~30 [上級編]例題31~65 [自由英作文編]例題66~70 ※全て大学の過去問
【自由英作文編(P195)】+例文集
[問題編]標準問題・資料問題・発展問題
[解説編]自由英作文とは何か、論理的な英作文とは何か、解答の組み立て方(賛否型)、ディスコースマーカー、賛否型以外での解答の組み立て方
[研究]賛否の表現、提案の表現、名詞節を使いこなす、a manか,the manか、イラストや写真の説明に便利な表現、手紙やメールのフォーマット、増減の表現、コンマ・コロン・セミコロンの使い方、何を主語にするか、感情を表す表現、無生物主語、高い/低い・多い/少ないの形容詞と名詞、現在完了か・現在形か・過去形か
英作文参考書の中でもシリーズ4冊は本書だけかもしれません。高校生が大学受験対策として取り組む分量としては多めなので、どちらかと言えば大人の学び直し向きではあります。
実戦編の問題形式は数学のチャート式と似ています。1問ごとに詳しい解説が付属しています。
英作文の力を基礎からじっくりつける
入試英作文対策としては『竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本』や『英作文ハイパートレーニング』が有名です。レイアウトも高校生向けで分量も多すぎず、入試英作文で効率良く得点するためのテクニックも掲載されています。これらの参考書から「英作文の原則」を押さえたあとにフレーズ集の暗記に努める方針が基本です。簡単な英作文なら1冊、難関大向けでも2冊を押さえておくだけで十分に対応できます。
では、本書はどうなのか?というと、入試英作文対策としても機能しますが、予備校の英作文講座のようにじっくりと基礎から養成できるつくりになっているため、本質的な英作文力をつけるに向いています。おそらく受験生の本音としては、得点の割に対策に時間がかかる英作文にあまり時間をかけたくないとは思いますが、将来的な視点に立つとじっくり取り組んでおいても損はありません。本書の充実した解説は独学にも向いています。
英作文の相乗効果
英語学習は4技能を意識する方が伸びると思っていますが、英作文(ライティング)は入試対策として最低限に留めていると言いますか、そうならざるを得ない事情を理解しています。国公立志望であれば、英作文対策に相応の時間を割くため、他の技能に好影響を与えた実感を抱く人も少なくないと思われますが、私立志望の場合は本格的な対策まではしないのではと思われます。
しかし、スピーキング同様に『英作文』が大学入試で問われるリーディングやリスニングにどれほどの好影響を与えるか計り知れないところがあります。これは国語力を伸ばすための小論文に近い考え方です。
例えば、文法語法の問題を解くためだけの知識より、それらを表現のための知識にまで昇華させれば『単純な記憶』から『深い理解』、さらには『表現の応用』まで発展的な道筋を構築することができます。これは自分にとって「必要である」という認識が強化されると同義であり、記憶の定着率も向上するはずです。
同じことを反復することが「記憶の定着を促す」と思い込んでいる人もいるかもしれませんが、それは一つの手段に過ぎず、それよりも一つの知識に多角的にアプローチする方が効果的と思います。入試で問われないから時間を割けない事情は百も承知ですが、物事が行き詰まったときには思わぬアプローチが解決に導くことがあります。特に英語は4技能の視点が相乗効果を生んでいる点を忘れてはならないと感じています。