タイトル | 2025年度版 英検準1級 過去6回全問題集 | |||||||||||
出版社 | 旺文社 | |||||||||||
出版年 | 2025/2/28 | |||||||||||
著者 | 旺文社 | |||||||||||
目的 | 英検過去問 | |||||||||||
対象 | 全ての英検受験者 | |||||||||||
分量 | 196ページ | |||||||||||
評価 | ||||||||||||
AI | 同じレベルの文章や問題を生成、要約のポイントを理解する | |||||||||||
レベル | 日常学習 | 英検3級 | 英検準2級 | 英検2級 | 英検準1級 | 英検1級 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
英検の過去問は旺文社と教学社
本書は旺文社から出版されている英検の過去問集です。英検の過去問は教学社から『英検準1級過去問集』も出版されています。こちらは本書(6回分)に比べて9回分と多く、受験英語でお馴染みの英検マイスターとも言える竹岡先生の解説が付くため、受験生には人気が高くなっています。
今まで英検1級の過去問は旺文社のみが出版していましたが、2025年度から教学社も加わりました(英検1級過去問集)。英検は2024年度から要約問題が追加され、要約問題対策の唯一と言っても良い参考書である竹岡先生の『英検合格のための要約問題』もあって教学社版が支持される流れも生まれるかもしれません。解説に関してはどちらもわかりやすい。竹岡先生の解説に馴染みがある人は教学社版がオススメ。旺文社はレイアウトが見やすく、6回分の手軽さが取り回しやすさに繋がっています。どちらも好みで選んで問題ありません。
また、大学入試では私立大学を中心に英検利用がかなり広まってきていることもあり、英検人気はかつてないほどに高まっています。昔から「上智大学」では各種英語検定試験の結果を英語の得点に加算する方針がありますし、英検準1級に合格していたらMARCHなら英語の試験が実質満点扱いになる学部があったり、国際系学部では出願要件になっていたりと英検は完全に受験戦略に組み込まれるまでになっています。誤解を恐れずに言えば、英検準1級に合格できたらMARCH以上への合格は固いと誰もが思うでしょう。
効率良く合格したいなら過去問は必須
これは教学社の過去問集の中で竹岡先生も語っていることですが、英検は過去問のアドバンテージが非常に大きな試験です。ひとまず本書のような過去問集を一冊買って、なんとなく対策して終わりという人が多いと思います。大学入試においても過去問は必須ですが、その正しい使い方を知らない人ばかりかもしれません。
しかし、英検は要約問題が追加されたとは言え、過去問を何度も繰り返し解くことによって身につく問題を解くコツや語彙、リサイクル問題(過去問と同じ問題)への対応など蓄積される情報はとんでもなく大きな利点です。本番の試験で何が出るのかが事前にわかると言うのは大袈裟ですが、それに近い感覚を得られるので、特に合格の難しい英検準1級以上では過去問次第であっさり突破できる可能性があります。逆に英検2級までは過去問が必須とまでは言えず、あるに越したことはないものの、市販の参考書を中心にしたオーソドックスな攻略でも十分に合格可能です。
事実、英検の過去問は準1級から明らかに市場価値が上がっています。特に英検1級の過去問は軒並みプレミアム価格です。英検の受検費用は1回につき約1万円ですから、何度も受ける可能性があるなら過去問を入手して合格率を上げ切った方が効率が良い。大学入試の費用まで考慮すると、よりいっそう過去問の入手を優先したくなります。ただ、要約問題の追加からわかる通り、英検も対策がパターン化されて本質的な英語力を問えなくなってきていることがわかっています。それでも英検の難易度を支える英文(語彙や文法、構造など)に関しては変わらず過去問が活きます。
過去問の使い方
まず、過去問は問題形式の変更があったとしてもあればあるほど価値があります。英語の本質(語彙や文法)には大きな変化がないからです。それでも2000年以降を中心に20年分(60回分)はあれば十分と思います。60回分を何度も解けば以下の利点は身体に刻み込まれます。
1.問題形式に慣れる
これは説明不要ですね。問題の種類から難易度、時間制限の感覚などを養うには過去問にしかありません。この利点は主に直近の過去問にあります。頭の中で試験開始から終わりまでを戦略的にイメージすることで本番で100%の力を発揮できるようになります。
2.英検で必要な知識を得る
英検は英語力で解くのではなく、英検力で解きます。これはTOEICでも顕著ですね。英検の準1級は約7500~9000語レベルに設定されていますが、これは「公益財団法人 日本英語検定協会」が定めた語彙です。大学入試とも異なります。英検2級までは市販の参考書を中心にしたオーソドックスな攻略でも可能と述べたのは、2級までの語彙は分野を問わず高校・大学入試との重複も多いからです。ですが、準1級以上の単語は日常的な使用頻度が低く、何を目的にどの分野から選ぶのかによって大きく変わります。
これを網羅するには過去問を分析した市販の参考書(単熟語EX準1級)でも悪くはないのですが、それに加えて過去問20年分(60回分)に取り組みながら知らない単語・熟語を押さえていく方針が英検力も伸びるので効率が良いと考えます。何度も繰り返し出現する語なら自然と定着しますし、等しくそれは優先度の高い語彙として認識されますから。
3.答えの勘所を知る
英検力が極まると、例えば大問1の語彙問題にしても英検準1級らしい選択肢がわかるようになります。英検準1級にしては難しすぎる、簡単すぎるがわかるだけで選択肢を絞れます。長文の頻出テーマとそれに応じた語彙、論理展開が身体に刻み込まれていれば、いくつかの英文を拾い上げるだけで大意を理解できるでしょう。その他の英語試験とは異なる“英検らしさ”を感覚的に識別できるようになれば、あとは英作文にしても面接にしてもパターンを覚えるだけです。言い換えると、英検準1級は英検2級よりは難しく、英検1級よりは簡単にしなければなりません。その範囲に調整する作問意図が存在します。
センター試験では問題を読まずに解いたとしても平均点は獲れるなんて話があったりなかったりしましたが、それはさすがに言い過ぎとしても問題を作成する側の思考、すなわちメタ的な攻略が成功しやすい試験なのは間違いありません。TOEICも対策すればするほどスコアが伸びるため、ネイティブや英語上級者からするとスコアはあまり当てにならないなんて意見も出てきますね。ただ、こうした勘所に気づくまでには数年分では足りず、できたら20年分(60回分)、少なくとも10年分くらいは解いておきたいところです。