共通テスト過去問研究―レベル・難易度・使い方・特徴【レビュー】

共通テスト過去問研究
総合評価
( 5 )

対象レベル

・共通テストを受験する全ての人、国公立志望は必須

 共通テストはまだ実施回数が少ないのですが、予想問題より過去問を重視してください。過去問演習後は、特に理科科目の図表・考察問題の演習を積むために専用の問題集を足しておくと安心です。センター試験の過去問まで取り組むべきかどうかは科目に依ります。

センター試験の過去問は優先順位が低い

 共通テストの過去問は全ての科目で有用ですが、センター試験の過去問は国語・社会以外の科目は本番を想定したものとしてはあまり有用ではありません。国語は資料読み取り問題が追加されたものの、現代文・古文・漢文の本質的なレベルはほとんど変わらないため、かなり使える部分が多い印象です。理科科目は新課程によって内容の変更が目立つことに加え、考察問題が増えたためにセンター試験まで取り組む理由がありません。

 また、共通テストは2024年度時点でも手探りな問題があり、まだまだセンター試験のように確立していないのか、それとも毎年挑戦的な試みが為されるのか不透明です。センター試験はやや厳しめの時間制限の中、教科書~入試基礎レベルの知識を確認する試験だったため、十分に対策を施せば、数学や物理なら満点も珍しくありませんでした。

 共通テストになっても一定の実力以上にある人なら満点も珍しくないことは変わってなさそうですが、センター試験とは違い、思考力を問う『私立一般・国公立二次対策』を行っている人という印象に変わりました。もともと記述試験の導入も検討されていたくらいですから、それに近い能力をマークシートの中で要求していくと考えたら頷ける傾向です。そのため、共通テストに特化した対策というより、私立一般・国公立二次対策に取り組みながら共通テスト仕様に合わせるイメージが大切になります。

共通テスト・センター過去問を基礎固めとして使う

 主に国公立志望者向けの方針ですが、教科書~入試基礎固めの問題集として過去問は非常に有用です。特に『数学』はセンター特有の誘導形式が思考補助するので、チャート式などでインプットに励んだあとに取り組むものとしてちょうど良いと思います。なお、共通テスト“レベル”の問題集ではなく、共通テスト(センター試験)であることが重要です。その形式から時間制限から何もかも、本番と同じであることは慣れる意味でも重宝します。

 また、問題を通じて作問者の意図や要求する能力をそこはかとなく感じ取れたら理想です。与えられた問題をがむしゃらに解くだけではなく、「なぜ、この問題を課したのか?」と無意識に考えられると問題の答え方も自ずと見えてくることが少なくありません。思考がメタ化するほど問題に慣れてほしいとも言えます。

 他方で、私立志望者が共通テストで基礎固めをするべきか?というと、私立一般で共通テスト方式を利用する場合には有用だと思います。共通テストを一切利用しない場合は優先順位が高くありません。私立志望者は志望校を頂点に3、4段階に分けた併願校を設定し、その過去問を使用して基礎固めする方が効率が良いでしょう。優れた参考書・問題集が多いため、過去問を軽視する人もいますが、過去問の有効活用を前提に参考書・問題集を選定するべきです。受験勉強の中心は過去問と言ってもいい。

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