仏検対応 クラウン フランス語熟語辞典―レベル・難易度・特徴・評判【レビュー】

タイトル仏検対応 クラウン フランス語熟語辞典
出版社三省堂
出版年・価格2012/3/20 3300円
著者久松 健一
目的・分類仏検対策用の熟語集
問題・ページ数
(完成日数)
544ページ
総合評価
対象・到達レベル
(偏差値目安)
フランス語
(日常学習)
5・4級
(A1)
3級
(A2)
2級
(B1)
準1級
(B2)
1級
(C1)
※CEFRとは、外国語の能力を測る国際的な基準、外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠です。

対象・到達レベル

・フランス語検定を受験する全ての人

・約2171語の熟語で仏検1級まで網羅する

 第二外国語に位置付けられるものの中でもフランス語は人気が高い方ですが、仏検対策ができる熟語帳は全くと言っていいほど市販されていません。その中で本書は唯一無二の充実した収録語数と例文、補足情報によって理想的な仕上がりになっていると思います。なお、大学専売品(大学で用いられる教科書)であれば優れた熟語帳が見つかる可能性はあります。

本書の構成

・仏検の級ごとに頻出熟語を分類

・熟語の特性に応じて分類 e.g.会話文・応答分、前置詞、avoirを使った表現、動詞、形容詞、比較級、反意語、指示形容詞、冠詞、否定の表現

・頻度(仏検での出題頻度を3段階で示しています)―最重要語(過去3回以上出題 約180語)、重要語(過去2回以上出題 約770語)、一般語(過去1回以上出題 約1220語)

・見出し語と語義―仏検で過去に出題された2単語以上からなる表現を熟語とみなしています

・用例・用例訳・用例の補足説明

・不定詞と時制、見出し語の補足説明、発音(注意が必要な発音のみ発音記号を掲載)

 辞典と冠しているように一般的な単語帳より分厚く、携帯するには少々腰が重くなるかもしれませんが、辞書ほどではなく、収録語数も厳選されているため、全体的にバランスの良い充実した熟語帳という印象です。通勤・通学時間などの隙間時間に読むには重いが、カフェで勉強するには問題ないと言ったところ。

 何より本書を超えるフランス語熟語帳は他にありません。対抗として『例文で覚えるフランス語熟語集』が挙げられますが、収録語数が約1300語と少ない上に音声がついているわけではないため、本書の優位性は揺るがないと思われます。ただ、どちらにしても音声はついていないため、1級・準1級を狙う人には少々物足りないかもしれません。

フランス語熟語帳の決定版

 出版年が2012年と古く、音声がついていない点はデメリットですが、近年の仏検受験者数の減少からして、今後も本書ほど充実した熟語帳が出てくることはなかなかないのではと思います。第二外国語の需要は共通テスト採用科目やエンタメなどから推測するに、中国語と韓国語、フランス語、ドイツ語がそれなりに充実しており、次いで大学の第二外国語や学科となっているスペイン語やロシア語、イタリア語、ポルトガル語、ヒンディー語あたりが充実しています。

 しかし、いずれも入門書や日常会話の参考書が数多く取り扱われているのみで、仏検で言うところの2級レベルになると一気に取り扱いが減ります。さらに単語帳ならまだしも、熟語帳はほとんどありません。ただ、英語にも言えることですが、熟語の定義は意外と曖昧です。本書にしても冒頭で「本書で取り扱う熟語は、単語2語以上からなる表現を熟語とします」と定義していたり、単語帳やフレーズ集の中に熟語表現を含めたりといったことがあるので、熟語帳として謳われている参考書は少ないが、実際に全く熟語が取り扱われていないわけではないというのが実情です。

 本書は音声がついていないこと以外はかなり理想的な熟語帳だと思います。以前までは英語で言う「速読英熟語」のような文章形式こそが熟語帳の理想形と考えていましたが、熟語に焦点を絞った文章にそもそも無理があることがわかってきたため、熟語一つに例文一つ(できたら文脈を感じ取れる程度は欲しい)が理想形かもしれません。DUO方式。補足情報も加えて、熟語の理解を深められれば記憶の定着にもプラスでしょう。音声の問題点も今の時代ならAIによって解決できる可能性は高く、画像認識から文字起こししたあと、フランス語で読み上げてもらえば済みます。電子書籍版があれば、サービスとしてAIによる無料音声が提供されている未来もあるかもしれません。

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