| タイトル | 話題別英単語リンガメタリカ 改訂第2版 | |||||||||||
| 出版社 | Z会 | |||||||||||
| 出版年 | 2026/2/20 | |||||||||||
| 著者 | 中澤 幸夫、木村 哲也 、松木 尚一、小原 弘行、日永田 伸一郎 | |||||||||||
| 目的 | 多読参考書 | |||||||||||
| 対象 | 最難関国公立・最難関私立 | |||||||||||
| 分量 | 392ページ | |||||||||||
| 評価 | ||||||||||||
| AI | 例文生成 | |||||||||||
| レベル | 日常学習 | 教科書基礎 | 教科書標準 | 入試基礎 | 入試標準 | 入試発展 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
加筆修正の履歴
2026/02/23 旧版(リンガメタリカ)・英単語最前線2500との比較―に追記しました。
難関大特有の硬質なテーマに基づく英文―20年ぶりの全面改訂
本書は20年ぶりに改訂したリンガメタリカ[改訂第2版]になります。硬質なテーマに基づく英文と背景知識を解説しており、最難関大志望なら多読多聴の段階で採用したい単語帳です。50英文のうち32が過去問。18のオリジナル英文に関しては難単語をやや強引に詰め込んだ印象を覚えるものもありますが、網羅性を備えるためにはやむを得ず、全体的に良質な英文と言えると思います。
また、本書はシステム英単語のように見出し語1900のほとんどがフレーズで管理されています。これは難単語を覚える上では効果的な仕様です。例文が一切ない点について少し残念ですが、大学入試を想定した難単語は運用よりも意味が分かりさえすれば良いわけですから問題ありません。使い方に関しては冒頭で丁寧に解説されています。背景知識解説にて述べられている日本語の内容を読むだけでも力になる部分があります。
一部の大学・学部における別次元の本当の意味での英語最難関は例外としても、一般的な最難関大志望(特に早慶上智)にとっては優れた単語帳になっています。同じZ会の『速読英単語[上級編]』は収録語数が約1200語と難単語対策として少し心許ないところがありましたが、本書と併せて使用することで3100語と網羅性十分になります。これは以前に難関大対策として紹介した『英単語最前線2500』を超える網羅性。多少重複する部分こそあるものの、『英単語最前線2500』の「頻出テーマの背景知識」と併せて使用したら、入試英語で出題されるテーマをさらに幅広く網羅できます。他方で国公立大学では最難関であっても、本書で取り上げられている英単語(特に専門用語)は注釈が入るものも多いと思います。最難関私立も本書の全てを覚えなければならないというより、難単語から英文の内容をいち早く推測できるようになることがテーマ別単語帳の第一の目標です。
本書の構成と解説の一例
| 構成・内容 | 第1章 自然科学・人類学 「背景知識解説」 1-1 ダーウィン以前の生物観 1-2 進化論の始まり 1-3 パラダイムシフト 1-4 セレンディピティ ――etc Phrases & Passages 01 パラダイムシフトはいつ起こるか 02 地球における優占種は?(1) 03 地球における優占種は?(2) ――etc Related Words & Phrases―その他の関連語 |
| 第2章 テクノロジー 2-1 テクノロジーの起源と発展 2-2 情報の記録と共有 2-3 通信手段の発達 2-4 コンピューターと人工知能 ――etc Phrases & Passages 06 技術的特異点の到来? 07 偉大な母なる自然を観察する 08 小さな技術, 大きな影響 ――etc | |
| 第3章 医学 3-1 感染症との戦い 3-2 いたちごっこの戦い 3-3 パンデミック 3-4 免疫系 ――etc Phrases & Passages 11 薬剤の奇跡を信じる人々 12 動物由来感染症(1) 13 動物由来感染症(2) ――etc | |
| 第4章 医療 4-1 遺伝子工学の医療への応用 4-2 遺伝子工学による治療薬:糖尿病への応用例 4-3 遺伝子治療の可能性と懸念 4-4 出生前診断 ――etc Phrases & Passages 16 居住型ホスピス 17 臓器移植の推定同意(1) 18 臓器移植の推定同意(2) ――etc | |
| 第5章 環境 5-1 エネルギー革命と環境問題 5-2 化学物質と生態系 5-3 地球温暖化 5-4 地球温暖化のメカニズム ――etc Phrases & Passages 21 気候変動が食糧生産に与える影響 22 伝統的な建築から学べること(1) 23 伝統的な建築から学べること(2) ――etc | |
| 第6章 政策 6-1 民主主義とはどのような政治体制なのか 6-2 政策決定のメカニズムと功利主義 6-3 メリトクラシーと貧困問題 6-4 ロールズの社会正義 ――etc Phrases & Passages 26 功利主義と政策(1) 27 功利主義と政策(2) 28 社会正義への新たな道? ――etc | |
| 第7章 言語・教育・文化 7-1 言語の起源 7-2 言語習得を可能にするもの 7-3 言葉と文化 7-4 言語の格差と消滅 ――etc Phrases & Passages 31 絶滅の危機にあるアイスランド語 32 古代語の発見 33 子供ならではのポジティブバイアス(1) ――etc | |
| 第8章 経済・経営・メディア 8-1 人間と経済 8-2 貨幣・マネー 8-3 ペーパーマネーと電子マネーの登場 8-4 ブロックチェーン・暗号資産 ――etc Phrases & Passages 36 暗号資産は通貨の未来か? 37 フェイクニュースの拡散 38 企業戦略にダイバーシティを取り入れること(1) ――etc | |
| 第9章 倫理・社会 9-1 日本の差別問題 9-2 差別の原因とは 9-3 法律による差別の助長:ハンセン病患者に対する人権侵害 9-4 パンデミック下で見られた人権侵害 ――etc Phrases & Passages 41 傍観者効果と倫理観のジレンマ(1) 42 傍観者効果と倫理観のジレンマ(2) 43 パンデミック下の差別と偏見 ――etc | |
| 第10章 未来志向の探求課題 10-1 人口動態の変化と社会福祉 10-2 地政学リスク 10-3 未来の食糧源 10-4 幸福のパラドクス ――etc Phrases & Passages 46 政府は出生率危機を解決できるか? 47 政府は出生率に介入するべきか? 48 地政学リスクの世界の舵を取る ――etc | |
| 英文 | オリジナル:過去問=18:32 ※過去問は英文の終わりに出典が明記されていたものをカウント |
| 過去問(掲載大学) | 九州大学、東海大学、名古屋市立大学、早稲田大学、慶応義塾大学、お茶の水女子大学、関西学院大学など |
| 音声 | アメリカ英語(フレーズ&英文)・イギリス英語(英文のみ) |
| 補足 | ・各章の背景知識解説は平均8つのテーマについて日本語+英語でまとめています。上記は一部を抜粋したもの。収録英文タイトルはPhrases & Passages 以下です。 |
個人の持つ能力によってその人の地位や評価が決まる社会を示す言葉がメリトクラシー(meritocracy)です。これは, イギリスの社会学者ヤング(Michael Young:1915-2002)による造語で, merit(実績, 功績)と cracy (支配)を組み合わせた単語です。彼は著者の中で近未来を「エリートが非エリートを支配する不平等社会」として描きメリトクラシーによる社会を風刺しましたが, この言葉が普及するにつれ, 現実社会では「能力に応じた公平な選抜によって社会が運営される仕組み」と前向きに解釈され, それは生まれによって身分が固定されていた階級社会よりも, はるかに優れたシステムであると捉えられています。
話題別英単語リンガメタリカ改訂第2版 P188より引用
この引用は「メリトクラシーと貧困問題」の一節にあるメリトクラシーに関する解説です。階級によって地位や評価が固定化される社会よりも、能力によってそれらが決まる方が優れたシステムであり、多くの社会ではその能力は第一に教育による競争によって判断されると述べます。しかし、教育による競争は本人の能力以外の経済格差によっても影響を受け、端的に言えばお金持ちほど優れた結果(大学進学など)を残す相関があります。といった非常に考えさせられるテーマについても解説されています。率直におもしろい。
本書の構成は旧版とほとんど同じです。旧版にあった「Japanese ⇔ English」が本書では削除されています。なお、本書は背景知識解説で分野別の知識を深められるようになっていますが、日本語解説で良いなら現代文の問題集や『小論文の完全ネタ本改訂版 自然科学系編』なども使えると思います。さらにAIで英訳して分野別の英単語を補充することも可能。大学・学部によって自然科学分野が必ず出題されるなら、そうした方法による分野別の知識拡張も戦略としては有効です。早慶志望なら『英文詳説日本史』『英文詳説世界史』で英語と歴史を同時に勉強してしまうのも悪くないと思っています。
旧版(リンガメタリカ)・英単語最前線2500との比較
英文は全て刷新されています。背景知識解説の数が少なくなりましたが、ひとつひとつの背景知識が充実したことでページ数の差はほとんどありません。旧版も普遍的なテーマに基づく英文なら利用価値はあると思います。リンガメタリカは実際に単語を覚えるかどうか別として、大学入試英語のテーマを背景知識解説(日本語+英語)で一通り押さえられる利点は無視できないため、MARCH・関関同立・地方~中堅国公立志望にとっても価値を見出せると思います。特にMARCH・関関同立の上位学部を受験するなら推奨します。
| 旧版(改訂版) | 改訂第2版 | |
| ページ数 | 389 | 392 |
| 英文の数 | 50 | 50 |
| テーマ(背景知識解説) | 116 | 81 |
| 収録語数(見出し語) | 1900語 | 1900語 |
| 音声 | 有料CD アメリカ英語・ナチュラルスピード | 無料ダウンロード アメリカ英語とイギリス英語(英文のみ) |
『英単語最前線2500』との比較は以下の通りです。確認してほしい点は『英単語最前線2500』で扱われているテーマ。多義性を重視する難関大向けの単語帳とは言え、頻出テーマの背景知識に約90ページも割いています。「3.末期医療」や「15.地球温暖化と気候変動」、「17.科学(サイエンス)」、「20.AIと失業」などいくつか重複している部分はありますが、同じ分野でもそこまで被っていません。『英単語最前線2500』が2023年出版とわずかながら古くなっていることに起因していると思われます。普遍的なテーマはもとより、流行テーマ対策であっても2023年ならまだまだ使えます。
| 英単語最前線2500 | リンガメタリカ改訂第2版 | |
| テーマ | 1.感染症 2.ワクチン 3.末期医療 4.ゲノム編集/遺伝子組み換え/クローニング 5.飢餓 6.肥満と菜食主義 7.食の安全 8.睡眠 9.平均寿命 10.人口爆発と少子高齢化 11.社会的孤立 12.IQとEQ 13.騒音 14.廃棄物ゼロ 15.地球温暖化と気候変動 16.脱炭素社会 17.科学(サイエンス) 18.技術 19.AIとロボット 20.AIと失業 21.ジェンダー 22.女性の地位/性差別/性的少数者 23.グローバリズム 24.自民族中心主義と文化相対主義 25.移民と難民 26.教育格差 27.消滅する言語 28.母語習得 29.ペットと人間 30.フロイトの精神分析理論 | 第1章 自然科学・人類学 1-1 ダーウィン以前の生物観 1-2 進化論の始まり――etc 第2章 テクノロジー 2-1 テクノロジーの起源と発展 2-2 情報の記録と共有――etc 第3章 医学 3-1 感染症との戦い 3-2 いたちごっこの戦い――etc 第4章 医療 4-1 遺伝子工学の医療への応用 4-2 遺伝子工学による治療薬:糖尿病への応用例――etc 第5章 環境 5-1 エネルギー革命と環境問題 5-2 化学物質と生態系――etc 第6章 政策 6-1 民主主義とはどのような政治体制なのか 6-2 政策決定のメカニズムと功利主義――etc 第7章 言語・教育・文化 7-1 言語の起源 7-2 言語習得を可能にするも――etc 第8章 経済・経営・メディア 8-1 人間と経済 8-2 貨幣・マネー――etc 第9章 倫理・社会 9-1 日本の差別問題 9-2 差別の原因とは――etc 第10章 未来志向の探求課題 10-1 人口動態の変化と社会福祉 10-2 地政学リスク――etc |
| 見出し語 | 2500語 | 1900語 |
| コンセプト | ・多義性と語法 ・頻度別難単語 ・頻出テーマの背景知識 | ・テーマ別単語 ・テーマ別背景知識 ・フレーズ |
改めて『英単語最前線2500』に目を通しましたが、速読英単語形式にこだわりがないなら難関大対策として積極的に推奨したいくらい優れた単語帳に仕上がっています。本書が大学偏差値65~70(MARCH上位から早慶)を対象にしているとしたら、『英単語最前線2500』は60~70(やや国公立向き)です。『英単語最前線2500』ではPART.1の「Basic Level」をはじめ、入試基礎~標準(50~60)までの比較的簡単な単語も含まれています。全体の単語レベルだけで言うなら50~70になりますが、多義性に焦点を当てているので難関大向け、難関大志望でないなら別の単語帳が良いでしょう。※PART.6「ハイレベル単語・連語」で難易度が一気に上がります。




