タイトル | 上級入試漢字・語彙 | |||||||||||
出版社 | 桐原書店 | |||||||||||
出版年・価格 | 2023/10/30 968円 | |||||||||||
著者 | 桐原書店編集部 | |||||||||||
目的・分類 | 大学入試漢字対策 | |||||||||||
問題・ページ数 | 272ページ・漢字(約3000語)語彙(約600語)収録 | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル | 日常学習 | 教科書基礎 | 教科書標準 | 入試基礎 | 入試標準 | 入試発展 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
対象・到達レベル
・大学入試の漢字対策を完璧にしたい人(基本~応用まで)
・漢字と語彙の両方を学びたい人
・大人の学び直しにも最適
大学入試向けの漢字問題集では『漢字マスター1800+』が有名ですが、それよりも倍近くの語数が収録されている本書こそが万全の対策をできるものになっています。国公立大学では基本的に常用漢字のみが出題されますが、私立大学では稀に常用外漢字が出題され、その点も本書はしっかりと対応しているほどの網羅性です。なお、本書の旧版は純粋な漢字対策問題集として約4000語弱収録されていました。改訂版になって漢字対策から語彙、長文と幅広く対応した形になっています。
本書の構成
[漢字]最頻出漢字200、分野別漢字336×5、同音異義語100×3、漢字(読み問題含む)104×3
[語彙]言語、科学、文化、社会、情報、文学・芸術、哲学、実用・その他(各60~70語収録)
[長文問題](分野別)言語、科学、文化、社会、情報、文学・芸術、哲学、実用・その他
※長文問題は大学の過去問を例文に、漢字・語彙問題を出題する形式
大学入試の過去問(直近5年)をもとに集められた問題(全て過去問)になっており、かなり高性能な仕上がりになっている一冊です。漢字問題には全て意味が添えられ、漢字の学習を通じて語彙力を高められるようになっている他、語彙問題として約600語を収録、そして長文問題は大学の過去問を例文にした漢字・語彙問題で入試の文章に触れながら学べるという非常に素晴らしい問題集になっています。
以前に取り上げた『語彙力をつける 入試漢字2600』は漢字のつくりを解説しながら理解を深める稀有な問題集で高評価でしたが、本書も負けず劣らずの出来です。どちらがオススメか?というと、本書の方が出版年が新しく、語彙と長文問題にまで広げている点から万人受けすると思います。漢字のつくりは漢字そのものの深い理解と類推する力を伸ばすのに有効なので、毎年難しい漢字を含む文章が出題される大学を受験するようなら『語彙力をつける 入試漢字2600』がオススメです。
漢字マスター1800+との比較
大学入試の漢字対策としては『漢字マスター1800+』が有名です。こちらは約2000語弱の漢字が意味と共に収録され、漢字対策に時間をかけられない受験生にとっては必要十分な量となっています。そのイメージは5問中4問正答は安定、5問正答も70%と言ったところです。一方、本書は5問正答(完答)が安定するイメージ。
難関志望ではない文系や(難関含む)理系であれば、漢字マスター1800+でも問題はないのですが、勉強の基礎力は国語であり、国語の基礎力は語彙力と考えていくと、本書に取り組んでおいて損はないと感じています。というのも、特に改訂版になってから語彙・長文形式と幅広く対応する形になったため、単純な漢字対策に終わらず、より総合的な国語力を伸ばせる問題集に仕上がっているからです。旧版は漢字特化だったために一部の難関私大向け問題集という印象でした。
そして、個人的には漢字と語彙を分けたくないという考えがあります。漢字を勉強するなら、漢字を語彙力に換えられる勉強にしなくては意味がないということ。漢字は広い意味を凝縮し、漢字に慣れるとは濃密な文章に慣れることを意味し、他の科目の勉強においても大きな力を発揮します。漢字が読めるだけ、書けるだけでは文章の表面に触れているだけで深い理解を伴いにくいのです。この差は実感しにくいにもかかわらず、大きな差となって受験勉強の効率はもとより成績にも反映されます。