高校の漢字・語彙が1冊でしっかり身につく本—中堅私大・地方国公立志望にオススメの現代文用語から漢字・語彙を一冊にまとめた良書

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タイトル高校の漢字・語彙が1冊でしっかり身につく本
出版社かんき出版
出版年2022/3/24
著者土井諭
目的高校漢字・語彙
対象高校生から大人まで
分量240ページ
評価
AI例文の生成
レベル日常学習教科書基礎教科書標準入試基礎入試標準入試発展
※全統模試目安 [教科書基礎=40~45][教科書標準=45~50][入試基礎=50~55][入試標準=55~65][入試発展=65~70]
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
加筆修正の履歴

2026/02/01 そこで本書で高校漢字・語彙、および現代文用語を一冊で終わらせ―以降の文章を一部加筆しました。

中堅私大・地方国公立志望なら本書一冊

 本書は2022年に出版された土井先生による漢字・語彙の問題集です。土井先生と言えば、最近では『CODEX 現代文精選問題集』の共著者でもあります。当サイトでは、中学・高校漢字、語彙には『ゴイカン』、難関大向けの漢字・語彙として『上級入試漢字・語彙』と『語彙力をつける入試漢字2600』を推奨していました。これらでも十分ではあったのですが、中堅私大・地方国公立向けによりベストな選択肢はないものかと探した結果、本書に辿り着きました。

 本書には漢字2880・語彙1200が収録されています。漢字に関しては類書と比較しても同等の充実度ですが、傑出している点は語彙が1200収録されている点です。本来、高校漢字・語彙に取り組むまでに中学漢字・語彙を終わらせなければなりませんが、本書ならば中学語彙を省ける可能性があります。本書の収録語彙はそこまで難しくなく、中学語彙から高校語彙までを集めたと言っても差し支えないと思います。中堅私大・地方国公立志望にとってなら重要事項をまとめたものと言って良いでしょう。もちろん、理想を言えば『中学国語力を伸ばす語彙1700』で中学語彙は正しく押さえておくべきですが、最初から中堅私大・地方国公立を志望する現役生にとっては重く、また比較的簡単な語彙(中学語彙)なら文脈と一緒に理解したいところがあります。特に文章をあまりに読まないために成績が上がらない層は、短期的に語彙を詰め込んだところであまり効果がないと思います。

 そこで本書で高校漢字・語彙、および現代文用語を一冊で終わらせ、文章の精読を学び、英語で言う多読多聴を習慣化させる方針がより良いと考えています。現代文は出題テーマがある程度決まっていますから、各テーマから毎日1題ずつ読解を試みれば、自ずと論じられている内容の共通点や法則性に気づき、読解を難しくする用語への意識が高まり、どんな文章が出題されても物怖じしなくなります。基本方針としては最初にできる限り国語力を伸ばすこと。文章を理解しているようで理解できていないことを自覚し、その改善に全力を尽くさないと文章から得られる情報の質が低下、本当に表面的なものしか捉えられず、身につかずになりますから。なお、小学・中学漢字に関しては事前に終わらせておくしかありません。

大学入試の現代文は一般的な参考書の文章よりも当然難しく、受験戦略としては英文の全文和訳が不要なように、第一に伸ばすべき国語力は参考書の効率を著しく下げない程度、次に合格に必要な点数を確保できるまでです。もっともこんな器用に能力は伸ばせないため、余裕を持った国語力が望ましいのは言うまでもありません。文系ならなおのこと。

本書の構成と解説の一例

 本書はB5判サイズでページ数の割に解説として適切な量を確保しているため、最難関国公立・私立を想定しても問題ありません。しかしながら先に挙げた『上級入試漢字・語彙』や『Z会 現代文キーワード読解』に分けた方が解説は詳しくなるため、難関大理系志望なら問題は小さいとしても、文系の場合は積極的に推奨したくないところがあります。漢字問題に関しては本書だけで十分です。

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構成一般的な漢字問題集によくある形式
「例文・答え・意味」
※過去に入試で出題された漢字のみ
※上段に重要漢字、下段に差がつく漢字
内容【漢字】超頻出・頻出・読みで問われる・差がつく漢字が2880問あります。
【語彙】評論重要語・読解重要語・慣用表現・四字熟語・カタカナ語・接続詞・副詞・連語・ほかが1200語あります。
特徴出る順、全ての漢字に意味と例文、実力テストダウンロード付き
その他「漢字・語彙の効果的な覚え方」の解説あり

 本書を漢字問題対策として導入する分にはとにかく覚えるのみですが、語彙強化を目指す場合には例文から正しく学ぶ必要があります。単に読んで終わりではなく、今ならAIによって例文を複数生成し、そこから深めた理解をもとに自ら一文を作成するのが理想です。大人の学び直しも含めて勘違いしやすい点は「読める」が「理解」ではないということ。読めて意味も知っているから理解できるとは限らず、様々な文脈に触れて言葉の概念をできるだけ正確に形成する必要があります。英文を返り読みせずに理解するように、難しい語彙を含む日本語も意識を止めずに流れるように理解することを目指します。なお、本書には実力テストがダウンロード可能になっており、独学しやすい利点もあります。

「形而下」は英語でphysicalといいます。physicalは「身体的な」という意味なので、「形而下」とは身体・五感によってとらえられるもののことを指します。一方、「形而上」は英語でmetaphysicalといいます。meta-という接頭辞は「超える、超越する」という意味なので、metaphysicalは「身体を超えたもの」すなわち、精神的なものを意味します。
高校の漢字・語彙が1冊でしっかり身につく本 P195より引用

 こういった説明も何ら問題なくわかりやすいと思います。適宜イラストが挿入されているため、全体的に完成度は高く、隅々まで配慮が行き届いている印象です。読解重要語として「最大公約数的」など痒い所に手が届いている点も地味に評価を高めています。

これは個人的な好みの問題ですが、本書には欠点らしい欠点はないものの、B5判サイズだけ好きになれない点です。漢字・語彙といった参考書は英単語帳のように手軽に持ち運びたいのです。

語彙力の強化によって情報の質が高まり、思考力の成長が促進される

 大人であっても普段の生活環境によっては同様ですが、特に現役生の場合、進学校を除くと語彙力が成長する環境に無いと言っても過言ではありません。成長以前に低下させる可能性まであり、語彙力=思考力と仮定したときにはかなりのハンデになってしまいます。語彙力が低いと、文章から得られる情報の質が下がり、思考力の成長に寄与しなくなります。例えるなら、高校生になって小学生の文章を読んでいるのと同じ。逆に大人向けの文章を毎日浴びるように読んでいたら思考は強制的に成長できるところがあります。頭が良くなりたいなら、触れる情報の質を高めること。

 大人になってから子供の頃よりも勉強ができるようになる理屈も同じ。大人の世界では難しい言葉が飛び交い、子供の頃には全くなかった議論に触れる機会も多くなりますから、大人は思考力を強制的に成長させる機会に恵まれているのです。ただ、一朝一夕で成長するわけではありません。これも一種の思考のブレイクスルーによるところであり、それを起こすには“量”が不可欠なのではと結論づけています。正確に言うと、量というより習慣というべきか。常に少し背伸びした文章(情報)に毎日触れ続けることが大切です。親子や友人との会話にしても、支離滅裂とした話ではなく、しっかりと論理的で考えを深められる会話が理想になります。特に子供の頃の思考力は環境によって引っ張られるところが非常に大きいように感じています。もちろん、環境から自立して、自ら質の高い情報を求められるなら別です。

 本書のような問題集は漢字問題対策のためと考えられがちですが、あらゆる例文、日本語による表現が刺激となって思考力を伸ばします。母国語は言ってみれば日本人の頭の中で最も思考力が育った知識、ここを起点に思考を展開していくことは英語のリーディング能力から他の技能を攻略するに近いことです。だから日本語能力を伸ばし切ったあとの英語学習に意味があるという話にも繋がります。本書は大人の学び直しにもオススメです。語彙の選定が難しすぎず、簡単すぎず、ちょうど良いところが万人に薦めやすくなっています。

当サイトでは本書を高校漢字・語彙の第一に検討すべき参考書に設定しました。

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