タイトル | 大学入試 読むため書くための英文法ハンドブック | |||||||||||
出版社 | 旺文社 | |||||||||||
出版年 | 2025/4/28 | |||||||||||
著者 | 竹岡 広信 | |||||||||||
目的 | 高校英文法 | |||||||||||
分量 | 560ページ | |||||||||||
評価 | ||||||||||||
レベル | 日常学習 | 教科書基礎 | 教科書標準 | 入試基礎 | 入試標準 | 入試発展 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
対象・到達
【対象】
・高校英文法を一通り終えた人
・読み書きに必要な英文法に絞って確認したい人
・学び直しを考える大人
【到達】
・読み書きに必要な英文法を一通り押さえられる
・竹岡先生の文法エッセンスを網羅できる
※専用サイトで講義・例文音声を聴ける(ダウンロード可能)
本書は2025年に出版された竹岡先生著のハンドブック型の文法書です。1ページに1つの文法テーマが解説されたレイアウトなので、読み書きの際に必要となる知識を確認しやすくなっています。竹岡先生と言えば、漫画「ドラゴン桜」の英語講師のモデルとして有名になり、『ドラゴン・イングリッシュ基本英文100』の出版によって英作文の先生という印象を抱いた人もいたと思われます。事実、その後に出版された『ドラゴンイングリッシュ必修英文法』や『ドラゴンイングリッシュ必修英単語』、『基礎英作文問題精講』、『竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本』などからも英作文は竹岡先生の看板テーマのように感じます。
本書は大学入試向けのハンドブック型の文法書ですが、数多くの参考書を出版されてきた竹岡先生の解説を網羅的に押さえられる参考書でもあり、本書を購入する最大の利点はそこかもしれません。単語帳『LEAP』にすら文法書並みの解説が顔を覗かせることがあるように、竹岡先生の豊富な文法知識をようやく余すことなく発揮した参考書が発売されたと捉えたら非常に魅力的と思います。英語講師歴はもう40年近いでしょうか、ドラゴンイングリッシュの初版が2005年ですから、少なくとも20年以上は最前線で受験英語の指導にあたっています。
逆に言うと、本書の解説というのは今までに出版されてきたもの、例えば『竹岡の英文法・語法ULTIMATE究極の600題』や『ドラゴンイングリッシュ必修英文法』にも散りばめられてあります。何を意図して本書のようなコンセプトで出版されたのかと考えると、単語を発信語彙と受信語彙に分けた『LEAP』のように、文法も読み書き基準で体系的に整理したかったのかもしれません。特定の問題対策としての参考書ではなく、竹岡先生の集大成のような印象です。
本書の構成
・第0章「文法用語の基礎知識」から始まり、動詞と文型、時制、助動詞、受動態、名詞、冠詞、代名詞、to不定詞、動名詞、分詞、接続詞、疑問詞・疑問文、関係詞、比較、仮定法、否定、形容詞、副詞、前置詞、特殊な語順・省略・挿入・同格・話法の全20章構成
・490以上のテーマ+その大半に講義音声付属
これだけ大量の講義音声が付属していることに驚きます。内容としては一般的な文法書を基本として備えてあり、その上で読むため書くための文法事項を1ページ1テーマにして詳細にまとめています。前置詞をひとつずつ解説しているのは良い意味で珍しい気がします。竹岡先生は以前に前置詞のみを扱った『竹岡式もう迷わない前置詞』も出版されていたため、おそらくその内容に近いものが書かれてあります。ちなみにハンドブックと冠していますが、実際には辞典のようで持ち運ぶにはあまり適していません。
聞き手もわかっている, あるいは想像できる「それほど, これほど」の意味です。例えば I am so tired.なら, 話の内容や話者の様子から, 聞き手が, 話者がどれほど大変な1日を送ったかが想像できる状況で使われます。一方, I am very tired. 「私はとても疲れている」と言った場合は, それは聞き手にとって新情報かもしれません。
大学入試 読むため書くための英文法ハンドブック P400より引用
英文法の中でも倒置や省略、挿入、代動詞・代不定詞などは難関大頻出のテーマであり、本書では第20章にまとめられています。本書のレベルは共通テストから難関大まで網羅していると考えて良いと思います。一般的な文法書よりも大学入試に必要なテーマが意識して揃えられているため、関先生の『真・英文法大全』に近い印象を抱きながらも対照的なレイアウトになっています。本書は最初から最後まで読み通すことが想定されているわけではなく、必要に応じて索引から調べる参考書。※個人的には通読するのがオススメです。
表現のためのロイヤル英文法より手軽に
本書は『表現のためのロイヤル英文法』の現代版と言っても良いのではと感じています。現代の大学入試に合わせた読み書きに必要な文法事項がスッキリまとまっているため、『表現のためのロイヤル英文法』よりも手軽に使えます。『表現のためのロイヤル英文法』は指導者も使えるほどの充実度なので、受験生や大人の学び直しには重いのです。英語中級者以上、上級者でも手に余るかもしれません。
最初は本書を購入しようか悩みましたが、ライティングを想定した文法書は稀少であること、今までに蓄積した(散乱した)文法知識を整理できると思って購入しました。レイアウトが秀逸な上、講義音声が付属する文法書と考えるだけでもお釣りがきます。結果、本書のコンセプトの通り、読み書きで悩むポイントがしっかり網羅されていて満足です。大人の学び直しにおいて“大学入試”は一長一短かもしれませんが、少なくとも本書にまとめられている文法事項はTOEICであろうとTOEFLであろうと役に立つものばかりです。
他方で現役生が英作文の直接的な対策として本書を購入する価値があるかというと、英作文で使える重要表現はまとめられているものの、他に優先すべき参考書があります。テクニックなどは載っていませんからね。どちらかと言えば、現役生よりは大人の学び直し向き。竹岡先生の参考書が好きな人なら問答無用で買い。