タイトル | 京大・学術語彙データベース 基本英単語1110 | |||||||||||
出版社 | 研究社 | |||||||||||
出版年・価格 | 2009/6/20 | |||||||||||
著者 | 京都大学英語学術語彙研究グループ+研究社 | |||||||||||
目的・分類 | アカデミック英単語の学習 | |||||||||||
問題・ページ数 | 272ページ | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル | 日常学習 | 教科書基礎 | 教科書標準 | 入試基礎 | 入試標準 | 入試発展 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
対象・到達レベル
【対象】
・学術論文を読みたい人
・英検準1級以上、高校生、大学生、大学院生
【到達】
・学術論文の読解に必要な基本単語が身につく
・大学院試験に備えられる
本書は大学生を対象にした英単語帳です。京都大学が独自に開発した英語学術語彙データベースから選出された1110語が掲載されています。これは2009年当時大学受験用の英単語帳の数が多い一方で、大学生向けの英単語帳は圧倒的に数が少ないことから企画されたそうです。しかし、2025年現在もこの手の単語帳は非常に少なく、また掲載されている学術語彙は基本単語が中心であるために高校生でも役に立つものになっています。
近いコンセプトとして以前に紹介した『東工大英単』があります。こちらは収録単語が少なく易しいながらも、関連語や基本例文、技術例文まで掲載して単語の運用と理解を深められるようになっています。

本書には文系理系共通語彙477語、文系共通語彙311語、理系共通語彙322語が収録されています。学術語彙と言っても基本単語ではあるので、大学受験用の単語帳に掲載されているものも数多くあります(半分くらい)。レイアウトは一般的な単語帳とほとんど同じです。単語の品詞と意味に加えて、必要に応じてフレーズと例文、派生語が補足されています。
大人の学び直しには
院試以外の英検やTOEFLといった試験対策としては優先順位が下がりますが、本書の英単語を全て覚えたらアカデミックな英文は読みやすくなるのを実感すると思います。大学の一般教養課程の英語に触れられる貴重な単語帳と位置づけたい。
また、本書には似た単語の「使い分け」が補足情報として掲載されています(だいたい50個くらい)。
「尊厳」の使い分け
honor : 人の人格・地位・能力を認めて敬意を払うこと
homage : honorに加えて称賛・尊敬を表す ; 形式ばった態度を伴うことが多い
reverence : 深い尊敬と愛情
deference : 目上の[立派な]人などに敬意を払い,その人の意思・判断を尊重すること
※京大学術語彙データベース基本英単語1110 P137より引用
学術論文を読みたいと考える大人にもオススメです。AIによる翻訳・要約の精度に感心させられる昨今ですが、TOEICのようなビジネス方面ではなく、アカデミック方面に英語学習を進めたいなら購入して損はありません。
東大・早慶対策として機能するか
まず、英文のレベルが東大・早慶未満の大学では必要ないと思います。この手の単語帳は過去問での単語対策と天秤にかけた上で検討するべきで、それら未満の大学では過去問を優先した方が効率が上です。さらに、おそらく本書に掲載されている専門用語(大学受験を超える)は注釈がつきます。つきますが、(レベルの高い大学ほど)学術基本単語ゆえに注釈がつかない可能性もある絶妙な難易度にもなっており、注釈がつくとしても注釈を確認しないと理解できない状態も芳しくありません。
言い換えると、注釈無しで理解できる状態なら文章の大意を読み取る時間も節約でき、だからと言って難しい専門用語を覚えるほどの労力も必要ないので検討の価値はあるということ。医学部志望が医学・看護用の英単語を覚えるに近い作業。大学入試を単なる学力判定として捉えるのではなく、その先にあるアカデミックな世界に必要な人材を選抜する試験としたら本書は機能します。特にそうした人材を求めるであろう東大や東工大、早慶ならば、本書は分量も軽くてオススメできます。それでも必ず過去問に目を通したあとに。
本書の半分は大学受験レベルと述べましたが、残りの半分は英検1級レベルに匹敵する単語が収録されています。なので、覚えるというよりは(注釈がつくであろう)英単語から内容を推測できるようにしておくと良いと思います。見慣れない単語を減らす程度の意識で十分。難関大学や難関高校は中学生に高校レベルを、高校生に大学レベルを要求することが多いことからも、この手の単語帳は有用なものとして語られても良い気がしています。