タイトル | 速読速聴・英単語 Opinion1100 ver.2 | |||||||||||
出版社 | Z会 | |||||||||||
出版年・価格 | 2017/3/9 2200円 | |||||||||||
著者 | 松本 茂 | |||||||||||
目的・分類 | スピーキング、英検2次対策 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | 368ページ | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象・到達レベル
・英語で自分の意見を述べたい人
・英検2次対策に困っている人、大学の授業で英語のディスカッションがある人
・英検2級、TOEIC600の人がさらなるレベルアップを望める
本書はレイアウトこそ異なるものの、Z会が出版する『速読英単語』シリーズを社会人向けのコンセプトにしたような参考書です。テーマごとの文章(パラグラフ分析含む)と単語、そして自分の意見を述べるためのフレーズがまとめられています。使用用途としては日常学習向きですが、英検2次対策としても優秀な仕上がりになっていると思います。
ただ、速読速聴シリーズは海外メディアの記事などを引用している点は問題ありませんが、それが全てではなく、本書の著者やネイティブの書き下ろした文章も半分程度含まれています。これは『速読英熟語』の欠点にも挙げたように、書き下ろしの文章の評価は分かれます。もし、日本語講師(日本人)が日本語学習者(外国人)に向けて社会的なテーマを書いたとしても、文法的な誤りのない和文が出来上がるだけでしょう。それもそれで悪いとは言いませんが、できることなら実地感覚を養えるものであればなお良しと考えるはずです。
本書の構成
[Part1]日常生活 e.g.あなたは紙の書籍より電子書籍を好むか
[Part2]第1章『教育・社会』e.g.高等教育の費用は政府が負担すべきか 第2章『生命』e.g.赤ちゃんの遺伝子編集は規制されるべきか 第3章『司法』e.g.死刑は廃止されるべきか 第4章『環境・国際』e.g.日本は集団的自衛を認めるべきか
※主張に対しての肯定と否定の立場から意見を述べるためのフレーズ、英語特有の論理的な主張の仕方も掲載されています。
本書の最大の利点は意見を述べるためのフレーズを網羅していることにあります。単語に関しては多くありませんが、無料の音声付きでテーマ別の文章は現代的なトピックを採用しているため、特に英検の2次対策になり得る参考書になっていると思います。
自分の意見を英語で述べるための参考書
自分の意見を英語で述べる方法や単語、フレーズをまとめた参考書自体はそこそこあるのですが、文章が硬すぎたり、レイアウトが見にくかったり、使用用途が限定的だったりして手を伸ばしやすいものははっきり言って少ないです。英検2次対策(面接)の参考書であっても使いやすいものはほとんど思いつきません。
その点で本書は汎用性が高く、全体的に情報もレイアウトもバランス良くまとめられている点は非常に使い勝手の良いものになっています。本書のテーマ別文章はネイティブによる書き下ろしなのですが、速読英熟語とは違い、書き下ろしのデメリットはそこまでありません。まとめられている表現も幼稚さはなく、英検対策としては良い意味で過剰なほどの言い回しが身につくと思います。※英検2次試験は英検1級であっても中学英語のスピーキングで合格点がもらえるため、本書の表現が自然と出てくれば合格点以上の評価が視野に入るわけです。
また、英語でのディスカッションや外資系企業への就職・転職に備える日常学習としても機能するでしょう。本書の単語や文章のレベルから最低でも「英検2級・TOEIC600」あたりの英語力を備えておく方が望ましいと思います。文章自体は長くも難しくもないとは言え、本書の内容が身になる層は英語上級者寄りであることは間違いありません。