タイトル | 文系の数学 重要事項完全習得編・実戦力向上編 | |||||||||||
出版社 | 河合出版 | |||||||||||
出版年・価格 | 2013/7 | |||||||||||
著者 | 堀尾 豊孝 | |||||||||||
目的・分類 | 重要事項完全習得編(入試基礎固め)・実戦力向上編(入試標準~発展)、ハイブリッド型問題集 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | 文系の数学 例題152問・演習題120問(約200ページ) 数学III 例題100問・演習題111問(約300ページ) 実戦力向上編 例題90問・演習題110問(約200ページ) | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象・到達レベル
【対象】
教科書レベルを終えた人
【到達レベル】
文系の数学 重要事項完全習得編(偏差値50~55):日東駒専・MARCH(数学の易しい学部)、地方国公立
数学III 重要事項完全習得編(偏差値55まで):日東駒専、MARCH、地方国公立
実戦力向上編(数学IA・IIBのみ、偏差値60~65):早慶準備、旧帝大準備(北大、九大、東北大)
本書はマセマ出版シリーズとは違った理解を促す解説に定評があり、厚くもないため、勉強に不慣れな人でも取り組みやすいものになっています。なお、同じシリーズではありますが、重要事項完全習得編のあとの接続として実戦力向上編はイマイチです。
本書の構成・問題数
文系の数学 重要事項完全習得編:例題152問・演習題120問
数学III 重要事項完全習得編:例題100問・演習題111問
文系の数学 実戦力向上編:例題90問・演習題110問
数学は新課程になってもそれほど大きな変化はないものの、本書の出版年が10年以上前と少々古い点は注意が必要です。加えて問題数も少なめですが、1問ごとの要点を押さえた解説によって理解の感覚を知るにはちょうど良い参考書になっていると思います。インプット型・アウトプット型で言うと、本書はハイブリッド型といったところです。前半の例題でインプットしたあと、演習題(大学の過去問)でアウトプットする形式です。
チャート式との比較や接続
重要事項完全習得編は『入試基礎レベル』を中心に取り扱っているため、黄・青チャートに取り組んでいる人は必要ありません。白チャートの場合、演習問題(大学の過去問)が『コンパス5』よりやや難しいレベルにあるため、取り組んでおいても損はありません。本書とチャート式の接続で考えられるパターンは「白→重要事項(演習問題)」「黄→実戦力向上」「重要事項(例題)→青」の3パターンくらいです。
コンパクトな問題数と充実した解説
おそらく本書の中で最も有用なものは『数学III』です。新課程対応のものがまだ出版されていませんが、数学III(現数学IIIC)は重要事項を押さえただけでも地方国公立ならすぐに対応できます。これはもともと数学IIICの難易度が高く、数学IIICに限っては「基礎」という概念がないようなものだからです。そして、理系は共通テストで数学IIIが問われない分、私立一般・国公立二次では頻出します。
インプット・アウトプットの両方を備えた本書の問題数は基礎寄りにして十分とは言えませんが、分厚くもなく、一冊をしっかり終えて「理解する感覚」を得られる参考書としては理想的かもしれません。最初からMARCH・地方国公立あたりを狙うなら本書に絞っても問題なさそうです。特に基礎問題精講を併せて使うなら、基礎事項の網羅性は心配しなくて良いでしょう。
基本的に数学の参考書は、過去問に取り組んだ際、全ての問題の解法を参考書に戻って確認できるかどうかが重要です。もし、参考書に戻って確認できない場面が多いなら、使用していたインプット型参考書の網羅性では不十分であり、合格点に到達できないことを意味します。なお、網羅性だけで言えば、チャート式や1対1対応に定評がありますが、果たしてそこまでの網羅性が必要なのかどうかの議論は常にあります。チャート式は辞書利用が実は正しい結論なのではと思い始めています。