タイトル | 英文法・語法 良問500+4技能 | |||||||||||
出版社 | 河合出版 | |||||||||||
出版年・価格 | 2017/11/20 1320円 | |||||||||||
著者 | 佐藤 進二 | |||||||||||
目的・分類 | 文法問題集 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | 誤文訂正・整序英作文・空所補充 各500問の合計1500問 | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象・到達レベル
・高校英文法の参考書を一通り終えた人向けの問題集
・入試基礎~最難関大まで網羅している(偏差値65以上)
・ランダム出題・無料音声付き・詳細な解説
・文法知識を英作文に応用する解説付き
本書のシリーズは3冊1500問と分量は多いですが、文法書並みの非常に詳しい解説が付いています。機械的な1500問ではなく、1問1問の押さえておくべきポイントから派生する知識までしっかり理解できるように配慮されています。数多くの文法語法問題集を見てきましたが、ここまで解説が詳しいものは見たことがありません。
ちなみに文法問題集は空所補充の形式が圧倒的に多いですが、空所補充は文法の簡単な知識確認としては機能しても、文法力が向上する実感を得にくい欠点があります。空所補充を何度も繰り返したところで文法知識はあまり深まらないのです。その点で整序英作文では熟語と構文、語法、文法の知識をフル活用しながら自ら英作文するに近い感覚を、誤文訂正ではそれらの知識を細部まで整理する感覚を得られます。
本書の構成
・1日10問50日完成 ※誤文訂正にはライティング演習付き
・各大学の文法問題(過去問)を1冊500問掲載
・問題の難易度は『誤文訂正>整序英作文>空所補充』
3冊1500問に取り組むべきかというと、時間のない受験生には志望校の傾向に合わせた1冊だけでも良いとは思います。しかし、数学のチャート式のように英文法語法の知識を完璧に固めたいという人は3冊取り組むべきです。誤文訂正、整序英作文、空所補充と異なる3種類のアプローチによって1冊よりも遥かに細かく正確な文法知識を固められます。それぞれ解説が非常に詳しいため、読むだけでも力になります。
現時点で最高の文法語法問題集
一般的な知名度では古くから存在する『NextStage』や『Vintage』が有名で、問題数も(文法語法のみで)1000問と十分な量を確保しています。文法問題が減ってきた現代受験英語ですが、それでも英文法の知識を確認・定着させるために問題集に取り組む選択は残り続けています。しかし、これらの問題集が解き終わり、何周したとしても、どこか文法知識に不足感を覚え、英作文に応用もできず、試験では得点に結びつかなかったりします。
それはなぜかというと、空所補充の欠点と丁寧な解説に触れていないからです。その都度、問題の疑問点を文法書で確認する習慣があるのなら良いのですが、おそらく多くの人が『問題と解説』をさらっと読んで終わります。語法の知識なんて単語熟語を覚えるに等しい作業ですから、問題一つにつき知識一つでは当然足りません。その点で本書は一つの問題の知識から派生する知識、押さえておくべきポイントまでこれでもかと掲載しています。
また、問題の種類に関して言うと、(特に進学校に通う)現役生ならわかる通り、意識して取り組んだ一冊だけではなく、学校(定期テストや授業、模試)と塾も含めた『文法定着のために解いた問題数』はおよそ5倍~10倍にあたるのではないかと思います。つまり、たかだか1000問の問題集を1冊解き終わっただけで本当の意味で文法が完成するとは考えにくいわけです。
問題の要点+派生する情報まで解説
そこで本書の解説は、ぜひ一度手に取って確認してみてほしいと思います。問題文の熟語や構文を全て抽出し、派生する知識一覧を載せ、ライティングに繋げる解説、無料音声まで提供しています。文法語法問題集としてはまだまだ知名度が低い本書ですが、出版年が比較的新しく、現代英語の4技能を意識した本書は周囲に差をつけられる問題集です。
しかし、情報量の多さに挫折してしまう人もいるかもしれません。人間は新しい情報の取得、ましてや理解には想像以上の負荷がかかります。丁寧な解説も1周目は重く捉えてしまい、挫折率を高めてしまうことも否定できません。ただ、必ずしも1周目から全ての情報に触れなければならないわけではなく、1周目は問題をさらっと解くだけ、2周目は1周目よりもしっかり解説を読んでみる、3周目はさらに目を通していない情報を意識的に拾ってみる、そんな風に少しずつ扱う情報量を増やしていけば良いのです。
確かに「問題集を10周以上した」なんて聞くと、何だかすごい頑張っているように感じますが、実は本当に大変なのは1周目、2周目あたりでそれ以降の意識の配分は覚えていないものを中心に拾っていきますから労力はかなり小さくなります。2周目の労力は1周目の半分、3周目の労力は2周目のさらに半分というイメージ。そのため、とにかく1周目をどうやって乗り切るか。本書の1周目を乗り越えられたら他の参考書よりも大きな力を手に入れられます。