小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる本—レベル・難易度・使い方【レビュー】

小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる本
総合評価
( 5 )

対象・到達レベル

・現役小学生から算数を復習したい全ての人

・教科書基礎~応用までしっかり押さえている

・小学算数を一から学べる

 中学受験はあまりに特殊なので例外として、本書3冊に取り組めば、小学校の定期テストでは満点、小学校の算数を十分に理解したと言えるレベルに達します。なお、同じ著者の「小学校の算数が教えられるほどよくわかる」シリーズは重複する部分が多いものの、より理解に重きを置いているため、大人の学び直しにはとても向いています。

本書の構成

しっかりわかる本—128ページ

しっかりわかる問題集—184ページ

解き方がしっかりわかる—224ページ

【整数の計算】整数のたし算、整数の引き算、整数のかけ算、整数の割り算、計算の順序

【少数の計算】小数とは、少数のたし算と引き算、少数のかけ算、少数の割り算

【約数と倍数】約数とは、公約数と最大公約数、倍数とは、公倍数と最小公倍数、偶数と奇数

【分数の計算】分数とは、約分と通分、分数と少数の変換、帯分数のくり上げ・くり下げ、分母が同じ分数のたし算・引き算、分母が違う分数のたし算・引き算、分数のかけ算、分数の割り算

【平面図形】さまざまな四角形、四角形の面積、さまざまな三角形、三角形の面積、多角形とは、円周の長さと円の面積、線対称とは、点対称とは、拡大図と縮図

【立体図形】立方体と直方体の体積、容積とは、角柱の体積、円柱の体積

【単位量あたりの大きさ】平均とは、単位量あたりの大きさ、さまざまな単位、単位の換算

【速さ】速さの表し方、速さの3公式の覚えかた

【割合】割合とは(その1)、割合とは(その2)、百分率とは、歩合とは、割合のグラフ

【比】比とは、比をかんたんにする、比例式、比の文章題

【比例と反比例】比例とは、比例のグラフ、反比例とは、反比例のグラフ

【場合の数】並べかた、組み合わせ

【データの調べかた】代表値とドットプロット、度数分布表と柱状グラフ

 どれも分量は多くなく、集中して取り組めば1冊1週間くらいで終わると思います。解き方がしっかりわかる本は小学校の算数でつまずきやすい「比、割合、図形、計算、文章題」に焦点を当てているものになります。

 中学数学では小学算数以上につまずく人が増えますが、数学は積み重ねの科目ですから、すでに小学算数でつまずいていたというパターンはよくあります。上記の目次から、わからない用語や計算が思い当たるようなら必ず復習をするべきです。

子供から大人まで—小学校の算数を理解するなら本書

 小学校の算数の用語や計算は簡単と言えば簡単ですが、小学生の純粋無垢な疑問を前にすると実はとんでもなく難しい話になってしまいます。教える側の都合だけで言えば、高校生を相手にするのが一番簡単です。

 本書は小学生の段階で「〇〇という理解でも十分」ということをその都度提示してくれていますから、教える大人にとっても、学び直しを考える大人にとっても易しいつくりになっています。さらに本書は中学数学版も出版されているため、中学数学への接続を円滑にする点も高評価です。

 ただ、どちらかと言えば、本書は大人の学び直しに適しているかもしれません。それはやはり小学生向けの内容と言ってもテキストで理解するより、学校やyoutubeで話し言葉を巧みに用いて視覚的変化も多い授業をベースにする方が子供にとってはわかりやすいと思うからです。

数学の復習を何より大切に

 今では小学校の算数でも統計が扱われ、ドットプロットやメジアンなんて用語も登場しています。こうした統計分野は中学数学・高校数学でも扱われ、大学入試でも押さえておかなくてはならない重要な分野です。

 算数・数学を苦手にする人が多い理由は、積み重ねを前提にしながらも、毎日忙しい子供たちにはどうしても基礎が抜け落ちてしまう単元が生まれ、その単元のせいで次の単元を理解できなくなるという悪循環が生まれるからです。数学は最も復習しなければならない科目と言って良いと思います。

 しかし、逆に言えば、数学が苦手になる原因は必ず過去のいずれかの単元に隠されており、そこさえ復習して理解できれば苦手意識は確実になくなります。大学受験においては「数学と英語」が得意なだけで非常に有利に進められますから、受験生や再受験を考える大人にとってはいかに数学を攻略できるかが鍵となります。

 果たしてどこから算数・数学を理解できなくなったのか。それを明らかにする意味でも、本書の内容は非常にわかりやすく整理されていてオススメです。

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