田村のやさしく語る現代文―現代文の本質的な基礎講義

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タイトル田村のやさしく語る現代文
出版社日本入試センター
出版年2020/6/24
著者田村 秀行
目的現代文の基礎の基礎
対象現役生から大人まで
分量185ページ
評価
AI
レベル日常学習教科書基礎教科書標準入試基礎入試標準入試発展
※全統模試目安 [教科書基礎=40~45][教科書標準=45~50][入試基礎=50~55][入試標準=55~65][入試発展=65~70]
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
加筆修正の履歴

※本記事は公開以降、内容に変更はありません。

当サイトの現代文入門の参考書として推奨するに至ったため、全体的に書き直す予定です。

現代文の読解をやさしく知る―日本語文法から読解へ

 本書は2020年に改訂された田村先生による現代文の参考書になります。1996年に初版が出版されてますからかれこれ30年間も受験生から支持されている参考書です。本書の最大の特徴は「会話調による講義」です。現代文の読解を初歩から丁寧にやさしく解説してくれています。2026年現在では本書以外にも読解に関わる参考書は数え切れないほどあるのですが、ここまでやさしく解説しているのは本書だけ、もはや田村先生の人柄があったからこそ完成した参考書なのだろうと思うに至っています。

 そして、もう1つ特徴を挙げるなら「日本語文法」を読解に正しく繋げる内容になっていることです。実はこの点は比較的珍しい。読解の基礎とは、漢字・語彙・文法といった知識によって支えられているわけですが、日本語文法は中学国語の分野にあるため、高校生向けの参考書ではそもそもそれがわかっている前提で解説されているもの、構造分析に比重を置くものが多いのです。本書と同様に『西原の現代文読解をはじめからていねいに』のような読解の初歩から解説してくれる参考書なら触れられていることもあります。

 他方で、高校生の読解力の問題は構造的に生じるところもあります。中学から高校に進学すると、中学までの漢字・語彙はわかっている前提で進み、母国語を扱う現代文ではさらに背伸びした文章、高校漢字・語彙、および硬質なテーマに触れるということで躓きやすいのです。中学まで現代文の成績が悪くなかった人が高校に入ってから急に成績が悪くなったという話は珍しくありません。しかも中学までの説明文はまだまだ具体性が高く、曖昧な理解でも正答を導ける程度に易しいため、読解力の本格的な問題点に気づけない事情もあります。勉強の基礎は国語力であり、特に同じ言語科目である英語への影響は大きいため、国語は是が非でも改善しなければならない科目です。

全国的に見ると、中高一貫校や進学校では国語力の先取りは小学生の段階から積極的に行われています。事実、難関中学や高校の入試問題は大学入試に匹敵すると言っても過言ではなく、中学生にして高校生、高校生にして大学生並みの力を余分に備えようとする意識が高いのです。もっとも数理能力が特別秀でている子は言語能力が少し抜けている場合もあります。

本書の構成・使い方

・現代文、小論文ともに約150ページ

・どちらも現代文とは何か?小論文とは何か?から始まり、現代文を読み解き、小論文を書くための数々の疑問に答える形式で構成されています。例:「現代文で客観的とはどうすることだろうか」「作文と小論文は何が違うのか」と学生が疑問に思う点を噛み砕きながら進みます。

 本書の使い方は『読んで理解する』に尽きます。現代文の勉強は即効性を感じにくく、参考書を使ったところで力がついているかどうかわかりません。それでも、なんとなく特別な感覚を抱き、実際に現代文を読み解く際に今までとは違った視点を持てるようになれたのなら問題ありません。重要な点は『なんとなく』から卒業し、『論理』という言語のパズル的な感覚を少しでも知ることです

本書の長所と国語力の伸ばし方

 国語力は全ての基礎であり、実社会においても非常に重要な能力に位置付けられています。言語的な能力が不十分では物事を理解することも応用することもままならず、厳しい競争を強いられてしまいますから。

 しかし、国語力を伸ばすにはどうしたら良いのか?という疑問に満足いく答えを返せる人は少ないかもしれません。第一に語彙力をつけるまでは誰でもできても、それ以上の読解や論理といった抽象度の高い事柄をどのように身につけるか、伝達するのかという点で詰まります。結果、とにかく評論文に触れて、読解や論理に無意識的に慣れていく方針を選択せざるを得ず、実際にそれが何だかんだ効果的ではあります。習うより慣れよ。

 もし、それでも効果を得られずに「自分には国語の才能がない」なんて落ち込みそうなときには、哲学と思想に触れてみるのがオススメです。そう、本書の長所とは、著者である田村先生が京都大学文学部哲学科を卒業されていることもあってか、論理や抽象的な思考をやさしく刺激してくれる内容になっている点です。

 評論の中には具体的な事象を軸に論理を展開させるものも数多くありますが、それよりも最初から抽象度の高い哲学・思想関連の文章に触れて、より論理的な厳密性の感覚を養った方が手っ取り早いのではないかと感じています。難関大入試では特にそうした哲学・思想関連の文章が出題されますが、その理由はおそらく高度な抽象性・論理性に耐え得る学生に入学してほしいからです。

所詮は高校生向けの入試であり、システマチックに攻略できると考える参考書も数多くあります。

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