タイトル | Oxford Learner’s Pocket Word Skills | |||||||||||
出版社 | Oxford University Press | |||||||||||
出版年 | 2011/12/22 | |||||||||||
著者 | Dictionary | |||||||||||
目的 | 英英学習の英単語 | |||||||||||
対象 | 英検2級以上 | |||||||||||
分量 | 380ページ | |||||||||||
評価 | ||||||||||||
AI | 品詞・用法の確認 | |||||||||||
レベル | CEFR | A2 | B1 | B2 | C1 | C2 | ||||||
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部
英英学習のはじめに使いやすいシリーズ
本書は2011年に出版された「Oxford Learner’s Pocket」シリーズの英語学習者向けの英英単語帳になります。「Oxford Learner’s Pocket」シリーズは、文法『Oxford Learner’s Pocket Grammar』、動詞と時制『Oxford Learner’s Pocket Verbs & Tenses』、単語『Oxford Learner’s Pocket Word Skills』、句動詞とイディオム『Oxford Learner’s Pocket Phrasal Verbs and Idioms』の4冊があります。どれもCEFR「B1-C2」までを範囲としているため、日本の英語教育で言うと高校卒業レベルにあたる英検2級(B1)からちょうど良く取り組める参考書になっています。
単語の難易度はB1-C1が中心で、C2の難単語もそれなりに収録されている印象です。収録語数は約3500語。句動詞とイディオムはC1-C2に重点を置いていると謳っていますが、個人的にはそこまで極端に難しくは感じませんでした。文法と動詞、時制に関しては網羅性よりも英語学習者が躓きやすいポイントを簡潔にまとめています。
英英学習と言うと日本人向けに『英語を英語で理解する 英英英単語 初級編』などもありますが、こちらは全てが完全に英語ではない中途半端な印象です。英検3級程度から段階的に英語の割合を増やすなら悪くありませんが、日本語が介在すると、いつまでも日本語で理解する癖や欲求が消えずに英語脳への切り替えが遅々として進みません。英検2級くらいになったら、英語学習者向けの『オックスフォード現代英英辞典 第10版』などを使用して英語で英語を理解する方針が有力と考えています。その段階に適した参考書が本書のシリーズです。
本書の構成
Introduction
Oxford Learner’s Pocket Word Skills can help you to increase your vocabulary in one compact, easy-to-use book. There are 181 two-page units. These are divided into 31 modules, with each module covering different aspects of an important topic. For example, the module on ‘Relationships’ includes units on Friendship, Neighbours, Being a parent and Family history.
Each unit in a module presents and explains approximately 20 items of vocabulary. Some items are presented through pictures, e.g. types of vegetable or items of clothing, but more often the vocabulary is presented in different types of text so that you can see new words and phrases being used naturally. All the new vocabulary is shown in bold print.
After each text, a glossary explains the new vocabulary and gives further important information to help you. This may be about grammar:
Oxford Learner’s Pocket Word Skills Introduction
本書は「速読英単語」シリーズの『速読英文法』のレイアウトに最も近いと思います。左ページにテーマに基づく短い英文や写真があり、右ページにその中で使用された単語が一覧になっています。単語の説明は英英辞典をイメージするとわかりやすい。収録語数が約3500語なので、英検2級から1級を超えるレベルまでを幅広く網羅していると言えるでしょう。サイズに関しては文庫本の横幅を1/3縮小したくらいです。コンパクトサイズの割に印字はハッキリとしているため、読みにくさはありません。語源系の有名な参考書『Word Power Made Easy』のマスマーケット版の紙質と比較すると、本書の方が優れています。マスマーケット版は新聞紙と同じ。
英語学習者向けの参考書は使いにくいものもある中で、本書は全体的なレベルも読み進め方にも癖がなくて誰にでもオススメです。ただ、本書シリーズはイギリス英語なので、アメリカ英語がベースの日本人からすると少し違和感を覚える点もあります(9割以上は同じ)。ごく一部の単語と句動詞、イディオムではスペルや表現の違いがあります。また、文法事項の一部では「haveとhave gotの違い」や「過去形と現在完了の使用頻度」などが挙げられます。したがって厳密にアメリカ英語しか学習したくないと考える人にはオススメできませんが、英英学習の一冊としては問題なく機能すると思います。
英検2級までは日本語で英語を学ぶ方針
大学入試の英検利用が広まり、現役生であれば準1級まで取得する方針も有力ですが、大人の学び直しを含む実用英語に舵を切る人たちには“日本語で”英検2級までの学習を推奨します。もちろん、これは皆が英検を受けるという話ではなく、英検2級レベルまでの単語と文法はどんな目的においても有用な土台になるという話です。その後、英英学習に切り替える方針を有力視しています。英検2級レベルよりも早い段階で英英学習に切り替える方針もありますが、幼少期を除き、国内にいる日本人なら日本語で英検2級まで素早く学習した方が結果的に効率は良いと思います。
これには諸説ありますが、本当に幼少期から英語が当たり前の環境で過ごすと日本語脳と英語脳という脳機能の特性(二言語処理)として備わると言われています。簡単に言うと、幼い頃のピアノ学習で絶対音感が身につくに近い話。例えば「LとR」「BとV」の違いを完璧に区別することは英語脳が為せる技です。発音に関してもピアノの指使い、神経分離と同様に舌や唇、喉などの筋肉の動きが自然と最適化されます。こうしたことが日本語環境だと日本語脳しか確立せず、日本語脳を軸に疑似的な英語脳を構築するしかなくなります。それでもあらゆる場面で問題にならないだけの評価に至ると思いますが、絶対音感を備えている人にわずかな音程のズレがバレてしまうように、発音に関しては厳密にネイティブと同じということは非常に難しいと考えられます。
海外経験もない完全に国内生まれ国内育ちの日本人が英語学習する場合には、日本語脳を軸に疑似的な英語脳を構築するしかない、すなわち第一に十分な国語力を備え、その後に英語を学ぶ方針が合っていると思います。ある意味、これを地で行く参考書の筆頭が『英語リーディング教本』です。さらに『改訂版 鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』は『英語リーディング教本』の単語版とも言いたくなる「英検2級+α」のレベルまでの単語を深く理解できる仕様になっています(単語の運用力にまで焦点を当てている)。日本人にとって日本語で理解する方が当然深くなりますから、重要単語と文法が頭打ちする英検2級がちょうど良い目安なのではないかという結論です。
そして、深い理解を伴った状態で、本書のような英語で英語を理解する参考書に触れるとき、英語の感覚が浸潤して英語脳が構築されていくはずです。ただし、例えば「3語以内の決め打ちコミュニケーション」を英語力に分類するならこの限りではありません。それが手段になることはあっても、あくまで一から自分の頭で英文を構築し、表現することを英語力とする場合です。※一からというより理解の伴うパーツの組み合わせ