数学の良問問題集[数学Ⅰ+A+Ⅱ+B+Ⅲ+C] 改訂版―レベル・難易度・特徴【レビュー】

タイトル数学の良問問題集[数学Ⅰ+A+Ⅱ+B+Ⅲ+C] 改訂版
出版社旺文社
出版年・価格2025/2/27
著者佐々木 巧
目的・分類入試標準問題集
問題・ページ数問題編144ページ、解答編280ページ
総合評価
対象・到達レベル日常学習教科書基礎教科書標準入試基礎入試標準入試発展
※全統模試目安 [教科書基礎=40~45][教科書標準=45~50][入試基礎=50~55][入試標準=55~65][入試発展=65~70]
※入試基礎=日東駒専、地方国公立 入試標準=MARCH、関関同立、準難関国公立(地方医含む) 入試発展=旧帝大上位、早慶、医学部

対象・到達レベル

【対象】
教科書レベルを終えた人、入試基礎~標準レベルの典型問題に取り組みたい人

【到達】
入試基礎~標準レベルまでを満遍なく押さえられる(偏差値60程度まで)
・MARCH、関関同立、金岡千広(金沢、岡山、千葉、広島)あたりなら合格点を狙える

 本書の適正レベルは私立ならMARCHや関関同立、国公立なら地方国公立以上、準難関国公立未満といったところです。合格点を十分に狙えるという意味なら成成明学や地方国公立がちょうど良い。東京一工や阪大、名大、早慶の理系数学で合格点を狙うにはさすがに心許ないところがありますが、その前のレベル帯(東京理科や上智、筑波、神戸、横国)なら合格点を狙える年度もあるかもしれません。

 東京出版の『1対1対応の演習(偏差値55~65)』に近いレベル感。問題数は本書(307題)に比べて、『1対1対応の演習(約700題)』です。網羅している範囲に対する問題数のバランスから、難関大志望には本書を推奨しません。合格点を狙えるとして挙げた大学群を受験するにしても、癖のない典型問題が中心であることが条件です。

本書の問題は3段階のレベルに分けられています。レベル1は入試基礎、レベル2は入試基礎~標準の典型問題、レベル3は入試標準で差がつく問題。※当サイトの定める入試標準レベルよりは全体的に少々易しい印象

成成明学、MARCH、関関同立、金岡千広

 難関大を志望しない受験生が教科書レベルを終えたあとに取り組む「入試基礎~標準」までの問題集は意外と選択肢がありません(特に理系が少ない)。アウトプット型なら『厳選大学入試数学の問題集』がオススメですが、偏差値55~65と『1対1対応の演習』と同等か、やや難しいということで教科書レベルの次には採用しにくい。となると、『1対1対応の演習』になるわけですが、こちらは難関大志望でないなら分量の負担が大きくなってしまいます。

時期的の余裕があって合格を万全にしたいなら(難関大志望でなくとも)『1対1対応の演習』はオススメ。

 では、本書と近い良問集として『文系の数学 重要事項完全習得』や『数学IIIC 重要事項完全習得』はどうかと言うと、入試基礎が中心なので日東駒専~成成明学や地方国公立志望なら採用できますが、それ以上の大学なら追加でもう1冊取り組むことになります。そう考えると、教科書標準レベル(白チャートなど)からの接続も悪くなく、入試基礎~標準まで満遍なく集めている本書は上記に挙げた大学群を目指すならちょうど良い問題数とレベルです。特に偏差値65未満の大学における入試数学は私立であっても素直な問題が多いため、本書を何周もして典型問題を身につけ、過去問演習まで終えれば十分でしょう。

 ちなみに難関大志望に本書を推奨しない理由は、個人的に提唱する「ピラミッド理論」があるからです。教科書は入試基礎の土台、入試基礎は入試標準の土台、入試標準は入試発展の土台。『チャート式』や『1対1対応の演習』によって基礎ほど網羅的に扱い、発展問題を(すでに網羅した)基礎に分解・帰着できるようにしたいのです。本書は問題数の割に縦にも長く問題を集めているため、土台というより志望校に合わせた実践問題集に位置づけたい。

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