タイトル | チャート式物理・化学・生物 | |||||||||||
出版社 | 数研出版 | |||||||||||
出版年・価格 | 2023/2/13 | |||||||||||
著者 | (生物)本川達雄、鷲谷いづみ (化学)辰巳敬、本間善夫 (物理)都築嘉弘、井上邦雄 | |||||||||||
目的・分類 | 教科書+資料集+試験対策を網羅した総合参考書 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | (生物)560ページ (化学)592ページ (物理)512ページ | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象・到達レベル
・講義系よりも硬い文章を好み、教科書よりも詳細に深く理解したい人
・それぞれの科目の用語や実験、考察を網羅的に理解できる
・大人の学び直しにも最適
共通テストの試験範囲は指定教科書ということもあり、大学受験における教科書の有用性は特に理科・社会において高く発揮されていると思います。ただ、日本史と世界史、理科からは生物・地学は教科書の範囲を覚え切れば十分に対応できるものの、化学・物理は教科書の内容だけでは実験・考察・計算問題への対応は苦労します(この点においては生物も)。
そこで教科書の内容を押さえた上で、発展的な内容まで網羅的に扱う本書が有効に機能します。化学基礎+化学の内容を融合させ、一冊で基本から応用まで理解できる参考書。講義系参考書は数多くあれど、こうした参考書は唯一無二かもしれません。
教科書+資料集+試験対策=本書
まず、本書の注意点としては、教科書よりも“易しい”説明を求めるなら向いていないことです。講義系の参考書に比べて文章が硬く、おそらく現役高校生には教科書同様の味気なさを感じると思います。とにかく簡単に捉えられる参考書を求めるなら『宇宙一わかりやすい』や『はじめからていねいに』、『大学受験Doシリーズ』あたりがオススメです。
次に、本書の長所としては教科書を出版している数研出版だからこその安心した教科書準拠の内容、教科書の内容を詳細にしただけではなく、付随する図解(実験や事象)や試験対策の要点までフルカラーでまとめている点にあります。講義系の参考書はわかった気分にさせてくれますが、見方によっては情報が薄く感じられ、あくまで導入という位置づけです。その点で本書は英文法の『EVERGREEN』のように、500ページを超える分厚くも濃密な内容に仕上がっています。実際に本書を理解できれば、難関大であろうと知識で引けを取ることはありません。
個人的には、下手に講義系参考書を導入するよりも本書を読み込んでしまった方が手っ取り早いと感じています。英文法においても文法書一冊を2、3回読んで全体を把握し、文法問題集でわからない箇所があったら辞書利用して理解を深めるという方針が好みです。本書だけでは多少わかりにくい箇所があったとしても、今の時代ならいくらでも調べようがありますから。現役生であってもある程度国語で硬い文章に慣れていれば、本書にも対応できます。教科書だけでは少々物足りないが、資料集を加えたり、講義系参考書を足したりするのは面倒だという人にオススメです。
受験勉強と網羅系参考書
受験勉強の方法には様々ありますが、できるだけ参考書の冊数を抑えて取り組むなら網羅系参考書の利点は大きいものです。さらに網羅系参考書を辞書代わりにすれば、問題(アウトプット)を通じた知識(インプット)がエピソード記憶としてより良い形で頭に残ってくれるでしょう。
受験勉強の方法論や参考書ルートなどの情報に振り回されやすい現代ですが、「わからなかったら調べる」という当たり前の方法が何だかんだ最もシンプルで効果的かもしれません。ただ、勉強にまだまだ慣れていない人には負担が大きくなりやすいので、そういう人は勉強するために必要な最低限の国語力を備えたあと、科目ごとの基礎的な参考書を終わらせるのがオススメです。最初の3ヵ月程度は「勉強とはどうすれば良いのか?」の理解を深めながら、実際に自分の力で成績を伸ばしている感覚を掴むのが先です。