タイトル | 改訂版 キクジュク | |||||||||||
出版社 | アルク | |||||||||||
出版年・価格 | 2023/12 1760円 | |||||||||||
著者 | 一杉 武史 | |||||||||||
目的・分類 | 大学受験用の英熟語帳 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | Basic(687語・264ページ) Super(1123語・288ページ) | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象・到達レベル
【対象】中学英熟語を終えた人
【Basic】高校入門~入試基礎、偏差値45~55まで
【Super】入試基礎~入試発展、偏差値55~65まで(早慶も対応可能)
キクジュク最大の特徴はリズムと共に覚えられる点ではなく、この2冊のレベル区分にあります。一般的な熟語帳はだいたい1000語で偏差値50~60までを網羅していますが、これは難関大には少し物足りなく、基礎固めにも過剰という中途半端な位置付けになってしまっています(ボリューム層ではある)。数学で言えば、黄チャート。
一方、本書はBasic(白チャート)が入試基礎、Super(青チャート)が難関大を目指す人にぴったり合わせられています。このレベル区分に魅力を感じる人は必ずいます。なぜか熟語帳の評判でキクジュクをあまり耳にしませんが、個人的には最もオススメできるかもしれません。
イントロダクションのTipsが有益
本書はチャプターごとに分けられているのですが、各チャプター冒頭で基本動詞や前置詞、副詞のコアイメージや語順の働きを解説しています。
動詞 + on A
働き:動詞の後に、主として「基礎、依存、対象」の前置詞onが続き、「Aに(基づいて)~する、A(のため)に~する」を表す
改訂版キクジュクSuper P118
今でこそ前置詞のコアイメージや接頭辞・接尾辞からの推測法などはどの単語・熟語帳にも載るようになりましたが、熟語の構成にまで言及したものは本書くらいしか見たことがありません。この情報があると熟語の理解が深まり、記憶の定着も促されるでしょう。
音声ファイルの利便性が高い
本書は公式サイトから無料音声をダウンロードできるのですが、この音声ファイルは「単語」「フレーズ(英のみ)」「センテンス(英のみ)」と3つに分かれているため、自分にとって必要な音声だけをまとめて聴くことができます。どうしても熟語は単語と勝手が異なり、一語一訳だけではなかなか覚えられない人もいると思います。その点で自分の好きな形式で覚えられる本書の音声は理想的です。
日本語音声は暗記の初期段階での有効性は否定しませんが、音声のみの高速周回を阻む要素でもあり、日本語音声によって「英→日」の意味変換が癖になるのも喜ばしくありません。さらに英語音声から瞬時に意味を捉えるチェックも円滑に行えないため、日本語が入る利点を個人的にほとんど感じていません。
大学入試を2冊で網羅できる
理想的な単語帳はいくつか候補があれど、熟語帳はどれもまだ完成度を高められる余地を感じます。先日出版された『速読英熟語』も少し物足りなさがありました。以前から難関大までを網羅する場合、同じZ会から出版されている『解体英熟語』あたりに手を伸ばす選択がポピュラーでしたが、使い勝手が全く違う上に改訂されずに何年も経ってしまっています。
単語帳は4年に一度くらいのペースで改訂されるにもかかわらず、熟語帳は10年以上改訂されないことが珍しくありません。そんな中で本書は改訂されたばかりですから、最新の入試傾向を反映している上、一般的な単語帳にある一語一訳一フレーズ一例文まで掲載し、「BasicとSuper」の2冊で大学入試を網羅できる点は大きく評価できます。
特に『Basic』は、日東駒専や地方“公立”大学を受験する層の筆頭候補になり得ます。もともとそこまで優先順位を高くできない熟語帳において、入試基礎レベルまでを効率よく押さえるには『Basic=687語』の分量がちょうど良いのです。一方、『Super』は、難関大を目指す人に十分な網羅性です。近年の受験英語は語彙レベルは抑えられていると言われますが、中学校の必要単語数は増加しており、いずれ大学入試の長文読解も一昔前の語彙レベルを要求されつつ語数も多いという時代が迫っているような気がします。