タイトル | 一億人の英文法 | |||||||||||
出版社 | 東進ブックス | |||||||||||
出版年・価格 | 2011/9/9 1980円 | |||||||||||
著者 | 大西 泰斗 | |||||||||||
目的・分類 | スピーキングのための英文法 | |||||||||||
問題・ページ数 (完成日数) | 688ページ | |||||||||||
総合評価 | ||||||||||||
対象・到達レベル (偏差値目安) | 日常学習 (ALL) | 教科書基礎 (40~45) | 教科書標準 (45~50) | 入試基礎 (50~55) | 入試標準 (55~65) | 入試発展 (65~70) | ||||||
対象レベル
・話すための英文法を身につけたい人
・アカデミックな文法から実践的な文法を意識したい人
・スピーキングに取り組む前に
・英語初心者から上級者まで
700ページにもおよぶ分厚い文法書ですが、それだけ内容は充実しているので、一冊きちんと仕上げられたら英語の全体像が一気に明るくなります。従来のアカデミックな文法書は圧倒的にリーディング向きでしたから、スピーキングを本格的に理解したいと思うなら本書からスタートするのが理想です。
表現に重きを置く文法書
学校で配布されるような文法書で情報が止まっていると目に留まることもありませんが、英語系youtuberの方々に紹介された結果、非常に有名になった文法書が本書になります。おそらくここ数年の文法書で最も売れています。
では、何がそんなに優れているのか?というと、表現(ニュアンス)に重きを置いた解説の多さです。従来のアカデミック寄りの文法書に比べて「なぜ、そうなのか?」とネイティブの感覚を紐解きながら進むため、杓子定規な文法に陥りにくくなっています。
本来ならば、数多くの英文に触れることで無意識的に身につく英米的な発想や感覚を、できる限り言語化しているのが本書なのです。事実、従来の文法書はおおよそ600ページ程度ですが、本書は700ページにもわたります。ページあたりの文字数だけで言っても明らかに多い。
さらに文法用語を極力排除して解説されているため、英語が苦手だったあの頃の文法書とは違った印象に、助けられる人も少なくないかもしれません。そういった挑戦的なコンセプトが大々的に受け入れられた文法書となっています。
従来の文法書と併せて使うのがオススメ
従来の文法書が決して悪いわけではなく、あくまで棲み分けに過ぎません。本書が「話すための英文法」と冠しているように、スピーキングの際に必要となる文法に焦点を当てて解説しているだけです。大学受験をはじめ、リーディングを疎かにできない場面では従来の文法書がベストな選択になります。
そこで従来の英文法書を押さえながら、本書に目を通すのがオススメです。リーディングのための文法をスピーキングまで広げられる一助となるでしょう。おそらく読みやすさで言えば、従来の文法書の方が簡潔で読みやすい。本書の解説は丁寧と言えば丁寧ですが、感覚を言語化する難しさからか、読みやすさは意見が分かれると思います。本書のレイアウトや著者の言い回しが馴染まないと肩透かしをくらいます。
評判に期待して読むよりも、従来の文法書を補完する意識で読む方が良い。ましてや本書だけで英文法を終わらせるのは少々危険です。学生ならなおのこと。本書が高い評価を得るに至った理由は、今までになかった「話すための英文法」だからであって、文法書として欠点がないというわけではありません。本書の言い回しはそういう言い回しにならざるを得ない事情を慮り、著者の胸の内を推察するように読めたら得るものが大きいかもしれません。