ドラゴン・イングリッシュ必修英単語1000―レベル・難易度・特徴・評判【レビュー】

タイトルドラゴン・イングリッシュ必修英単語1000
出版社講談社
出版年・価格2008/7/19 1650円
著者竹岡 広信
目的・分類大学受験用の英単語
問題・ページ数
(完成日数)
376ページ 1000語
総合評価
対象・到達レベル
(偏差値目安)
日常学習
(ALL)
教科書基礎
(40~45)
教科書標準
(45~50)
入試基礎
(50~55)
入試標準
(55~65)
入試発展
(65~70)
※[入試基礎=日東駒専・共通テスト・地方国公立] [入試標準=MARCH・標準~上位国公立(地方医学部含む)] [入試発展=早慶・旧帝大・医学部・一橋・東工大(科学大)]

対象・到達レベル

・入試標準レベルの単語を中心に覚えたい人(対象偏差値55~、到達偏差値65+α)

・語源から用法まで充実した補足情報で記憶の定着率を上げたい人

 本書は受験英語で有名な竹岡先生(ドラゴン桜の英語担当教師のモデル)が独断で選定した1000語(+外来語300語)が掲載されています。繰り返しますが、独断です。これは出版した2008年当時テレビドラマのドラゴン桜(2005年放送版)がヒットした影響で、英語担当教師のモデルであった竹岡先生にまで注目が集まったことから出版されたものと推測されます。事実、「ドラゴン」と冠する書籍が他に英作文と英文法でも出版されていますから。

本書の構成

[序章]202語+スピードチェック外来語60語

[滑走]202語+スピードチェック外来語60語

[離陸]204語+スピードチェック外来語60語

[上昇]197語+スピードチェック外来語60語

[飛翔]195語+スピードチェック外来語60語

合計1000語+外来語300語=1300語、一部熟語も含まれている、音声CD付き、語源・用法の情報

※章ごとに分かれていますが、難易度が上がるでもなく、特に意味のある分け方ではありません。

 1000語の選定基準は竹岡先生の独断と述べましたが、本書の冒頭に書かれてある通り、実はどんな単語帳でも著者の判断が入り込む余地があります。例えば、大学入試の英文データから「attitude」と「Alexander」の出題頻度を比べると、「Alexander」の方が高頻度で出現することがわかっても普通は単語帳に載せません。つまり、データからそのまま頻出順に並べても有用な単語帳とはならないため、著者によって選別される過程が必ず含まれるということ

 また、一昔前に比べて外来語(カタカナ語)は日本社会にも随分と浸透した背景があり、わざわざカタカナ語から推測できる単語を取り上げる利点はないとも判断しています(特に重要なものだけ見出し語として掲載)。この意味ではカタカナ語以外にも日常生活で目にしやすい単語も省き、熟語としてよく使われる単語も単体では掲載していないとのこと。これは試験で問われたときに答えにくいもの、何だか記憶に残りにくいものを中心に取り扱っていると言ってもいいですね

 したがって、竹岡先生の独断とは言え、とても理にかなっている選定になっていることがわかります。ターゲット1900のような単語帳からさらなる厳選を経た1000語を掲載しているイメージです。現在、竹岡先生の単語帳と言えば『LEAP』ですが、結果的に本書はその前身のようなものになっています。ひとつひとつの単語の補足情報が充実し、補足情報を読むことによって無機質なアルファベットの羅列から有機的なコアイメージを形成できます。

大学受験用なら2冊目以降に、大人の学び直しなら苦手単語チェックに

 この記事を執筆している段階(2024年5月末)では、大学受験用単語帳の最適解は『システム英単語(中学版)』と『DUO3.0』なのではないかと考えています。やはり単語と熟語を一冊にまとめ、例文音声による高速周回と時間の無い現役生にはかなりのメリットがあるからです。そして、『速読英単語』を多読参考書(おまけに単語確認)に位置付けることで単語を網羅しながら長文とリスニングにも慣れられます。

 その中で本書はどのように位置付けられるかというと、メインの単語帳を終えたあとに取り組む補完的な位置付けです本書の単語レベルはだいたい偏差値55~65+αまで。選定基準の通り、正答率の高い基礎単語は少ない印象。基本的に英文のレベルは東大より早慶の方が高い(難単語が多い分)と考えていますが、その早慶にも通用する単語が散見される程度には難しくなっています。

 本書の利点を「覚えにくい単語を中心に覚えられること」とすれば、メインの単語帳を終えたあとに取り組むか、普段から英文の中で単語を覚える人が求めるコンパクトな単語帳として考えるのが良いと思います。志望校の偏差値が60未満なら本書は必要ありません。すでに取り組んでいる適正レベルの単語帳を完璧にする方が重要です。補足情報が充実していることから、大人の学び直しにも向いています。特に年齢を重ねて記憶力に不安がある大人は、一語一訳の単純暗記より本書のような理解によって覚える方針が合っているでしょう。

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